PERSON

2022.11.06

3年かけて土地を購入! 中目黒のラグジュアリーな都市型邸宅

かつて夢見た暮らしをかなえた仕事人たちの家は、浪漫に溢れている。その家づくりのスケール感はもはや、大人の壮大な遊びなのだ。今回紹介するのは、中目黒にある都市型のラグジュアリーな邸宅。【特集 浪漫のある家】

バケラッタ

グレーの天然石のテーブルと青いソファがリゾート感を演出するテラス。息子の剣道の稽古を眺めている時間が好き、とA氏。

テラスから中がすべて見渡せる、家族の距離が縮まる家

瀟酒なカフェやショップが建ち並び、流行の発信地として若い世代を中心に支持を集める中目黒。その一方で、中目黒には目黒川や西郷山公園など自然豊かなスポットも多く、古くから“住みたい街”として名を馳せてきた。

都内で不動産業を営むA氏も、中目黒に心惹かれたひとりだ。

「今から6年以上前、上の娘が小学生、下の息子も幼稚園に入り、そろそろ家族の拠点として一軒家を持ちたいと思い始めました。街の雰囲気が好きで、どこに行くにもアクセスがよく、加えて自然環境がいい。僕の勤務地にも近く、家族での時間が増やせるはず。そんな思いから、中目黒で土地を探し始めました」

だが超人気エリアゆえに、土地は皆無と言っていいほど出ていない。あっても、サイズが小さかったり、形状がよくなかったりで、運よく古くから住んでいる人が物件を手放しても、跡地は大体分譲マンションになる。

「土地がないなら、自分でつくるしかないなと。目の前が公園の理想的な場所に築古分譲マンションがあって、12戸のうち4戸がまとめて売りに出されていた。まずはその4戸を購入し、残りの8戸は入居者と交渉を重ねて、1戸ずつ手に入れていきました。約3年をかけて、土地を所有することができたのです」

バケラッタ

テラス、キッチンとひと続きになったリビング。冷温水を使って冷暖房を行うシステムを導入。湿度もコントロールされ、夏はカラリと冬は乾燥知らずの快適さ。

バケラッタ

1階の玄関を入ると、セカンドリビングが設置された開放的な空間。地下フロアから伸びる観葉植物はライトアップされ、色鮮やか。

家づくりは都市型のラグジュアリーな豪邸づくりに定評のある建築設計事務所バケラッタに依頼。数社にプランを提案してもらったが、バケラッタのプランが群を抜いてよかったという。

「テラスとリビング、キッチンをひと続きにして、家族の距離が縮まるような家にしたい。外部とは遮断されたプライベート性の高い空間でありながら、家の中は自然光が入る開放感あるムードにしたい。来客が多いので車庫スペースを多くつくりたい。漠然とイメージを伝えただけなのに、僕の想いがすべて実現した設計図が上がってきた。バケラッタは人の想いをくみ取り、カタチにすることに長けていると感じました」

バケラッタ

石の質感を押しだした重厚感あるキッチンは、リネアタラーラのもの。天井は木張りで温かみも。

さらにA氏は設計を担当した森山さんと竹内さんの人柄にも惹かれたという。

「完成した家の雰囲気をイメージできるようつくってくれた模型が精密すぎて驚きました(笑)。また、照明人感センサーをその部屋につけるのではなく、手前に配置することで、部屋に着いた時の何秒というストレスを解消する細やかさも。その心遣いに頭が下がります。おふたりは人気設計士で、常に複数の物件を抱え、全国を飛び回っている。それなのに労力を惜しまずやってくれることに感激したんです」

バケラッタ

1階のセカンドリビングはオリエンタルなムード。家族でくつろぐほか、来客との打ち合わせにも使われる。

バケラッタ

3階にあるA氏のベッドルーム。隣接する公園の緑が清々しい。

2021年10月に完成したA氏の邸宅。家族の距離は、予想以上に縮まった。広々としたテラスは天井がガラス張りになっていて、雨の日も食事や読書が楽しめるつくり。ここで、中学生の息子は剣道の稽古に励む。

高校生の娘はバンド活動に夢中。防音設備の整ったトレーニングルームがお気に入りで、ドラムセットを運びこみ、練習に励んでいるという。

バケラッタ

地下にあるトレーニングルーム。防音対策が万全でA氏の娘さんはドラムの練習に使っているという。

バケラッタ

ギャラリーを思わせる玄関。

「この家では、家族それぞれが自分の部屋に閉じこもることなく、自然に集まってくるんです。僕専用の仕事部屋もありますが、そこにも家族が過ごせるようにソファのセットを置きました。息子なんか、自分の部屋よりも僕のデスクで勉強していることが多いですよ。一緒にいれば会話が増えるし、娘が『一緒にダンスしよう』と言いだして、みんなで踊ることもあります」

いずれ大人になり、子供たちは親元を離れていく。だからこそ、絆を深められるうちに、最大限深めておきたい。

バケラッタ

リビングと同じ3.2mの天井高が気持ちいい手洗い。

バケラッタ

植栽がガラス越しに望めるゲストルーム。

「最高の家とは何かって聞かれたら、家族が自然と集まる家と答えます。土地探しからスタートして建築まで大変なこともありましたが、ここで暮らし始めてから、家族の距離がより近くなり大変満足してます」

バケラッタ

ガラス張りが多用されたテラスからは、2階のリビング、キッチンのほか、1階の駐車スペース、家族の個室がある3階の様子も眺められる。

バケラッタ

広い車庫スペース。

DATA
所在地:東京都
敷地面積:397.18平米
延床面積:764.78平米
設計者:建築設計事務所バケラッタ 森山善之+竹内典子
構造:鉄筋コンクリート造

【特集 浪漫のある家】

TEXT=川岸 徹

PHOTOGRAPH=鈴木拓也、下村康典

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