2026年6月11日開幕のW杯北中米大会へ向け、DF冨安健洋(アヤックス)が完全復活への階段を上り始めた。2025年2月に右膝を手術して長期離脱を強いられたが、2月1日のエクセルシオール戦で、アーセナル時代の2024年10月5日のサウサンプトン戦以来484日ぶりに公式戦に出場。3月の欧州遠征で日本代表に復帰する可能性が出てきた。

484日ぶりの公式戦出場。冨安健洋、アヤックスでつかむ復帰の手応え
長期離脱の期間は決して無駄ではなかった。冨安は公式戦から離れていた約1年2ヵ月で原点に帰っていた。
「サッカーをする楽しさや喜びを改めて感じることができた期間だった」
2025年2月の膝手術後、同7月にアーセナルを退団。その後は半年近く所属チームのない状態が続いた。
欧州の複数クラブから獲得に興味を示されるなか、同12月にアヤックスと今季終了までの短期契約を締結。クラブの熱量や、アンダーカテゴリーの日本代表からともにプレーするDF板倉滉が所属していることも決断の後押しとなった。
短期契約の先に、冨安は欧州5大リーグ(プレミア、スペイン、ドイツ、スペイン、フランス)への返り咲きを見据えている。
「この決断をしてよかったなと思えるかどうかは自分次第。そう自分を思わせる準備はできている。サッカー人生はまだまだ続いていくので、その中でプレミアに戻るチャンスもあるかなとは思っている」
484日ぶりの復帰戦となった2026年2月1日のエクセルシオール戦は、2-2の後半35分から左サイドバックで出場。2点差を追いつかれた守備を引き締め、「一つステップを踏めた」と手応えを口にした。
同9日にはオランダ1部テルスターとの練習試合に約30分出場した。徐々にプレータイムを伸ばしながら、実戦感覚を取り戻している段階だ。
「まだまだ100%じゃない。ちょっとずつ出場時間を伸ばしていく形になると思う。1年以上空いているので多少のエラーは受け入れつつ、コンディションを上げていきたい」
離脱中も森保ジャパンのことは頭にあった。日本がブラジルから歴史的初勝利を挙げた2025年10月14日の試合は、味の素スタジアムで現地観戦。同じセンターバックの22歳DF鈴木淳之介(コペンハーゲン)ら若手の台頭に刺激を受けた。
「若い選手に出てきてほしいとは前々から言っている。チームに良い循環が生まれると思う。日本代表の活動はもちろん気にしていたが、どちらかというと自分にフォーカスしていた。それはこれからも変わらない」
3月欧州遠征とW杯へ――冨安健洋が描く日本代表復帰の青写真
復帰戦直前の2026年1月28日には、欧州チャンピオンズリーグのアヤックスvsオリンピアコス戦の視察に訪れた日本代表の森保一監督と直接会談して現状を報告した。
3月下旬にスコットランド、イングランドと強化試合を行う欧州遠征を控えるなか、森保監督は冨安の招集について「90分出られることが確認できればもちろんいいが、ピンポイントでも戦力になり得るコンディションであると見極められた時には招集したい」との方針を示している。
2022年W杯・カタール大会では、冨安は1次リーグ初戦のドイツ戦、第3戦のスペイン戦に途中出場し、日本の勝利に貢献。時間限定の出場でも欠かせないピースになることは4年前に証明済みだ。
欧州遠征のイングランド戦は聖地ウェンブリーで開催される。ロンドンに本拠地を置く古巣のアーセナルにとってもなじみ深いスタジアムだ。
「3月にイングランドと対戦できたら面白い。アーセナルファンにもきちんとあいさつできていないので、ウェンブリーで元気な姿をアーセナルファンに見せることができたら最高のシナリオになる」
冨安の青写真は明確だ。「3月の日本代表復帰→W杯出場」。ワールドカップは1次リーグでオランダ、チュニジア、欧州プレーオフB組(ウクライナ、スウェーデン、ポーランド、アルバニア)の勝者と対戦する。
欧州2ヵ国が入る難敵ぞろいのグループとなるが、悪いイメージはない。
「前回大会(2022年カタール大会)もそうだったが、個人的には欧州の国のほうがやりやすいというか、読める部分が多い。どこが来ても簡単ではないが、チームが優勝を掲げているので、僕もW杯の舞台に立って優勝に貢献したい」
ワールドカップで最高の景色を見るために、完全復活への道を一歩ずつ進んで行く。
冨安健洋/Takehiro Tomiyasu
1998年11月5日生まれ、福岡県出身。福岡U-18に所属した2015年にトップチームでデビュー。2016年には高校3年でプロ契約した。2018年1月からベルギー1部シントトロイデン、2019年7月からセリエAボローニャ、2021年8月からはプレミアリーグ・アーセナルに所属し、2025年7月に双方合意のもとで契約を解除した。2025年12月にオランダ1部アヤックスに加入。日本代表は2018年10月にデビュー。国際Aマッチ通算42試合1得点。身長1m88cm、体重78kg。

