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2022.05.22

直木賞作家・今村翔吾「今からでも夢は叶う」──短期集中連載「Climbers 2022 – 春 –」

アスリート、文化人、経営者ら各界のトップランナーによる新感覚オンラインライブイベント「Climbers(クライマーズ)」。その第4弾が、5月13日から3日間にわたって開催され、35人の仕事人が出演し、ビジネスパーソンを大いに熱狂させた。今回、直木賞作家 歴史小説・時代小説家の今村翔吾さんによる特別講義を一部抜粋して掲載。すべての講義を聴くことができるアーカイブ配信はこちら。※5月17日〜5月31日18時までの無料限定公開。【短期集中連載「Climbers 2022 – 春 –」はこちら】

「小説家になる」と言いながら、心のどこかであきらめていた

デビューから6年経ちましたが、いまだに著者紹介に「元ダンスインストラクター」と記されています。小学生の時から歴史小説に傾倒し、将来は歴史小説家になりたいと思っていたのですが、実家がダンススクールを営んでおり、人手が足りないということから、小・中・高校生にダンスを教えていたのです。

歴史小説家のデビュー平均年齢は50歳前後。人間の心の動きや機微を知るためにも、年齢を重ね、人生経験を積まなくてはならない。そう思っていたので、レッスン開始前は毎回のように、「いつか小説家になるからね」「僕が、直木賞とったらどうする?」なんて話をしていました。でも、心のどこかであきらめていたのだと思います。「家業だから」とか「人手不足だから」などと言い訳をし、自分自身をごまかしていたわけです。

それを、教え子のひとりに指摘されました。彼女が、家庭環境が原因で進学先をあきらめようとしていた時、「本当にやりたいことがあるなら、挑戦しろよ。夢をあきらめるなよ!」と、熱血教師ぶって告げた時に、「翔吾くんだって、あきらめているくせに」と言い返されて……。まさに図星で、言い返す言葉がなかった。あの晩は一睡もできませんでした。

直木賞が目標なのに、対象になる単行本ではなく文庫本作家に

3日後、父親に「ダンスインストラクターを辞め、小説家になる」と宣言。3日後に文学賞があるのを知り、「ここで書けなければおしまいだ」という気持ちで、必死になって80ページの作品を書き上げ、応募しました。小さな賞でしたが、それが賞を受賞。「書く」という経験はなかったけれど、「読む」経験だけは積んできたので、それが活きたのでしょう。ただ、文学賞すべてがデビューにつながるわけではないんですよね。結局、1年半で12回、応募しては受賞を繰り返し、ようやく文庫本でデビューすることができました。

でも、目標にしていた直木賞は、単行本が対象。文庫本作家になってしまった僕は、サッカーワールドカップを目標にしていたのに、フットサル選手になってしまったようなものです。そこで今度は、単行本デビューを目指すことに。当時は行政で働いていたので、睡眠と食事、お風呂の時間を削りながら、書きまくりました。その時書いた『童神』が単行本でのデビュー作となり、しかも、直木賞候補にもなったんです。あの時は号泣しましたね。

夢を叶える秘訣は、公言し、やらざるを得ない状況に自分を追い込むこと

『童神』から4年、今年、『塞王の楯』で念願の直木賞をいただくことができました。その時脳裏に浮かんだのは、ダンススクールで、「いつか直木賞を獲るよ」と言っていた僕の話を、膝を抱えて聞いていた子どもたちの姿でした。この8年間、僕を支えてきたのは、「子どもたちに宣言したのだから、直木賞を獲れなかったら恥ずかしい」という想いだったのだと思います。だから、直木賞というホームランを打つために、ヒットが出なくても、打率0割でも、まったく気にせず、打席に立ち続けた。夢を叶える秘訣は、それに尽きます。もしも今、夢があるなら、思い切って口に出してみて。そして、「やらなければ恥ずかしい」という状況に自分を追い込むこと。っこの2つが、夢を叶えるポイントだと、僕は思います。

最近は、「夢は叶う」と言いづらい風潮があります。子どもに無駄な期待をさせてはいけないからと。でも、大人たちが、闇の部分だけを語り始めたら、子どもは何を見て進んでいけばいいのでしょう。だから僕は、あえて光の部分だけを語る大人になろうと思います。そして、これからも、やりたいことはどんどん公言し、夢を叶えていきたいと思います。

今村翔吾さんの講義全文を動画でチェック。※5月17日〜5月31日18時までの無料限定公開。

【短期集中連載「Climbers 2022 – 春 –」はこちら】

TEXT=村上早苗

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