日本茶の窮地を救うため、立ち上がった5人の男。リーダー・中田英寿が信頼を置く、各ジャンルのプロフェッショナルたちを紹介する。4人目はクリエイティブディレクター水野学氏。
中田英寿と48種のお茶を試飲し、膨大なデザインを提案
熊本県のキャラクター「くまモン」やパナソニックのブランディングなど、話題の仕事を数多く手がける水野学氏。中田氏が率いる財団「TAKE ACTION FOUNDATION」の仕事で出会い、昨春から「HANAAHU TEA(ハナアウ ティー)」のプロジェクトを開始した。中田氏と48種類のお茶を試飲し、研究することからのスタートだったという。
「発酵茶と非発酵茶を48種類飲んでみてわかったのが、発酵系のお茶は味を感じやすい一方、飲みすぎて“お茶酔い”しました(笑)」
水野氏の仕事の方法には、自身が主導するスタイルと、相手の希望を具現化するスタイルがあり、中田氏とのプロジェクトは後者。パッケージの種類、ロゴ、フォント、色の組み合わせなど、中田氏と禅問答かのような対話を繰り返し、すべてイチから決めていった。パッケージデザインのサンプルの数は約1200種類にものぼったが、そうして完成したのはお茶の長い歴史を紐解き、デザインに落としこんだ伝統的な要素のあるものとなった。
お茶のルーツは中国にあり、中国語を語源とする呼び方は伝播経路によって「チャ」と「テー」の2系統に分かれる。水野氏いわく、中国からトルコまでの呼び方は「チャ」系統だが、ヨーロッパ圏では「テー」系統だ。パッケージの一部には、そのことに着想を得てCHA(チャ)とTHÉ(テ)の文字を十字に組んだマークが「文化のクロスを象徴するもの」としてあしらわれている。この日本茶も世界と日本をつなぐものとなるだろう。
Manabu Mizuno
1972年東京都生まれ。多摩美術大学卒業。ʼ98年good design company設立。ブランドや商品の企画、グラフィック、パッケージ、宣伝広告をトータルに手がける。他の主な仕事に相鉄グループ全体のクリエイティブディレクション及び車両・駅舎・制服等、三井不動産CI、HOTEL THE MITSUIなど。
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