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2026.03.08

WBC開幕! 栗山英樹が語る「野球界のやれていないこと」とユニクロ チャリティTシャツで実現した想い

大谷翔平に鈴木誠也、山本由伸そして佐藤輝明に伊藤大海……。メジャーリーグ、プロ野球で活躍をする日本のスター軍団が世界一を目指して戦うWBC(ワールドベースボールクラシック)2026がいよいよ開幕する。前回大会で指揮官を務めた栗山英樹にWBCのこと、そして2026年4月17日(金)より発売予定のユニクロとのチャリティTシャツプロジェクトについて話を聞いた。インタビュー前編。

栗山英樹氏

栗山が語る「野球界のやれていないこと」

前回の2023年大会の指揮官・栗山英樹は野球界の未来にとってWBC2026が持つ意味を強く感じている。

「今、少し、みんなが野球に注目してくれているのを感じています。でも、まだ打てる手はある、そこは僕も含めしっかりとやっていかないといけないと思っています」

日本で野球は人気スポーツだ。それでも栗山が「少し、注目してくれている」と控えめな表現をするのは、まだまだ「やれていないこと」がたくさんある、と感じているから。

例えばそのひとつが、野球(あるいはスポーツ)を通して世界と戦う姿を見せること。

「個人的にはWBCこそ野球にまったく興味がない人に見てもらいたい大会だったんです。野球に限らず人が全力を尽くす、魂を込めて一生懸命やると感動するじゃないですか。WBCってそれが一番見える大会なんですね。

そしてそれを見た若い人たちに『世界は近い』ということを感じてほしかった。最近は日本にいても世界を知っているような気持ちになれちゃうんですけど、そうじゃなくて……昔の偉人たちはみんな、世界に出ていったわけじゃないですか。仕事や留学、何かを得ようと野望に燃えて足を運んだ。

WBCに出ている選手たちはみんなそうやって、世界に出て戦おうとしている。そういうことを感じてもらいたい。なんか、かっこいいんですよ、世界で活躍する姿って」

興味のない人、若い人たちにこそ見てもらいたいWBC。例えば、この数年で大きく環境が変わった。大谷翔平という希代のスター選手がいるなかで、野球人口は減り続けているし、地上波中継も減った。

野球人としてもう少しできることはなかったか――「やれていないこと」がある、栗山はそう考える。

ユニクロの「PEACE FOR ALL」に参加。想いをカタチに

栗山にとってもっとも大きな「やれていないこと」のひとつが「野球と野球以外のもの」をつないでいくことだ。

プロ野球が開幕してしばらくした2026年4月17日。栗山英樹がデザインを考案したTシャツが販売される。ユニクロが展開するチャリティTシャツプロジェクト「PEACE FOR ALL」のコラボレーターとして実現したものだ。

「僕自身もそうですけど、誰もが世界のためにとか、平和であってほしいと願っているけど、実際にできることってなかなかないんですよね。せめて、今日は買い物でレジ袋をもらわないでおこう、くらい(笑)。

そんなときにユニクロさんからお話をいただいて、今回の『世界の平和を心から願い、アクションする』という、まさにやりたいけどやれなかったことができた。

何がすごいって僕自身だけじゃなくて、Tシャツを買ってくれた人も、世界の困っている人を助ける――といったらおこがましいですけど――ことに参加できるわけですね。

できなかったことができたのは、それをできる『カタチ』をユニクロさんが作ってくれたから。この『カタチ』を作るというのは、本当に重要なことだと思っています」

補足するとこのチャリティTシャツプロジェクト「PEACE FOR ALL」は「世界の平和を心から願い、アクションする」という趣旨に賛同した国内外の著名人がボランティアで協力をし、その利益の全額を人道支援活動に寄付するというもの。

2022年の開始以来、プロゴルファーのアダム・スコットや建築家の安藤忠雄など国内外の著名人が参画し、寄付先となるUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)をはじめとした3団体への寄付総額は28.8億円を超えている。

こうした活動に参加し、栗山はより野球界が「やれていないこと」にフォーカスを当てる。

「このプロジェクトのように、それぞれの分野のいいところが組み合わさって、人を元気に、笑顔にする。その分野も広まっていくというカタチですよね。

結局、特徴を活かし合う協力関係を築いていくことで野球界も一緒に発展していけるはずなんです。野球界はまだ、野球界に閉じてしまっているところがあるので、こうやって一見、関係ないように見えるものと手を繋いでいく必要がある。今回はユニクロさんがそのチャンスをくれたからできた。でも、野球界としてそこはまだまだやれていない部分だな、ごめんなさい、って思うところですね」

絶対的に大事なのは対話すること

栗山英樹氏

「カタチを作り」「関係ない(ように見える)ものと手を繋ぐ」。「野球界がやれていないこと」はまだまだあるのだろうが、それらを進めていくうえで絶対に大事なことを栗山はこう指摘する。

「対話だと思います。このTシャツも、どんな色がいいんだろうとか、デザインはこうだとか、いろんな方に相談して知恵をもらいましたけど、テーマだけはパッと浮かんだんです。

それが『とにかく会話を。直接、会話をするっていうのがすごく重要。キャッチボールはどうだろう』というもの。結局、キャッチボールをしていて暴投をするんだけど、そのボールをワンちゃん(犬)が『俺(犬)に投げてくれた!って喜んでいる』というデザインになったわけですが……、最終的には、直接話せば、絶対に折り合えるよ、ということだと思います。

一致はしないかもしれない。でも、折り合えるはず。

目の前にいる人に対して、その人をやっつけてやろう、なんてふつう思わないじゃないですか。

今はオンラインとか、いろんな方法で話すことはできる。だけど、対話は面と向かってしかできない。そしてそれがどんなことを成すにしても大事なことなんじゃないかなって感じていますね」

栗山英樹/Hideki Kuriyama
1961年東京都生まれ。東京学芸大学からヤクルトスワローズに入団。現役引退後はスポーツキャスター、大学教授などのキャリアを経て、北海道日本ハムファイターズの監督に就任。1年目の2012年にリーグ優勝、2016年にはチームを10年ぶりの日本一に導く。2023年、野球日本代表「侍ジャパン」の監督としてWBC(ワールドベースボールクラシック)世界一に。2024年、日本ハム球団の最高責任者であるCBO(チーフ・ベースボール・オフィサー)に就く。

TEXT=黒田俊

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