2025年1月15日、浦和レッズは昨シーズンの王者・ヴィッセル神戸と開幕戦で激突。終始優勢に試合を進めるも、スコアレスドローに終わった。その結果に特に悔しい表情を見せていたのが、原口元気。かつては血気盛んでチームのトラブルメーカーでもあった原口も、今やフィールドプレイヤーのなかで最年長になった。エースナンバー「9」を背負うベテランが、今シーズンにかける思いは強い。

ヴィッセル神戸との開幕戦は悔しい結果に
クラブを19年ぶりのリーグ優勝に導く覚悟を持って迎えた新シーズンが幕を開けた。
2025年2月15日の開幕節、ヴィッセル神戸戦で浦和レッズのMF原口元気はベンチからスタートし、後半32分から途中出場。左MFの位置入り好機を見いだそうとしたが、得点には絡めなかった。
試合は浦和が神戸の3倍以上の16本のシュートを放ちながら、2連覇中の王者相手にスコアレスドロー。アウェーでの勝ち点1は悪くない結果だが、決定機の数では上回っただけに、試合後の原口は厳しい表情でスタジアムを後にした。
今季は背番号を昨季の「78」から「9」に変更。過去に福田正博や永井雄一郎、エジミウソンらが背負った伝統あるエースナンバーだ。
原口自身もドイツ移籍前の2014年に半年間つけていた番号だが、10年前とは意味合いが違い、重みがある。
「どの番号が自分に1番プレッシャーがかかるかと考えた時に、9番をつけるべきだと思った。当時は憧れがあってつけた部分もあるけど、今回は責任を持ってつけたい。ここ数年、9番の価値が以前より落ちてきた感じがあるので、それをまた高められるようにしたい」
得点を積極的に狙う本来のスタイルで勝利に貢献する
2023-2024年シーズン限りで興梠慎三、宇賀神友弥のふたりのベテランが現役を引退。33歳の原口はチームのフィールド選手では最年長となった。
トレーニングでは周囲に積極的に経験を伝え、若手とともに居残り練習を行うことも多い。
高校2年時の2009年1月に17歳11ヵ月でプロ契約。若手時代は血気盛んで、トラブルを起こすこともあった。
プロ1年目には練習中のフィジカルコンタクトでチームメイトに対して暴言を吐き、一触即発の事態に発展。2011年には練習中のチームメイトの悪ふざけに激高し、そのチームメイトに蹴りを入れて怪我をさせ、謹慎処分を課されたこともある。
今季はプロ17年目のシーズン。今も「自分が一番輝きたい。俺は俺だし、やんちゃじゃないと面白くない」と尖った一面を残すが、ベテランとして意識は確実に変化している。
「若い時とは確実に違うので、苦しい時にどれだけチームを引っ張れるか。背中で引っ張りたいと思う。そういう立場でやっていきたい。長いシーズン、いい時も悪い時もある。プレーで引っ張るのはもちろんだし、苦しい時間帯に気持ちを持ってプレーすることで勝利をたぐり寄せたい」
昨年9月に浦和に復帰するまで10年間プレーしたドイツ時代は、厳しい生存競争を勝ち抜くために自らのスタイルへのこだわりは捨てた。本来の攻撃的MFではなく、インサイドハーフやボランチ、サイドバックでもプレー。スプリント数が多く、接触プレーにも強いインテンシティの高い選手として評価を高めた。
しかし、ボランチやサイドバック、センターバックでもプレーした、元日本代表主将の長谷部誠のような万能選手を理想としていた時期もあったが、今は違う。浦和では2列目から積極的にゴールに仕かける本来のスタイルで勝負している。
「(得点を)2ケタ取れないアタッカーは浦和レッズに必要ないと思う。今年は非常に身体も動いているし、必ず数字は残せると信じている。駄目だったら何も言い訳はせず、自分の力がなかったと思うしかない。最終的に笑えるようにしたい」
原口元気/Genki Haraguchi
1991年5月9日埼玉県生まれ。ジュニアユースから浦和レッズに所属。2008年に2種登録選手としてトップチームに登録され、公式戦デビューを果たした。2009年1月にプロ契約。2014年にドイツ1部のヘルタ・ベルリンに移籍し、フォルトゥナ・デュッセルドルフ、1.FCウニオン・ベルリンなど、ドイツで10シーズンプレーした。2024年9月に浦和レッズに復帰。日本代表として、国際Aマッチ通算74試合11得点。