PERSON

2023.09.15

米ベストセラー作家が分析。人間関係が7割決まる「初対面」の精度を上げるコツとは

「第一印象」は7割正しいと科学的根拠を元に説くのは、全米でベストセラーとなった「残酷すぎる成功法則 」で知られるエリック・バーカー氏。では、その「第一印象」の精度をあげるにはどうすべきか――。『残酷すぎる人間法則 9割まちがえる「対人関係のウソ」を科学する』(飛鳥新社)の一部を再編集してお届けする。

残酷すぎる人間法則 9割まちがえる「対人関係のウソ」を科学する
pawel-czerwinsk/ unsplash ※写真はイメージ

「そりが合わない」の科学的説明

第一印象に関して言えば、人びとはまるで「非常に優れた自伝的記憶(HSAM)」を持っているかのごとく、記憶を変えられない。最初の判断に閉じ込められ、そこから抜けだせない。そのことが人間関係に著しく影響を及ぼす。

私たちは集団をステレオタイプ化することの危険性には留意するものの、個人に対しては型にはまった見方をする。たとえば、初対面の誰かが「信用できない」顔に見えたので、あなたの態度は日ごろよりいく分無愛想になる。

あなたがうちとけないので、相手もあなたに対して距離を置く。相手にしてみればもっともなこの反応が、あなたの確証バイアスを作動させる(「ほらね、やっぱり良い人じゃなかった!」と)。こうしてたがいに警戒心を抱くことになる。二人の人間が「そりが合わない」ということについて、これが最も科学的な説明だろう。

いや、自分はちゃんと第一印象をアップデートしている、と言う人もいるだろう。たしかに、時にはそういうこともある。しかし表面下にもう一つの不吉な効果が隠れている。誰かに関して疑う余地のない情報が示され、相手に対する顕在的な印象が変わるときでさえ、潜在的な印象は変わらぬままだ。

言い換えれば、あなたの非常に合理的でエビデンスに基づく視点は変わるが、その人物に対するあなたの感情は変わらない。第一印象は粘着性で、自分では払拭できたと思っていても、なかなか拭い去ることができないのだ。

こうした状況に完全に逆らうことはできないが、努力次第で改善は可能だ。それにはまず、モチベーションがきわめて重要なのだ。そして、自分の読み取る能力を上げようとするより、相手を読み取りやすくすることに焦点を当てるほうが、より大きな改善効果が得られる。

「第一印象が悪かった人」にチャンスを与えよう

「第一印象を良くしよう」。これまでも言い尽くされてきたこの助言に、改めて耳を傾けよう。それがどれほど重要なことなのか、おわかりいただけただろう。

初対面では、第一印象として相手にピン留めしてもらいたい自分の側面を示すようにしよう――彼らはその通りに固定するからだ(ただしあなたが本当に嫌な人なら、私との初対面ではそのまま嫌な奴でいて欲しい。そのほうが大変ありがたい)。

忘れてはならない二つ目は、「人には二度めのチャンスをあたえる」ということ。第一印象の精度は最大で70%だ。つまり、10人中、少なくとも3人については間違っている。

しかもコーネル大学のトーマス・ギロビッチが指摘するように、もっとまずいこともある。

たとえば初めて会った相手が、本来は良い人なのに、たまたま最悪な一日を過ごしていたとする。すると相手の第一印象は悪くなる。

その後あなたはどうするだろう? その人を避けるようになり、第一印象を挽回する機会をろくにあたえないことになる。逆に誰かの第一印象が良ければ、(正しいかどうかは別として)あなたは、その人ともっと時間を共有しようとするだろう。そして良くも悪くも相手をさらに評価する機会が得られる。結果として、人に対する否定的な判断は、肯定的な判断より信頼性が低くなる。

さらに調査によると、人をポジティブに評価するときには、ネガティブに評価するときより

ハードルが高くなる。しかも良い印象は、悪い印象よりも簡単に覆されてしまう。あなたが誰かを一生避けていると、相手は控訴手続きもできないことになるのだ。

エリック・バーカー/Eric Barker
大人気ブログ“Barking Up The Wrong Tree"の執筆者。『ニューヨーク・タイムズ』紙、『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙、『タイム』誌などが度々その記事を掲載し、米最重要ブロガーのひとりと目される。脚本家としてウォルト・ディズニー・ピクチャーズ、20世紀フォックスなどハリウッドの映画会社の作品に関わった経歴をもち、任天堂のゲーム機「ウィー」のマーケティングの指針を助言するなど独自の研究に裏打ちされたビジネス才覚は一流企業からも信頼が厚い。

TEXT=エリック・バーカー

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