昨今、デニムやスウェットなどの古き良きベーシックアイテムに再び注目が集まっている。ここ日本における、これらの源流を辿ると1960年代に遡るといわれるが、広く一般に認知されたのは1970年代のこと。その一翼を担ったのが、ハリウッド ランチ マーケットだ。今回は、そんな日本のアメリカンカジュアルの聖地の歴史に迫る。
変わらないコトと変わり続けるモノが交錯する、原点にして現在進行形の空間
一翼というのは少々謙虚な言い方だったかもしれない。実際、現地感覚に基づいたリアルなアメリカンカジュアルが日本に広まったのは、ハリウッド ランチ マーケットの功績によるところが大きい。
それはちょうど50年前。1972年に千駄ヶ谷に同店がオープン。’79年に現在も店舗がある代官山に移転し、オリジナルブランドを中心にアメカジに限らず世界中からセレクトしたアイテムを展開してきた。今では洗練された建物が立ち並ぶ代官山のなかで、当時も今も独特な世界観が広がる。
’70年代当初、古着を中心にインセンス、雑貨、アクセサリーを販売。当時の日本で、アメリカ古着はまだ稀有な存在だった。日本で扱っていたのは、同店ぐらいと言っても過言ではない。創業者ゲン垂水氏によれば「人々とともに過ごしてきた時の流れが、実に自由でお洒落に感じた。当時から物を大切にすることに取り組んでいた」。
ゲン垂水氏はヴァン ヂャケット退社後、’67年に船でカリフォルニアへ、そしてサンフランシスコへと渡った。それまでアイビーやプレッピーにアメリカを見出していたなか、目の前に広がったヒッピーカルチャーに大きな影響を受けたことが伺える。
’75年には現在の会社、聖林公司を設立。ヘインズのTシャツやショットのライダーズなどをいち早く揃えた。今ではスタンダードとなったアイテムだが、当時はまだ珍しい存在。そんななか、初のオリジナルアイテムが誕生する。それがバンダナ。「その時々のメッセージを表現するために生まれた」。今では、毎シーズン常時50種類を揃える人気アイテムとなった。バンダナ=お洒落の必需品という提案をしたのは同店といっていい。
’80年代に入ると「オリジナルに込めた想いを広めたい」と、新たなコンセプトの店舗が続々と登場。同時にオリジナルブランドも充実していく。
「日本にもアメリカンカルチャーをはじめ、さまざまなカルチャーが次々流入し混在した時代。古着から得たインスピレーションを、新しい素材や技法(藍染、パティック染めなど)で長年かけて着古したような素材で味のある服作りができるか挑戦していた」
そうして、時代を超えた名品が誕生。’95年に登場したストレッチフライス®だ。
問い合わせ
ハリウッド ランチ マーケット TEL:03-3463-5668