2026年6月11日開幕のFIFAワールドカップ北中米大会に臨む日本代表メンバーは、5月15日に発表される。佐野海舟(マインツ)、佐野航大(NECナイメヘン)がそろって選出されれば、日本史上初となる兄弟でのW杯出場という快挙になる。メンバー入りが確実視される兄に対し、弟は当落線上の立場。3歳違いの2人の現在地と関係性に迫る。

兄は不動、弟は当落線上。分かれる現在地
森保ジャパンの不動のボランチに成長した兄・海舟と、攻撃的MFとして逆転でのW杯メンバー入りを目指す弟・航大。2人の国際Aマッチ同時出場は、過去に1試合だけある。
2025年6月10日のワールドカップアジア最終予選・インドネシア戦(○6-0)。海舟がフル出場したこの試合で、国際Aマッチデビューとなった航大が後半16分から途中出場した。
日本代表では2006年の佐藤勇人・寿人以来、約19年ぶりとなる兄弟共演が実現。三浦泰年・知良らも兄弟で同時出場を果たしているが、佐野兄弟がそろってW杯メンバー入りすれば、日本史上初の快挙となる。
海舟は「兄弟というか、一人の選手としか思っていない。お互い切磋琢磨してやっていければいい」と語る。一方で、兄弟でのW杯出場について問われると「もちろんそれはある」と率直な思いも口にする。
航大は「ライバルであることは間違いない。W杯に一緒に出られたらうれしいですけど、あまり意識はしていない。それは後付けです」と話す。
正反対のスタイルは、少年時代に形づくられた
対人に強い守備的な兄と、攻撃センスに優れる弟。正反対のプレースタイルは、少年時代の関係性に起因する。
兄弟で1対1をする際は、海舟が守備、航大が攻撃を担うことが多かった。
航大は「兄貴は守備が好きだったので、俺は攻撃が好きになった。兄貴からボールが取れず、守備は嫌いになった」と笑う。
3学年差のため、学生時代に同じチームでプレーした経験はない。それでも現在はともに欧州を主戦場とし、頻繁に連絡を取り合うなど兄弟仲は良好。互いのサッカー観や特徴は深く理解している。
明暗が分かれた“最終テスト”英国遠征
W杯メンバー発表前最後の代表活動となった2026年3月の英国遠征では、兄弟そろってメンバー入りを果たした。
航大は28日のスコットランド戦(○1-0)に左シャドーで先発出場。しかし、強度の高い相手守備に苦しみ、前半45分で途中交代。「全然良くなかった。結果を残さないといけないので、そういった意味では物足りなかった」と厳しい表情を浮かべた。
一方の海舟は31日のイングランド戦(○1-0)でボランチとしてフル出場。対人能力と守備範囲の広さで相手の攻撃の芽を摘み取り、攻撃面でも決定機を演出するなど存在感を示した。“サッカーの聖地”ウェンブリーでの勝利に大きく貢献した。
兄が現実、弟が可能性。兄弟W杯の鍵を握るのは――
世界に目を向ければ、フランク&ロナルド・デブール、ミカエル&ブライアン・ラウドルップ、コロ&ヤヤ・トゥーレ、エデン&トルガン・アザールなど、兄弟でW杯に出場した例は少なくない。
海舟のメンバー入りが確実視されるなか、偉業達成の鍵を握るのは航大だ。逆転でW杯切符をつかむためには、所属クラブでのアピールが不可欠。5月15日の発表までに残された試合でインパクトを残す必要がある。
航大は「しっかり結果を出してアピールすることが一番大事になるが、あまり意識しすぎずにやりたい」と語る。
目の前の1試合1試合を積み重ね、その先にある運命のメンバー発表を待つ。
佐野海舟/Kaisyu Sano
2000年12月30日、岡山県生まれ。鳥取・米子北高から2019年に当時J2の町田に入団。2023年に鹿島へ完全移籍し、2024年夏にドイツ1部マインツへへ完全移籍した。日本代表は2023年11月16日のミャンマー戦でデビュー。国際Aマッチ通算12試合無得点。利き足は右。1m76cm、76kg。
佐野航大/Kodai Sano
2003年9月25日生まれ、岡山県生まれ。兄・海舟と同じ鳥取・米子北高を経て2022年に当時J2の岡山へ入団。2023年夏にオランダ1部NECナイメヘンへ完全移籍した。2024年パリ五輪はバックアップメンバーとして選出されたが、クラブが難色を示して辞退。日本代表は2025年6月10日のインドネシア戦でデビュー。国際Aマッチ通算2試合無得点。利き足は右。1m76cm、68kg

