アートをこよなく愛し、各国でアート巡りを続ける森田恭通氏。3年ぶりに開催されたアート・バーゼル・マイアミ・ビーチに参戦! その愉しみ方の流儀とは――。【特集 アート2023】
森田恭通流アート・バーゼルの歩き方
世界中であらゆるアートフェアが開催されるなか、デザイナーの森田恭通氏が足繁く通うのが、世界最大級のアートフェアのひとつ「アート・バーゼル・マイアミ・ビーチ」だ。
「世界中のギャラリーを回ろうとしたら、何年かかるかわからない。でもここには世界中から300近くの素晴らしいギャラリーが集まるんです」
ギャラリーは厳しい審査を通った一流どころ。ガゴシアン、ペース、ハウザー&ワース、ホワイト・キューブなどメガギャラリーの展示が並び、世界中から多くのコレクター、キュレーター、アーティスト、ギャラリストが集結する一大イベントだ。
アート・バーゼルはスイスが本家であるが、ここマイアミと、アジアでは香港でも開催されている。森田氏はなぜアート・バーゼルに通っているのだろう。
「例えばマイアミでは、街全体がお祭りのように華やぎ、作品もハッピーなものが多い。そして土地柄か、ギャラリストもフレンドリーなんです」
一般公開日の前にVIP向けの内覧日が数日あり、好みの作品を購入するには内覧初日が勝負なのだとか。
「今のように高額取引されるようになる以前の話にはなりますが、ダミアン・ハーストやゲルハルト・リヒターの作品を、僕でも手にすることができました。また、何年も通ったおかげでなじみのギャラリストも多くなり、その年の傾向や注目のアーティストの情報も得られ、プロジェクトにアートを探す時などの参考にしています。今回はアフリカンアートとアレックス・カッツの作品が多かったですね」
そんな森田氏に聞く、アート・バーゼルの愉しみ方とは?
「まず自分の好きな作品を扱っているギャラリーを見つけ、ギャラリストと仲良くなること。購入の際は適正価格を相談できるプロの方と連絡が取れる体制を持っていると理想的ですね」
今後も可能な限り通い続けたいと語る。
「アート・バーゼルには、日本の市場には出回らない夢のアートとの出会いがたくさん。ここで脳に刺激をもらい、自分の仕事のクリエイティヴをさらに進化させたい。僕の周りの経営者の方も、スタッフとともにクリエイティヴな発想を共有する目的でオフィスにアートを飾る方が増えています。そういうビジョンと発想を持てる経営者は本当に素晴らしいと感じます」
森田恭通流アート・バーゼルの魅力
1.世界中のギャラリーが集結
2.人脈が広がる
3.アートのムーブメントを知る
世界中のギャラリーが集結し、短期間に効率よく見られ、ムーブメントも知ることができる。毎年通うことでなじみのギャラリストやアーティストが増える。
森田恭通/Yasumichi Morita
1967年生まれ。デザイナー、グラマラス代表。国内外で活躍する傍ら、2015年よりパリでの写真展を継続して開催するなど、アーティストとしても活動。