『80歳の壁』著者・和田秀樹が“長生きの真意”に迫る連載から、2024年に読まれた記事ベスト5をお届け! ※2024年5月〜7月掲載記事を再編。
1.「豆乳より、牛乳」「卵はたくさん食べても問題ない」栄養は食品から摂るべき理由【柴田博×和田秀樹】
和田 柴田先生はやはりお肉もたくさん召し上がりますか?
柴田 もちろんです。自分が言った通りにしかやらない。参考までに、総合的な栄養を摂取するために僕が実践している、1日の食の目安を書きますね。
- 【動物性食品】①卵1個 ②牛乳200ml ③魚介類60~100g ④肉類60~100g
- 【植物性食品】①豆腐1/3丁(相当する大豆製品でも可) ②野菜350g ③キノコ類15~20g ④海藻10~20g
和田 やはり、いろいろな種類を食べるのが大事ですね。
柴田 僕らは“食の多様性”を推し進めてきましたからね。
和田 栄養は食品から摂る。
柴田 例えば「豆乳か牛乳か」という質問もされるけど、牛乳じゃないとまずいです。豆乳もいいけど、それは豆腐や納豆を食べたらいい。牛乳の脂肪分や他の成分は、豆乳ではカバーできないんです。
2.日本はがん死亡率1位だから、40歳からはコレステロールを下げてはいけない【柴田博×和田秀樹】
和田 コレステロール低下薬は出た当時すごい薬価が高かった。これに関しては諸説あります。ある製薬会社が全然効かない抗がん剤を出していて、それをやめさせる代わりに、この薬で儲けることを提案されたとか。
柴田 真相はわからないけど、不必要な薬を飲まされているのは確かです。アメリカは家族性高脂血症の人が多く、その人たちは心筋梗塞になりやすいので、コレステロール低下薬は効果を発揮します。でも日本はがんが死亡率の1位だからコレステロールを下げちゃいけないんです。それは40歳から80歳まで、どの年齢にも言えることです。
和田 日本は低栄養の国で、戦前・戦中は特に酷かった。本当は粗食を改善すべきなのに、未だに“痩せ信仰”です。コレステロールの害を宣伝されたことが大きく影響していますね。
柴田 恐ろしい事実があってね。終戦直後の1946年、日本人の摂取カロリーは1903キロでした。食糧がなくて国民が飢餓状態にあった時の数値です。ところが2010年には1849キロまで落ち込んだ。戦後より減ってるんですよ。
3.「楽に生きる」のが健康なのに、数値に合わせるのが健康だと思わされている【養老孟司×和田秀樹】
和田 たしかに努力の時代は終わりかもしれません。象徴的なのはAIです。少なくとも勉強では人間がどれだけ頑張ってもAIには勝てない。閃きとかアホなことを思いつくとかなら、AIと違う答えが出せるかもしれませんが。
養老 人工知能という言葉が使われ出した頃に思ったのだけど。「世界には70億も人がいて、70億の脳みそがあるのに、なぜわざわざ人工で作らなくちゃいけないんだ。今あるものをもっと上手に使えばいいのに」と。
和田 たしかにそうですね。だけどこうなった以上、後戻りもできないし、歯止めも効かない。養老先生が仰るように、努力が意味をなさない世の中になってくる気がします。
養老 そうでしょうね。
4.養老孟司「人間のことに一生懸命にならない」。『80歳の壁』著者・和田秀樹が唸った“不良患者のススメ”
和田 僕は養老先生には、一生頭が上がらないんです。僕本当に出来の悪い学生で、臓器とか神経の名前が覚えられない(笑)。でも養老先生は試験の前に「ここを出すぞ」って教えてくださったんですよ。おかげで解剖学の単位が取れて進級もできた。
養老 (笑)。落とすともう1回試験しなきゃいけないでしょ。それはとても面倒くさい。だから教えるんです(笑)。
和田 おかげでスタート地点を生き延びて医者になれました。ところで、今回のテーマが「長生きをより楽しく」なんですが、真っ先に思い浮かんだのが養老先生でした。失礼ながら「老後の見本」みたいな方ですから。
養老 (笑)。
和田 世の中がどんどん窮屈になるなかで、養老先生は今でもタバコを堂々と吸う。そして虫を捕りに世界各地に出かける。とても自由で素敵に見えます。
5.「塩分は控えない、血圧は下げない、1回で答えは出ない」88歳“日本のバフェット”の元気の秘訣【和田秀樹×藤本茂】
和田 旅行などには行かないんですか?
藤本 行く間がない。両方はできないですよ。昔、いっぱい旅行したからね。今は近場の温泉旅館に行くくらいやね。
和田 食事はお金をかける?
藤本 かけますよ(笑)。おいしいもの食べたいからね。魚と果物が好物です。時々、電車に乗ってうなぎを食べに行ったりね。取り寄せもします。いつもは女房が買い物して、それをおいしく食べる。お酒はビールを1本、ワインも時々飲むくらいかな。
和田 そんなに贅沢ではありませんね(笑)。
藤本 見ればわかると思うけど贅沢ではないな(笑)。服も長年着てるものばかりや。この帽子も15年くらい使ってるから、ボロボロやろ(笑)。ほつれた所は女房が縫ってくれてる。数千円の品物やけど、愛着があっていい。家も今のマンションで十分や。数億円の豪邸も買えるんやけどね(笑)。