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2024.05.27

失恋、仕事の大ミス…「もうダメだと思ったとき」の3つの対処法を教えます【芸人人気NO.1講師】

放送作家、NSC(吉本総合芸能学院)10年連続人気1位であり、王者「令和ロマン」をはじめ、多くの教え子を2023年M-1決勝に輩出した・桝本壮志のコラム。

「いろいろ限界で芸人を辞めようかと……。近々、会えませんか?」。先日、元教え子からこんなLINEが来ました。

生きてりゃ「もうダメだ」と思うことは何度だってあるもの。いくら大人になっても、リーダーポジションに就いても、パパやママになっても「もうダメだ」は襲ってきます。

教え子と待ち合わせた喫茶店に早めに着いたので、今回は「もうダメだと思ったとき」の、僕なりの対処法、思考法を綴っていきたいと思います。

「もうダメだ」のセットは2つの「イシ」

喫茶店で、コーヒー×トースト×サラダのモーニングセットを注文。

もしも、「もうダメだ」がモーニングだとしたら、僕はコーヒーに“2つのイシ”をセットしています。

1つ目は、「時間は最良の医師(イシ)」という感覚。

心がべこんと凹んだときは、どんなに優秀なカウンセリングや、友人の励ましの言葉よりも“時間がたつ”や“待ってみる”が最良の癒しや打開策になったりします。

片思いの人に告白して「好きな人がいる」で大失恋したけど、数ヵ月後にリトライしたらOKだったという事例があふれているように、実は「もうダメだ」ではなく“「今はダメだった」ということが大いにあるから”です。

2つ目は、「もうダメだを楽しむ意思(イシ)」

頭が激情でいっぱいになることは非常に苦しいことですが、脳が最も活性化されるのは“強い感情が起ったとき”。

ポジティブかネガティブかに関係なく、強い感情がわいたときに活性するんだそうです。

これを知ってから僕は、悲しみ、怒り、凹みなどのネガな感情が湧いたときこそ、「今どんどんクリエイティブになってるぞ」「この境遇を活かした新アイデアが生まれないかな?」など、楽しんでみる意思を持つことをデフォルトにしています。

「もうダメだラジオ」を配信しよう

今日、教え子に会いに来たのは、「とにかく吐き出してもらうため」です。

彼の窮状を変える力は持っていないし、変えようとも思っていませんが、“ラジオ番組のように一方的に語ってもらうこと”“そのリスナーになること”はできるからです。

「もうダメだ」と感じたときは、第三者にぶちまけてみるのが一番です。

10年前の教え子、3時のヒロイン・かなでさんは、在学中に大失恋を経験したのですが、彼女はそのツラい境遇を、授業がまるまるカットになるほど、同期の前でぶちまけてくれました。

そして、1時間以上ぶちまけたころ、彼女にある変化が出てきたのです。それは“過去から未来へという、視点と感情の変化”でした。

彼女は「また恋をする」「お笑いに生きる!」と力強く語り、その3ヵ月後に行われたトーナメント大会で、たった1人でピン芸を披露し、決勝までコマを進める大躍進を見せてくれたのです。

「あるある行動」をしたがる自分の脳をダマす

「もうダメだ」の難敵は、心と体がフリーズして“ダメなときにやってしまいがちな言動”に陥ること。

なので僕は“その逆の言動”を心がけ自分の脳をダマしています。

例えば、下を向くのではなく「あえて顔を上げる」、ムカつく上司や先輩の言葉に舌を打つのでなく「あえて相づちを打つ」、どんなに言い分があっても「あえて短く話して長く聴く」など、カッカしがちな脳を“クールに賢くやろう”となだめながら逆行動をとるようにしています。

冷静に考えると、「ムカつく相手を言い負かす」よりも「心を許せる人たちと議論する」ほうが、心の体重は軽くなるし、「優れた笑いのテクニックをもっている人」よりも「自分が笑える余裕がある人」のほうが、おおらかで魅力的なもの。

フリーズしたときこそ“逆に意識を向けてみる”ことも大切なんですね。

さて、そろそろ約束の時間が近づいてきたようです。

ラジオリスナーになって、教え子のぶちまけを楽しく傾聴したいと思います。

では、また来週お逢いしましょう。

桝本 壮志/Soushi Masumoto
1975年広島県生まれ。放送作家として多数の番組を担当。タレント養成所・吉本総合芸能学院(NSC)講師。王者「令和ロマン」をはじめ、多くの教え子を2023年M-1決勝に輩出。

COMPOSITION=古澤誠一郎

TEXT=桝本壮志

PHOTOGRAPH=杉田裕一

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