フジテレビ伝説のバラエティ番組『めちゃ×2イケてるッ!』では、プロデューサーの傍ら“大食いキャラのガリタさん”として出演し、人気を博した明松功氏。美味しいものハンターが手土産選びで重視するのは、味と“ネタ”が決め手だった。
手土産は相手への告白!?
1996年~2018年に放映されていたバラエティ番組『めちゃ×2イケてるッ!』の制作に、AD時代から約19年間携わってきた明松氏。番組内の『ガリタ食堂』というコーナーに“大食漢のガリタさん”というキャラで出演。食への飽くなき探究心は、フジテレビから独立した今も健在のようだ。
「僕の一番の才能は、美味しいものを見つける能力。商店街を一往復すれば、うまいメニューを必ず見つけますよ。グルメサイトとか本を参考にするんじゃなく、自分の嗅覚を頼りに探し当てるのが好きなんです」
そんな明松氏が選ぶ手土産は、美味しいのは当たり前。それでいて盛り上がれそうな「賑やかしになるもの」という点にもこだわっている。
「手土産を差し出す時に、よく『つまらないものですが』とか言うでしょ。僕はあれ、イヤなんですよ。せっかく渡すんだから、それをネタにひと盛り上がりさせたいんですよね。
10個5000円くらいするような高級チョコレートってあるじゃないですか。僕が手土産にしたら、“ドッキリ”みたいになっちゃうみたいな洒落たヤツ(笑)。そこをあえて選んで、『実は僕、こんなん選ぶこともできちゃうんですよ』なんて笑いをとったりね」
出張直後に会う人には、出かけた先の名産を渡すことが多いが、それも、「『出張の間中、あなたのことを考えていました』というアピールになるから。あざといでしょ」と笑う。
「手土産を渡すベースにあるのは、相手への好意。お近づきになりたいと思う相手には、自分から『好きです!』と言ってしまうというパターンですね。たとえ僕からであっても、好きと言われたら、そんな悪い気持ちはしないでしょ、っていうね。手土産を渡す裏には、そんな下心もあるんですよ(笑)」
フジテレビから独立後は、エンタメの人の心を動かす力を武器に課題を解決する“エンタメソリューター”として、学校関連や自治体など、これまであまり付き合いがなかった世界との関わりも増えている明松氏。そこでもきっと、抜群の手腕とトーク、そして手土産を武器に、新たなパートナーシップを築いていくに違いない。
エンタメソリューター・明松 功のとっておきの手土産4選
1.
辛い過去が上書きされる謝罪の決定版
御菓子 新正堂「切腹最中」
仕事をしていると、悲しいかな “謝罪”が必要になる場面は少なくない。そんな時の手土産として見つけたのが、最中の皮が中央でぱっくりと割れた「切腹最中」。
「相手にわからないようにそっと持って行き、ひたすら謝り倒して、場の空気が少し和んだなと感じたら差し出すんです。『今日はこの覚悟で来ました!』って」
受け取ってもらえる=許してくれたお墨つきになり、「辛い過去が上書きできます」とも、明松氏。
「まぁ、最後まで出せる雰囲気にならず、持ち帰って切ない気持ちで自分で食べる……なんてこともありますけど(苦笑)」
2.
誰もが手に出しやすい素朴な味で場の一体感を演出
キャプテンズドーナツ「揚げドーナツ」
「行きつけの中華料理屋の対面にドーナツ屋さんができたなと思って、試しに買ってみたら、おいしかったんですよ」
これを持参する先は、番組やCM撮影の現場など、多くの人が集う場所。いわゆる“差し入れ”だ。
「ものすごく高級そうなものが少しだけというのだと、スタッフは遠慮しちゃうんですよ。その点ドーナツなら、若手スタッフでも遠慮せず手を伸ばせます。演者さんもスタッフも、みんなが分け隔てなく同じものを食べられる。それがいいなと思って、30個とか40個とか、大量に持って行きます」
3.
おいしさと希少性で話題騒然間違いなし
宮崎 尾崎牛「カガリスペシャルセット」
付き合いのある演者や仕事関係者へのお祝いなど、スペシャルなシーンの切り札にしているのが宮崎 尾崎牛の詰め合わせ。自然配合飼料と天然水を与え、28ヵ月が一般的な生育期間を32ヵ月~40ヵ月に延ばし、大切に育てたブランド牛だ。毎月40頭限定の出荷のため、”幻の和牛“とも言われている。
扱っている店舗が限られているため、明松氏は牛肉商尾崎の尾崎社長に直接オーダー。お祝いとして贈る際は、相手に好みを聞き、ステーキ用やしゃぶしゃぶ用など、予算に合わせて見繕ってもらう。
「友達に連れられて、宮崎の飲食店で食べたのが最初。うまみが強くて、柔らかくて、脂がしつこくなくて、『なんだ、このおいしさは!?』とビックリしましたね。テレビ局勤務時代は打ち上げの賞品に出していましたが、毎年みんなから『待っていました!』と大盛り上がりでした」
4.
豆×焙煎具合でオリジナルコーヒーが完成
こはぜ珈琲「自家焙煎豆」
コーヒーにも造詣が深く、お気に入りのコーヒー豆専門店をいくつか持っている明松氏。中でも重用しているのが、地元・下北沢にある「こはぜ珈琲」。約30種類の豆を用意し、焙煎具合も好みに応じて調整してくれるため、自分好みのコーヒーに出合えるというわけだ。
「コーヒーが好きな人は喜んでくれますね。酸味が強いのがいいとか苦みがたったものが好きなんて、相手の好みがわかっていれば、それをお店の人に伝え、豆や焙煎具合を調整してもらいます」
豆の産地やテイストの特徴など、コーヒー好き同士ならではのトークも弾む。これもまた、ネタになる手土産のひとつだ。