9シーズン目を迎えたBリーグが、2024年10月3日に開幕した。2023年W杯日本代表の川真田紘也(26)は、2024年夏に滋賀レイクスから長崎ヴェルカに移籍。4日、5日の開幕節のサンロッカーズ渋谷との連戦で、2シーズンぶりにB1の舞台に立った。身長2m4cmのビッグマンが、日本代表復帰を視野に入れた勝負のシーズンに挑む。
カステラカラーの金髪で新天地の長崎へ
サービス精神旺盛なビッグマン、川真田紘也が新天地で早くも“らしさ”を出している。
2023-24年シーズンまで所属した滋賀レイクスでは髪をチームカラーの青に染めた時期があり、2023年のW杯には赤髪で臨み“リアル桜木花道”と称された。
長崎ヴェルカに移籍した2024-25年シーズンは金髪。奇抜さはないが「今季はカステラ色の金髪でいく」と長崎名物をアピールし、ファンの心をつかんだ。
「Bリーグを盛り上げるために一肌に脱ぎたい。仕事を振ってもらえれば何でもやります」。バスケ界を盛り上げるために、全力を注ぐ姿勢は健在だ。
2024年10月4日、5日に開催されたリーグ開幕節で、長崎はサンロッカーズ渋谷と2連戦。収容6000人規模の新本拠ハピネスアリーナで1勝1敗のスタートを切った。
川真田は第1戦が3分55秒、第1戦も3分21秒の出場にとどまり、ともに無得点。外国籍選手とのチーム内競争がし烈なインサイドで定位置獲得は簡単ではないが、下を向くことはない。
「ファンが本当に熱い。コートと観客席が近いので、後押しされている感じがする。バスケをするための素晴らしいアリーナでプレーさせてもらえるので、勝利を重ねられるように頑張りたい」
走り高跳びで全国大会に出場。異色のBリーガー
川真田が歩んできた経歴は異色だ。
小学生時代は陸上の走り高跳びで全国大会に出場。中学でも陸上部に入るつもりだったが、陸上部に指導者がいないという噂を聞き「それなら別の競技をやってみよう」と友人の誘いでバスケ部に入部した。
しかし入部手続きを終えた後に、陸上部に指導者がいることが発覚。当時、噂の真意を確認していれば、バスケ選手としての川真田は存在しなかった可能性が高い。「そんなミスで始まったバスケ人生なんです。これも、ひとつの運命ですね」と苦笑いする。
中学、高校で順調に成長し、天理大に進学。2020-21年シーズンにB2の佐賀バルーナーズと特別強化指定選手契約を結び、Bリーグデビューを果たした。大学卒業後の2021-22年シーズンは滋賀レイクスに加入。2023年2月には日本代表合宿に練習生として参加し、直後のW杯アジア予選で日本代表デビューを果たした。
日本代表のトム・ホーバス監督に人一倍怒られながら成長。代表デビューからわずか半年で、2023年W杯メンバーに選出された。
2024年夏のパリ五輪に出場した日本代表からは最終選考で落選したが、練習相手などを務めるサポートメンバーとしてチームに同行。1次リーグ3戦全敗ながら、開催国フランスなど強豪に善戦した五輪本番も現地で観戦した。
「五輪は試合を見ているだけで勉強になった。渡邊(雄太)選手や八村(塁)選手からは練習や試合に対する姿勢を学んだ」
2024-25年のBリーグはNBAに日本人最長の6季在籍した渡邊雄太が千葉ジェッツに加入するなど、日本代表の8選手がプレー。2026年には新トップカテゴリー「Bリーグ・プレミア」がスタートすることも決まっている。「アリーナ」「入場者数」「売上高」の三つの基準を満たしたクラブが参入できる仕組みで、初年度の参戦クラブは2024年10月17日に第1弾が発表される。
ここ数年は2021年の沖縄アリーナを皮切りに、オープンハウスアリーナ太田、SAGAアリーナ、ららアリーナ東京ベイなど大型多目的アリーナが次々と開業。Bリーグは入場者数も急増し、かつてない盛り上がりを見せる。
川真田は「チームとしては優勝が目標。個人としてはいろいろなことに挑戦したいと思っている。リバウンドなど体を張ったプレーを継続しながら、得点パターンも増やしていきたい。シーズンを通して成長できたらいいなと思っている」と力を込めた。
好きな言葉は「一日一歩」で「自分に合っている言葉だと思う」とうなずく。これまでも雑草魂を胸に這い上がってきた。新天地でも泥くさく一歩ずつ前進していく。
川真田紘也/Koya Kawamata
1998年6月16日徳島県出身。小学時代は陸上の走り高跳びで全国大会に出場。中学からバスケを始める。天理大4年時にB2佐賀バルーナーズと特別指定選手契約を結び、卒業後に滋賀レイクスに入団。2024年夏に長崎ヴェルカに移籍した。2023年2月26日のW杯アジア2次予選バーレーン戦で日本代表デビュー。2023年夏のW杯ではパリ五輪切符獲得に貢献。ポジションはセンター。身長2m4cm。