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2023.11.18

アメカジの雄「スタンダード カリフォルニア」はなぜ、20年間愛され続けているのか?

2003年の開業から“スタカリ”の愛称で親しまれ、今もアメカジ好きに絶大な支持を得るショップ「スタンダード カリフォルニア(STANDARD CALIFORNIA)」。20年の歩みをオーナー阿久戸秀高さんに振り返ってもらった。

アメリカ出張で土台作り

厳選された古着や人気ブランドの別注品、そしてベーシックで長く飽きがこないオリジナルブランド。「店に行けば、欲しくなるアイテムが必ずある」。そう思わせてくれるショップが東京・恵比寿の「スタンダード カリフォルニア」だ。2003年のオープンから今年で20周年。まずは開業の経緯について、オーナーの阿久戸秀高さんに聞いた。

「アメリカ、特にカリフォルニアに興味をもったのは小学5年生の時に見た映画『ボーイズ・ボーイズ』がきっかけです。そこに出てくるカリフォルニアの街並みやフットボール、BMX、スケートボードといったアメリカンカルチャーに夢中になりました。高校生からサーフィンにハマり、ファッションもアメリカっぽいものが好きで、Levi's501を穿き、Championのリバースウィーブを着る。今もその頃と同じような服ばかり着ていますね」

開業当時の阿久戸さん(左)。スタンダード カリフォルニアのSDロゴやグラフィックなども手掛けているLA在住の日本人アーティストKomy氏(右)。

大学卒業後は海外で生活してみたいとの思いから、ワーキングホリデーでオーストラリアに渡った。帰国後はスノーボードとアウトドア用品を扱う会社に就職。会社はインポートものに力を入れていたため、阿久戸さんも1年に3、4度はロサンゼルスやサンフランシスコへ出張に出かけていたという。

「大学時代の友人がロサンゼルスに住んでいて、古着の買い付けの仕事をしていました。僕も古着に興味があったので、出張を終えてもすぐには帰国せずに彼の古着買い付けに同行させてもらうようになったんです。そうした生活を続けているうちに、自分でも古着の仕事がしたいな、自分の店を持ちたいなという思いが高まってきました。その思いが募って2003年にオープンしたのが、このスタンダード カリフォルニアです」

ハズレがない古着屋を目指して

オープン当時のスタンダード カリフォルニアは古着をメインに扱う店。だが、「よくある古着屋にはしたくなかった」と阿久戸さんは言う。

「スーパーヴィンテージは扱わずに、状態のいい定番アイテムを揃える。それが店の基本スタンスでした。たとえば、Levi's501はいわゆる“レギュラーもの”メイン。ヴィンテージに価値を求めるのではなく、状態のよさで勝負しようと思いました。それと安定した品揃え。

古着屋って100枚の中に1枚欲しいものが見つかるという感じでしょう。それをスタンダード カリフォルニアでは、20枚の中に5枚というレベルに引き上げたいなと。厳選されたアイテムだけに絞ると仕入れが厳しくなり、各商品の価格も高めになりますが、そのぶん“スタンダード カリフォルニアの古着はハズレがない”と信頼を得られたと思います」

厳選された古着とともにスタンダード カリフォルニアの顔になったのが、開業時から扱っているHTCのスタッズベルトだ。

「開業前にHTCのデザイナーであるジップ・スティーブンソンに会いに行きました。『店でしっかりと扱っていくから、別注をやらせてください』とお願いしてみたら、OKが出たんです。オープンから半年くらいして、HTCのスタッズベルトは世界的な人気アイテムに。ブラッド・ピットやデビッド・ベッカムが着用したのも大きかったですね。日本でもスタイリストや芸能人が注目し、大流行になりました。HTCのブランド名とともに、スタンダード カリフォルニアの名前も広まっていった感じです」

オリジナルアイテムを作りたい

開業当初は古着とHTCの2本柱だったが、現在ではスタンダード カリフォルニアのもうひとつの柱となったオリジナルアイテムも少しずつだが展開していた。

「Championのリバースウィーブは常に300枚くらいストックしていました。それを解体し、バッグを作ってみようと。お店でちょっと売ってみようくらいの軽い気持ちだったんですが、結構話題になり日本のChampionの代理店から『会いたい』と連絡が入ったんです。きっとクレームだろうなと(笑)。でも先方の担当者はスタンダード カリフォルニアのことをよくわかってくれていて、『一緒に何かやりませんか』という話になりました」

そして生まれたのが100枚限定フットボールTシャツ。バータグと呼ばれる70年代の織りネームを使ったChampion フットボールTシャツをベースに、スタンダード カリフォルニアのイメージカラーであるブラウンとイエローを用いて100枚限定のTシャツを作った。

「00~99番までの通しナンバーをプリントした100枚のフットボールTシャツを作りました。しかも番号はシャツの前、後、右袖、左袖に入っている。Tシャツ1枚につき4つの型を作ってプリントしたので、もう作業がたいへん過ぎて(笑)。なんでこんなに面倒なことをしてしまったのかと思いましたね」

Champion とコラボし、00~99番まで100枚のフットボールTシャツを作った。阿久戸さんの生まれ年である「67」は今も手元に残してある。

次々に人気ブランドとコラボレーションを!

通しナンバー入りフットボールTシャツは手間がかかり過ぎて、利益は思うように出なかった。だがスタンダード カリフォルニアの妥協のないものづくりへの姿勢は業界内で高く評価され、その後、たくさんのコラボ商品が生まれることになった。

「20年の歴史の中で数えきれないくらいのブランドとコラボしました。特に印象に残っているのはVANSですね。僕自身、大好きなブランドですし、Tシャツから始まってスニーカーやスウェットなど、いろいろと作りました。Chocolateとのコラボでは、グラフィックデザイナーのエヴァン・ヒーコックスにロゴデザインをお願いできたんです。彼が作ったCHUNKロゴと同じフォントでスタンダード カリフォルニアのロゴを制作し、Tシャツやキャップ、スケートボードのデッキをリリースしました。人気ブランドと組めるのは刺激的ですし、やっぱり楽しいですよ」

20周年という節目の年である今年はどんな展開を考えているのか。

「10周年の時はパーティを開催するなどイベントに力を入れましたが、20周年の今年はリスペクトするブランドとコラボし、毎月何かアイテムを出していくことにしました。コロナの影響でイベントを企画しにくかったという裏の理由もあります(笑)。1月のDickies×スタンダード カリフォルニアのパンツを皮切りに、2月にはVANSとコラボレーションしたスリッポン。6月にはイラストレーターの永井博さんに描き下ろしてもらったアートワークを使ったTシャツを作りました。これからも冬に向けて、お客様にわくわくしてもらえるような商品を出していきたいですね」

問い合わせ
スタンダード カリフォルニア TEL:03-3770-5733

TEXT=川岸徹 EDIT=大内康行

PHOTOGRAPH=鈴木規仁

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