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2023.05.11

成田悠輔「未来はわからん。だから考えるのをやめよう」

アスリート、文化人、経営者ら各界のトップランナーによる新感覚オンラインライブイベント「Climbers(クライマーズ)」。その第6弾が、2023年4月26日から3日間にわたって開催され、ビジネスパーソンを大いに熱狂させた。今回、研究者/実業家の成田悠輔さんによる特別講義を一部抜粋して掲載。すべての講義を聴くことができるアーカイブ配信はこちら。※2023年5月2日〜5月15日18時までの無料限定公開。申し込みは画面内右上もしくは下の「視聴登録はこちら」より

成田悠輔

未来の予測をやめよう

AIが急速な進化を遂げた時代に、人類にはどんな未来が待っているのか。私ははっきりとした答えを持っています。その答えとは「わからん」です。

ビジネスの成功の条件として、これまでは明確な目標を掲げ、それに対してブレずに進んでいくことが重要だとされてきました。これは、時代の流れがゆっくりとしていて、過去の経験値に基づいて未来が予測できるケースには有効です。

でも、現在はかつての常識がぶっ壊れつつある時代。AIが音楽を作り、ChatGPTが物語をつむぐ。そのスピードはものすごく速く、流行は数ヵ月で時代遅れになってしまいます。そんな時代に未来の構想など無意味。予測することに時間を割いていることがマイナスの要因になるのです。

経験値も役に立ちません。知識やこだわりを持っている人ほど時代に合わないトンチンカンな発想をしやすい。だから活字メディアは取り残され、YouTubeもレッドオーシャンの中に放り出されてしまいました。

中高年の先生が中心の学校教育も有害です。10年前の情報に基づいて組まれたカリキュラムや指導方法に、今の時代に通用する価値はまったくありません。近い未来に、教える側と教えられる側の立場が逆になっている可能性もあります。若い学生たちが中高年に時代をサバイブする術を教える。そんな未来が来るかもしれません。

過去が邪魔になる時代。そして戦略を立てた時点で時代遅れになってしまう時代。では、私たちはどう生きていけばいいのでしょうか。結論は「わからん。だから考えるのをやめよう」です。私たちは何も考えずに、目の前を流れる川の濁流に飛び込むことしかできない。迷ったら、AIに聞いてしまえばいいのです。

目指すはフーテンの寅さん!?

少し明るい話もしましょう。教育やビジネスで用いる言葉は99.9%、ChatGPTの回答で十分です。でも、人間の言葉にはAIにはない力強さがあります。例えば、川端康成『雪国』の冒頭「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」の一文。20文字の短文ですが、この文を耳にするだけで人間の頭の中には“暗いトンネルを抜けて、雪景色がぱっと立ち上がる情景”が浮かびます。また、マルセル・プルーストはマドレーヌの舌触りと香りをテーマに数千ページに及ぶ小説『失われた時を求めて』を書き上げました。人間は言葉を使って、伸び縮み自由自在なメタバースを構築することができるのです。

これからの時代は、文学やポエム、思想、哲学など、“ド文系”のものが流行する可能性はあると感じます。いつの時代も社会というものには、最新のサバイバルテクノロジーと経済価値のないアンチサバイバルなものといった両極が存在します。ChatGPTの対極にあるような何かが、産業の中心になり得ることもあるのではないでしょうか。

ChatGPTを乗り越えようと頑張るのは無意味。張り合っても意味のないことですから。それよりも、サバイバルとは真逆の生き方「アンチサバイバル」を実践してはいかがでしょうか。人間は価値がないとわかっていても“なぜか愛を感じるもの”に心惹かれます。ポエムの名言を吐いて去っていくような“フーテンの寅さん”のような生き方が求められているのかもしれませんね。

▶︎▶︎成田悠輔さんの講義全文を動画でチェック。
2023年5月2日〜5月15日18時までの無料限定公開。申し込みは画面内右上もしくは下の「視聴登録はこちら」より。※アーカイブ視聴申し込みは5月14日18時まで

 

成田悠輔/Yusuke Narita
夜はアメリカでイェール大学助教授、昼は日本で半熟仮想代表。東京大学卒業(最優秀卒業論文に与えられる大内兵衛賞受賞)、マサチューセッツ工科大学(MIT)にてPh.D.取得。一橋大学客員准教授、スタンフォード大学客員助教授、東京大学招聘研究員、独立行政法人経済産業研究所客員研究員などを兼歴任。著書に『22世紀の民主主義: 選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる』など。

TEXT=川岸徹

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