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2022.09.17

【デーブ大久保】やんちゃな野球仲間たちの”非常口”になりたい

デーブ大久保こと大久保博元さんが2020年に開設したYouTubeチャンネル「デーブ大久保チャンネル」。球界の豪華OB陣が集うことで注目されているチャンネルだ。その人気の秘訣には、ただ野球の魅力を伝えたいという一途な思いがあった。大久保さんの実直な胸中に迫る。【特集 仕事に効くYouTube】

相手の懐に飛び込み、本音で話す

プロ野球選手としては、現役10年間で158安打41本塁打。失礼ながら、決して一流プレイヤーとはいえない成績のデーブ大久保こと大久保博元さん。しかし彼が2020年にスタートしたYouTube「デーブ大久保チャンネル」には、レジェンドクラスのプロ野球OBが続々とゲストとして登場する。彼はいかにしてその人脈を築いていったのだろうか?

「自分でいうのもアレですけど、相手との距離感みたいなのを掴むのはうまいほうだと思います。僕は学生時代、決して真面目な生徒ではなかったんですが、そういう人間って相手の怒りの沸点がどのへんにあるかというのが感覚的に分かるんですよ。そして、この沸点のすぐ近くにその人の喜ぶツボがあったりする。たとえば、こわもての風貌の先輩がいたとすると、僕はあえて『親分!』って呼びかけるわけです。まわりの人はギョッとしますけど、言われたほうは『ふざけんな!』っていいながら喜んでいたりするわけです。当たりさわりのない話をしていても仲良くはなれない。人の懐に飛び込もうと思ったら、相手のギリギリのところまで行って、本音で話す。そうすると、みんなが怖がるような先輩たちとも仲良くなれたりするんです」

現役引退後の解説者時代には、当時現役だった後輩プレイヤーと関係を深めていった。

「先輩の解説者はみんなすごい成績の人ばかり。そのなかで僕が存在感を示そうと思ったら、とにかく取材するしかない。そのために試合が始まる5〜6時間前、先輩の解説者の2〜3時間前に球場に行って、個人練習からずっと見るんですよ。練習の邪魔になってはいけないから、こちらからはあまり話しかけず、とにかく選手を見続ける。それを続けていると、選手のほうから『今日の調子はどうだ』とか『あのピッチャーはどうだ』とか、声をかけてくれるようになってきた。一緒の時間を過ごすことで信頼関係ができてくるんですよ。試合中、僕が解説しているときにその日ベンチに入っていない選手から電話がかかってきたこともありましたよ。『もっとこういうことを喋ってくれ』って(笑)」

大久保さんが愛用する取材ノート。重要な順番に緑、赤、マイナスなことは青と、細かに色分けをして情報を整理している。

ただ「自分が楽しむため」だけにやる

長年の人脈づくりが現在の「デーブ大久保チャンネル」の人気につながっている。そんなデーブさんに触発されたのか、この1年ほどの間に元プロ野球選手のYouTubeチャンネルが続々スタートしている。ライバルたちの登場をどんなふうに思っているのだろうか?

「僕は、みんなにどんどんやったほうがいいと言っているんです。テレビ中継がなくなっているなかで、いろんなOBがそれぞれのやり方でプロ野球の魅力を伝えていって、盛り上げてほしい。ライバルが増えるのはいいこと。喜多方ラーメンだって、2、3軒しかなければあんなに有名にならなかったでしょ。喜多方に行けばたくさんのラーメン屋があってそれぞれの味を競っているから、ラーメン好きは『あの町に行ってみたい』と思う。だから僕は、コラボもどんどんやりますよ。登録者数が少ないOBのチャンネルに出るときとか、絶対増やしてやろうと思って自分のチャンネルより一生懸命喋ります(笑)」

再生回数にも収益にも興味なし。とにかく「自分が楽しむため」だけにYouTubeの配信を続けてきた。スタートから2年以上たった今、どんな思いで自分のチャンネルと向き合っているのだろうか。

「いちばんうれしいのは、YouTubeを理由にして昔の仲間と会って楽しく話ができることですね。みんなと話しているうちに、やっぱり自分の真ん中には野球があるんだということを再確認できたような気がします。元手なんてほとんどかかってませんからね。うちの場合はスマホ2台で撮影して、あとはマイクをつけてしゃべるだけ。僕がゲストを呼んで、頭のなかの台本で喋って、息子が編集する。コストなんてスマホとパソコンの電気代、あとはゲストにお渡しするお車代くらい。それで自分が楽しんで、観る人が楽しんで、ゲストや手伝ってくれる息子まで喜んでくれるなら、こんなにいいことはないでしょう」

okubo

事務所の社長であり、「デーブ大久保チャンネル」に投稿する動画の編集も担当する息子の泰成さん。親子二人三脚で、動画制作に励んでいる。

「デーブ大久保チャンネル」には、不祥事などを理由にプロ野球界から離れてしまったOBもゲストとして登場している。

「キヨ(清原和博)のときもそうでしたけど、過去に過ちがあったとしても反省してやりなおしたいと思っている仲間は応援したいじゃないですか。僕自身、何度か問題を起こして迷惑をかけたこともありました。でも今もこうしてプロ野球に関わりながら生きることができている。そういう自分だからこそ、行き場のない元選手がいたら、なんとかしてあげたい。これはYouTubeだけの話ではないですが、僕がそういう人たちの“非常口”みたいになってあげて、社会復帰や新しい活動のきっかけを作れたらいいなという思いはあります」

バカ話をしながら豪快に笑っていたかと思うと、ときに繊細で真面目な一面も見せる。ただひたすらにプロ野球を愛するデーブさんだからこそ、「デーブ大久保チャンネル」にはゲストもファンも続々と集まるのだろう。

■プロ野球の裏側が丸見え!? 「デーブ大久保チャンネル」にOBが集まる理由とは

Hiromoto Okubo
1967年茨城県生まれ。’84年にドラフト1位で西武ライオンズに入団。’95年にプロ野球引退後は打撃コーチ、東北楽天ゴールデンイーグルス一軍監督など幅広く活躍した。’16年からは野球解説者として活躍する一方、東京・新橋に居酒屋「肉蔵でーぶ」も経営。’20年から開設したYouTubeチャンネル「デーブ大久保チャンネル」では、居酒屋「肉蔵でーぶ」店内で、幅広いプロ野球関係者のゲストを招くトーク動画を配信している。

【特集 仕事に効くYouTube】

TEXT=川上康介

PHOTOGRAPH=古谷利幸

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