“性の話をもっとオープンに”をテーマに活動を広げている、性教育YouTuberのシオリーヌさん。番外編では親子間における、性の悩みについて聞いてみた。【特集 仕事に効くYouTube】
性教育は幼児期から始めるべき
触れてはいけない、公の場で話してはいけないと、まだまだ思われがちな性の話題。とくに若い世代からの悩みに多いのが「パートナーからのスキンシップを断れない」というもの。その背景には「嫌だと言ったら嫌われるかも」という思いが潜んでいるという。これは、幼児期から“成功体験”を経てきたか否かが鍵になる、とシオリーヌさん。
「親子や身近な大切な人との間で、自分がスキンシップを嫌だといっても嫌な顔をされなかったとか、やめてくれた、受け取ってもらえたという成功経験を積み重ねておくのは、将来、友達や他人とのつき合いで意思表示ができることに繋がると感じます」
Q. 子供とは何才まで一緒に入浴してよいのでしょうか
A. 髪や身体が洗えるようになったら、1人での入浴を促してみましょう
聞かれることの多い質問です。「嫌って言われるまでは、いいのかなと思っています」と答える親御さんが多いのですが、子供が親に嫌と言えるのは、相当我慢をした後ではないかと思うんです。私自身、父親から「ほっぺにチューして」と言われるのがとても嫌でしたが、それを言えるまでには相当時間がかかりました。子供のNOを待つより、親の方から言い出す方が賢明です。
そもそも子供を1人でお風呂に入れない理由は、清潔に洗うためのサポートと、入浴時の安全を確保するためではないでしょうか。サポートが必要なくなったら「そろそろ1人で入ってみない?」と、大人の方から線を引いていくことが大事だと考えます。
それでも子供がまだ「一緒に入りたい」と言う場合、私だったら理由を説明したうえで断ると思います。日本は一緒にお風呂に入る、寝室を一緒にする文化があり、親子の距離が近いですが、自分のことができる年齢に到達したら、1人の人として子供を尊重する意識を持っていいのではないでしょうか。
Q.大学生(20歳)の娘から「ボーイフレンドと旅行に行きたい」と言われた
A.信じて送り出し『もし何かトラブルが起きたら相談して。味方になるから』と言葉を添えて
必要な情報はきちんと伝えたうえで、娘さん自身が行くと決めたのであれば、信じるしかないと思います。私もその年齢の娘に問われたら、きっと送り出します。
親が子を信じる気持ちを示すと同時に大切なのが、万が一トラブルが起きたとき、親に言える関係を持つこと。親に信じてもらった手前、「怒られるかも」と子供は隠したくなるかもしれませんが、性に関するトラブルは、すぐに対処すれば解決できるものも多い。「信じて送り出すけれど、何か問題が起きたらすぐに相談してね。絶対に味方になるから」と一言添えて送り出してはいかがでしょう。
Q. 保育園で息子がママ友の身体を触る。どう対処すべき?
A. 他の人の身体に触る場合は「触ってもいい?」って聞くんだよ、と伝えましょう
もし我が子がそういう行動をする場合は、プライベートゾーンを教えていている絵本を見せてもいいかもしれませんね。「水着で隠れている場所とお口は、とても大事なところだから、勝手に触ったり、人に触らせちゃいけない場所。勝手に見せたり、見てもいけない場所なんだよ」と伝えておくことが大切です。
また人の身体に触る場合は「触ってもいい?」と聞くことを、繰り返し伝えていきましょう。そして親も、我が子に対して同じ対応をしましょう。「ぎゅーってしていい?」とか「手を繋いでもいい?」と必ず聞くようにしていれば、子供も他人に対して自然と聞くようになるかも。私の知り合いのママは、子供とハグをする前には必ず確認をするようにしていて、「いいよーっていう日もあれば、嫌だという日もある」のだとか。その場合、子供に嫌だと言われても、嫌な顔をしない。ちゃんとNOを受け取り「じゃあ、ぎゅーしてもいいときは教えてね」と言うようにする。それが他人との関わりにも影響すると思います。
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【「もっと普通に話そう」性教育後進国・日本に切り込むYouTuberシオリーヌとは?】(Vol.1)
【"人を傷つけない"性教育YouTuberであるために。シオリーヌの超絶仕事術】(Vol.2)
シオリーヌ
性教育YouTuber。本名:大貫詩織。1991年神奈川県生まれ。助産師、思春期保健相談士。総合病院産婦人科にて勤務、その後精神科児童思春期病棟で若者の心理的ケアを学ぶ。全国の学校や地域のイベントで性に関する講演活動も行う。2019年からYouTubeを開設。著書に『こどもジェンダー』などがある。