PERSON

2024.12.20

横浜流星&THE RAMPAGE岩谷翔吾の高校同級生コンビ、日々ぶち当たる「選択」の後悔しない基準とは

THE RAMPAGEのパフォーマーとして活躍する岩谷翔吾の小説家デビュー作『選択』は、俳優・横浜流星の原案を元に、4年の歳月をかけて2人で紡いだ物語だ。高校の同級生でもある2人がこの作品に込めた想いを聞いた。

横浜流星・岩谷翔吾

『選択』がその第一歩

Life is a series of choices.
(人生は選択の連続である)

――ウィリアム・シェイクスピア※

――小説『選択』で主人公の亮は「俺、どこで間違えたかな」と自身の人生を振り返る。横浜流星と岩谷翔吾もこれまで膨大な選択を積み重ねてきた。2人にとって人生最大の英断とは何なのだろうか。

横浜流星(以下、横浜) 今となってはすべての決断が正しかったと思っていますが、なかでも一番は、この世界で生きていくと決めたこと。高校卒業のタイミングで大学進学、格闘家の道、今いる芸能の世界という3つの選択肢があって、どれを選ぶかでものすごく悩みました。

岩谷翔吾(以下、岩谷) 僕は大阪から出て、東京の高校に進学して本当に良かったなと思います。あの高校に行かなかったら流星とも出会っていなかった。ということはこの『選択』も生まれていなかったということなので。

――10代でエンタテインメントの世界に入り、それぞれにキャリアを重ねた2人は、自分の意志で仕事を選択してきた。

岩谷 仕事もプライベートも、自分がワクワクするかどうかで決めています。自分の気持ちが乗らなかったらいいパフォーマンスができないし、いい時間が過ごせないと思うので。自分の心が踊るかどうかを選択の基準にしています。

横浜 自分が大切にしているのも、そのときの感情です。例えば、今は2025年放送予定の大河ドラマの撮影中なので、その次の仕事となると1年以上先になります。未来の自分が何をやりたいか、という考え方もしますけど、今の自分がやりたいと思う気持ちを大事にしています。

横浜流星
横浜流星/Ryusei Yokohama
1996年9月16日神奈川県生まれ。2011年俳優デビュー。2023年、主演舞台『巌流島』を上演、主演映画『ヴィレッジ』『春に散る』が公開。2024年11月に主演映画『正体』が公開に。2025年は映画『国宝』が公開予定、NHK大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)〜』で主演を務める。

――『選択』はまさに、2人の「やりたい」という衝動がカタチになった作品だ。

岩谷 僕は書き終えたので、ひとつ肩の荷が下りたというか、ここからは流星が舵を取ってくれるんじゃないかなと。

自分たちの子供のようなこの『選択』が、ここからどう育っていくのかを、親として見守っていきたいです。

さらなる可能性をいろいろと秘めていると思うので。あとはお任せしますじゃないけれど、流星の夢を叶える作品にしたいです。

横浜 この子たち(登場人物)が呼吸して、動いて、生きている画が自分のなかで浮かんでいます。カメラワークやカット割り、エンディングの音楽もなんとなく考えちゃいますね。

役者だけでなく企画やプロデュースもやっていきたい自分にとって、『選択』がその第一歩。自分の背中を押してくれたこの作品が、もっともっと大きく羽ばたいたらいいなと思います。ここからがスタートです。

岩谷翔吾「それでも流星に伝えたかった」

――『選択』に続く、2人の新たなコラボレーションの可能性について質問すると、「やりたい題材はあります」と言う横浜に、岩谷が「本当に? 何?」と目を輝かせる。

横浜 特攻隊。今、(大河ドラマの撮影で)江戸時代を生きているから、昔の人々についていろいろ調べていて。彼らがいたから今の日本があるし、自分らが生きられているんだなと思いました。

一人一人にいろいろなドラマがあると思うので、彼らの“魂”をちゃんと作品に生かしてあげられたらな、と。まだ全然整理できていませんが。

――大河ドラマという大仕事に真剣に取り組むなかで新たな知識を得て、それが次のクリエイティヴの種となる。仕事に対するこの前のめりなスタンスを、横浜の「仕事が人生みたいなもの」という言葉が端的に表現する。

横浜 休みの日も仕事のことばかり考えています。この仕事は、日常がすべて生かされる。芝居にも、ものづくりにも。

この世界に入ると決めたときは、まさかこんなことになるとは思っていなかったです(笑)。

岩谷 わかるなー。やりがいじゃないけど、仕事がなかったらやることがなくて暇になりそう。

横浜 暇になるし、この仕事がなかったら社会に適応できてないと思います。じゃない?

岩谷 たしかに(笑)。

――自分と社会をつなぐものが仕事であり、仕事をとおして社会に参加し、貢献する。非常に健全かつ有意義なスタンスで仕事に熱中している2人だが、実は本作は、より原始的かつ純粋な原動力によってカタチになった。

岩谷 この作品を読者に伝えたい、世の中に発信したいという想いはもちろんありますが、流星の背中を押したいという想いも強くありました。

上り詰めれば詰めるほど孤独が降り注ぐ芸能という世界で、僕も流星もプレッシャーと生きづらさを抱えながら生きています。

2人ともポジティブではないけれど、作品だったら明るい未来を描けるので、ある人物の「生きてさえいればやり直せる」という台詞に希望を込めました。そこはこの作品の流れのなかでちょっと浮いているんですけど、それでも流星に伝えたかったんです。

横浜流星・岩谷翔吾
岩谷翔吾/Shogo Iwaya
1997年3月11日大阪府生まれ。2017年にTHE RAMPAGEのパフォーマーとして1stシングル「Lightning」でメジャーデビュー。読書家として知られ、『青春と読書』などで書評を連載。コロナ禍に自分の人生を基にした小説執筆へのチャレンジを経て、『選択』で小説家デビューを果たす。

横浜 翔吾のその想いはもちろん届いています。ありがたいです。

『選択』は、自分が役者として生きたい世界でもあるし、自分がもしも亮みたいな状況下にいたとしら、亮と同じ選択をしていたと思う。僕らの経験から生み出しているから当たり前とはいえ、他人事とは思えないというか、自分ごととして考えられる作品になりました。自分の想いをすべて翔吾が小説という形にしてくれたことが嬉しいですし、幸せです。

――各々の仕事に邁進しつつ、並走するような距離感でいい影響を与え合えるのは同級生であり、これまで紡いできた友情があるからこそ。

これから彼らが何を選択をし、どのような道を切り拓くのか楽しみだ。

横浜流星・岩谷翔吾

※ウィリアム・シェイクスピアの言葉として広まっているが、出典等詳細は不明。

岩谷翔吾 小説家デビュー作『選択』

小説『選択』
岩谷翔吾(THE RAMPAGE)著、横浜流星 原案 ¥1,760 幻冬舎
THE RAMPAGEのパフォーマー・岩谷翔吾が、俳優・横浜流星との100回以上ものやりとりを経て完成させた、ネオ・ハードボイルド小説。シビアな社会を必死に生き抜いてきた主人公の亮と、幼馴染みの匡平が直面する残酷な現実と、その先のかすかな希望を描く。THE RAMPAGE16人の個性を引きだして、1年にわたり書籍化する大型プロジェクト「GL-16~THE RAMPAGE BOOKS~」のひとつ。

TEXT=須永貴子

PHOTOGRAPH=鈴木規仁

STYLING=吉田ケイスケ

HAIR&MAKE-UP=速水昭仁、Aki(KIND)

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