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FASHION

2022.09.10

日本のアメカジの聖地、ハリウッド ランチ マーケットの歴史

昨今、デニムやスウェットなどの古き良きベーシックアイテムに再び注目が集まっている。ここ日本における、これらの源流を辿ると1960年代に遡るといわれるが、広く一般に認知されたのは1970年代のこと。その一翼を担ったのが、ハリウッド ランチ マーケットだ。今回は、そんな日本のアメリカンカジュアルの聖地の歴史に迫る。

お洒落な“生き方”を作る店「HOLLYWOOD RANCH MARKET」

現在のハリウッド ランチ マーケット。年季は入ったが、基本的な作りは変わっていない。

変わらないコトと変わり続けるモノが交錯する、原点にして現在進行形の空間

一翼というのは少々謙虚な言い方だったかもしれない。実際、現地感覚に基づいたリアルなアメリカンカジュアルが日本に広まったのは、ハリウッド ランチ マーケットの功績によるところが大きい。

それはちょうど50年前。1972年に千駄ヶ谷に同店がオープン。’79年に現在も店舗がある代官山に移転し、オリジナルブランドを中心にアメカジに限らず世界中からセレクトしたアイテムを展開してきた。今では洗練された建物が立ち並ぶ代官山のなかで、当時も今も独特な世界観が広がる。

オープン当初のHOLLYWOOD RANCH MARKET

オープン当初のHOLLYWOOD RANCH MARKET。1979年に「ハリウッド ランチ マーケット」を現在の代官山に移転。今でこそお洒落なショップが立ち並ぶが、当時はまだ閑静な住宅街であった。古い一軒家の日本家屋をベースに、障子をウインドウに変え、ベニヤや白いペンキで改装した。

’70年代当初、古着を中心にインセンス、雑貨、アクセサリーを販売。当時の日本で、アメリカ古着はまだ稀有な存在だった。日本で扱っていたのは、同店ぐらいと言っても過言ではない。創業者ゲン垂水氏によれば「人々とともに過ごしてきた時の流れが、実に自由でお洒落に感じた。当時から物を大切にすることに取り組んでいた」。

ゲン垂水氏はヴァン ヂャケット退社後、’67年に船でカリフォルニアへ、そしてサンフランシスコへと渡った。それまでアイビーやプレッピーにアメリカを見出していたなか、目の前に広がったヒッピーカルチャーに大きな影響を受けたことが伺える。

オープン当初の内装

左上:オープン当初の内装。今もまだ当時の面影が残っていることがわかる。左下:外装にあしらった青いタイルも、当時のまま。右上:建て替える前の店舗内一部。ネオン管が古き良き時代の空気感を想起させる。右下:内装においては、スタッフが自ら廃材などを使い手作りすることも多い。

’75年には現在の会社、聖林公司を設立。ヘインズのTシャツやショットのライダーズなどをいち早く揃えた。今ではスタンダードとなったアイテムだが、当時はまだ珍しい存在。そんななか、初のオリジナルアイテムが誕生する。それがバンダナ。「その時々のメッセージを表現するために生まれた」。今では、毎シーズン常時50種類を揃える人気アイテムとなった。バンダナ=お洒落の必需品という提案をしたのは同店といっていい。

’80年代に入ると「オリジナルに込めた想いを広めたい」と、新たなコンセプトの店舗が続々と登場。同時にオリジナルブランドも充実していく。

オリジナルアイテム

左上:古着が中心だった千駄ヶ谷時代。オーバーオールやジーンズ、ハワイアンシャツやシャンブレーシャツが並んでいる。現在の古着屋では当たり前となったアイテムばかりだが、当時はファッションアイテムとしてはまだ珍しい時代だった。左下:初のオリジナルアイテムであるバンダナ。毎シーズン新たな色柄が追加され、常時50種類は揃っている。右上:現在、Tシャツからタートルネック、さらにパーカやアンダーウェアまで、全部で17型を揃えるストレッチフライス®。毎シーズン、シーズナルカラーも登場させている。右下:テーパードからスリムまで揃うオリジナルジーンズ。生地から縫製に至るまで、展開当初から強いこだわりを持ち長年作り続けてきた。ストレッチフライス®とともに、聖林公司を代表するアイテムのひとつだ。

「日本にもアメリカンカルチャーをはじめ、さまざまなカルチャーが次々流入し混在した時代。古着から得たインスピレーションを、新しい素材や技法(藍染、パティック染めなど)で長年かけて着古したような素材で味のある服作りができるか挑戦していた」

そうして、時代を超えた名品が誕生。’95年に登場したストレッチフライス®だ。

 

問い合わせ
ハリウッド ランチ マーケット TEL:03-3463-5668

TEXT=安岡将文

PHOTOGRAPH=舛田豊明

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