テレビ東京『ウイニング競馬』などで活躍する冨田有紀アナウンサー。SNSでも反響を呼ぶ入社4年目、期待の次世代エースだ。学生時代は令和らしからぬ“苦学”の日々…。憧れのアナウンサーになったものの、テレビ東京に入社してからも苦難の日々だったという。インタビュー後編。 #前編
憧れだけのふんわりした状態だった
ラグビー部のブレザーでアナウンサー試験を受けていたというテレビ東京の冨田有紀アナウンサー。現在、入社4年目。「ウイニング競馬」などで活躍する姿は堂々としたものだが、自身の評価は「ようやくゼロ地点に立てたか、どうかというレベル」。入社してからも苦労する日々が続いたという。
「アナウンサーになる人の多くは、大学時代に学生キャスターとして経験を積んできた“即戦力”の方。私はそういう経験がないまま入社し、しかも茨城弁がなかなか抜けなかったので、ゼロどころかマイナスからのスタートでした。いまでも気を抜くと茨城弁が出るので、気をつけています(笑)」
子どものころから憧れていたアナウンサー。だが、実際になってみたとき、自分が「憧れだけのふんわりした状態」だったことに気がついたという。
「報道志望とか、バラエティ志望とか、明確な目標がないまま入社したので、未だにそれを探し続けているような状態です。新人のころ、天然みたいに言われていたんですけど、それは私が現場で何もわからず、どうしようもない状態でいるのをまわりの制作陣が編集で面白く仕上げてくださったからなんです。私がダメなだけだったので、反省しましたが、最近はそれも自分の持ち味みたいなものなのかなと思えるようになりました」
少しずつ手応えも出てきた。担当の『ウイニング競馬』は、BSまであわせて90分の生放送。
「最近ようやく楽しめるようになってきました。10秒とか15秒の時間内でレース結果や払い戻しを伝えるんですが、そこに事前に自分が調べた+αの情報を入れられるようになってきて。それがピタッと時間内にハマったときはすごく充実感があります」
「『提供読み』をしっかりできるようになりたい」
4年目のスタート地点。これからどんなアナウンサーを目指したいか、どんな番組に出たいかと尋ねると、思いがけない答えが返ってきた。
「どんな番組というより、番組の前後にスポンサーの企業名を伝える『提供読み』をしっかりできるようになりたいと思っています。決まった時間のなかで、滑舌良く、お世話になった企業のお名前を感謝と愛情を込めて読む。表現しすぎてもいけないし、気持ちを込めすぎてもよくない。あまり注目されませんが、アナウンサーの技術が詰まっているのが提供読みなんです」
多忙な日々のストレス解消は“ひとり焼肉”に行くこと。
「焼肉が好きなんです、特にミノ。学生時代から行っている焼肉屋さんがあるんですが、ひとりで行って上ミノとコムタンクッパ、メロンソーダを頼む。学生時代に我慢していたものを金額を気にせず頼めるのが幸せです(笑)。しかも食後にスタバに寄ったりもできる。そうやって好きなものを好きなときに好きなだけ食べられるようになった自分を、少しだけ認めてもいいのかなと。ひとり焼肉は自分を定点観測する時間にもなっています」
苦労してたどり着いた今だからこそ、輝いているのかもしれない。いずれテレビ東京を代表するアナウンサーになるのではないか。真面目な彼女を観ていて、そんな未来を想像した。