2026年6月11日に開幕するサッカーW杯北中米大会を前に、日本代表が歴史的な勝利を収めた。2025年10月14日に行われた国際親善試合で、ブラジル代表を相手に3―2の逆転勝ち。過去11戦未勝利だった“セレソンの壁”をついに打ち破った一戦で、最終ラインを統率したのがDF谷口彰悟だ。2024年11月に左アキレス腱断裂という大ケガを負いながらも、2025年5月に実戦復帰。約1年ぶりに日の丸を背負い、復活を印象づけた。

ブラジル撃破に貢献、谷口彰悟。1年ぶりの代表戦で見せた復活の統率力
1989年7月の初対戦から36年。日本代表が過去11敗2分けと未勝利だったセレソン(ブラジル代表の愛称)の壁をついに打ち破った。
後半の3得点で2点差をひっくり返す劇的な白星。3バックの中央で最終ラインを統率した谷口彰悟は、歓喜と安堵(あんど)そして充実感をにじませた。
「とりあえず復帰戦で勝てたことにホッとしています。日本代表のピッチに戻ることは一つの目標にしていたので感慨深いところはありましたが、相手が相手だったので(笑)。しっかりゲームに集中できました」
アキレス腱断裂からの地道な復帰。“サッカーが好き”を再確認したリハビリの日々
選手生命を脅かすアクシデントに見舞われたのは2024年11月8日。シントトロイデンの一員として出場したベルギーリーグのメヘレン戦だった。前半11分、相手FWへの対応で体の角度を変えた瞬間、左ふくらはぎに衝撃が走った。
そのまま負傷交代。ロッカールームでチームドクターから告げられたのは「アキレス腱が切れている」という現実。
日本に帰国後、手術を受けた。プロ11年目、33歳にして初めての長期離脱。
歩行訓練やつま先立ちなど地道にリハビリに取り組み、約2ヵ月でジョギングができるまで回復。ボールを使った練習を再開した時、サッカーが好きだということを再確認したという。
代表復帰を後押ししたW杯出場決定戦。苦境の中で再燃した闘志
順調に復活への道を歩み、実戦復帰が迫った2025年3月20日、日本代表はバーレーン戦で8大会連続のW杯出場を決めた。谷口はその姿を埼玉スタジアムで視察。日本代表復帰への思いを深めた。
「ケガをしてから苦しい時間はあったけど、皆が(W杯アジア)最終予選を戦っている姿はすごく刺激になりました。また自分も絶対にこの舞台に戻ってやるという思いで見ていました」
2025年5月に所属クラブで実戦復帰。徐々に出場時間を延ばしてプレーの感覚を取り戻すと、DF陣に故障者が続出する非常事態もあり、10月の親善試合で約1年ぶりに森保ジャパンへ招集された。
パラグアイ戦は出番なし。続くブラジル戦で約1年ぶりに国際Aマッチに出場し、見事な統率で歴史的白星に貢献した。代表復帰でいきなり大仕事をやってのけたが、心が緩むことはない。
「一度も勝ったことがない相手に勝てたのは素直に嬉しい。ただパーフェクトなゲームだったかと言われるとそうではない。常に反省し、修正しながら次に向かっていく。それがディフェンダーの宿命だと思います」
W杯へ続く守備陣の競争。34歳・谷口彰悟の決意
長期離脱中、センターバックでは鈴木淳之介(コペンハーゲン)、高井幸大(トッテナム)、安藤智哉(福岡)ら若手が台頭。
さらに、ケガで10月の活動を見送られた板倉滉(アヤックス)、町田浩樹(ホッフェンハイム)ら主力も控えるなか、W杯メンバー争いは激化している。
「競争が激しくなるのは日本代表が強くなるために必要なことなので、大歓迎です。その競争のなかで負けないよう、しっかり自分の存在感を示していきたい。
ラインの統率など細かい部分は(離脱中に)外から見ていて、もっとできるなと思うことでもあった。そこは自分がピッチに立った時はこだわりたい」
2022年W杯カタール大会で16強入りに貢献した34歳のベテラン。2025年6月にはモデルの泉里香との結婚も発表し、公私ともに充実の日々を送る。
2大会連続のW杯出場、チームの掲げるW杯制覇に向け、ブラジル撃破という最高の形で再スタートを切った。
谷口彰悟/Shogo Taniguchi
1991年7月15日熊本県生まれ。大津高から筑波大を経て2014年に川崎フロンターレに入団。1年目からスタメンに定着し、4度のリーグ優勝に貢献する。Jリーグベストイレブンにも4度選出。2015年6月のイラク戦で日本代表デビュー。カタールW杯1次リーグ最終戦のスペイン戦では日本代表として歴代最年長となる31歳139日でW杯初出場を果たした。2023年からカタールのアル・ラーヤンSCでプレーし、2024年7月にベルギーのシント・トロイデンに完全移籍。ポジションはDF。身長1m83cm。
 
             
             
             
             
             
             
             
             
     
         
         
         
         
         
         
         
         
         
         
         
         
         
             
             
            
 
               
               
               
               
               
               
               
               
               
               
               
               
               
              