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2022.05.19

【ハリス】「人がつくった1を100にするのがコンテンツディレクターの仕事」──連載「NEXT GENERATIONS」Vol.5

新世代のアーティストやクリエイター、表現者の仕事観に迫る連載「NEXT GENERATIONS」。第5回は、日本を代表する“KAWAII”の聖地である「KAWAII MONSTER CAFE」で、ショーの演出やダンスの振り付けなどを担当したコンテンツディレクターのHarris(ハリス)が登場。今の仕事に就いたきっかけや、今世界的に注目を集めている“KAWAII文化”を国内外に発信していくポイントなどを聞いた。後編はこちら

連載「NEXT GENERATIONS」

すべてのきっかけはダンスから

ハリスとはいったい何者なのか? 奇抜なファッションにカラフルなヘアスタイル。その姿を見た人からはそんな疑問が浮かぶのは当然だろう。ハリスはコンテンツディレクターとして、エンターテイメント施設でのステージパフォーマンスの演出・指導などを行い、施設のクオリティを上げるのを主な仕事としている。それは本来、表には出ない裏方の仕事でもある。

「実は『NHK紅白歌合戦』にダンサーとして出場したことがあります」

ハリスのことを裏方の仕事をメインとする人物としか捉えていなかった取材陣は、なかなか衝撃的な事実をいきなり知らされた。コンテンツディレクターとして紹介されることの多いハリスだが、実はダンスがこの業界に入ったきっかけなのだそう。ただ、彼にとってコンテンツディレクターの仕事と、ダンサーの仕事には少し違いがあるようだ。

「コンテンツディレクターとしての組織やチームでの活動は、やりたいことを表現できる場所。そして、イベントで踊るなどのパフォーマンス活動は、心が安らぐ場所なんです。実は、僕は中学生まで至って普通の学生でした。でも、高校生になって独学でダンスを始めてみた時に、今のような個性を出すことに目覚めたんです。今は主に『I PRIDE』というグループで、ダンサーとしての活動を続けています」

Harris

“KAWAII文化”の聖地である原宿のKAWAII MONSTER CAFEのコンテンツディレクターになったのも、そもそもダンスがきっかけだった。「KAWAII MONSTER CAFE」とは、フォトジェニックな内装やフード、ここでしか味わえないエンターテイメントショーが話題を呼び、年間15万人以上の来場者数を誇った東京を代表する観光地。

「僕がまだKAWAII MONSTER CAFEに関わる前に、とあるイベントのアートディレクションをしていたんです。そのイベントの会場としてKAWAII MONSTER CAFEを使わせていただいたんですけど、その際に当時のステージパフォーマンスを見て『惜しいな!』と思って。『ここをこうすればもっと良くなるのにな』なんて色々と考えていたんですが、それを思い切って当時の店長に伝えたんです。そしたら、そのままダンスの振り付けなどを任されることになって(笑)。気づいたらコンテンツディレクターになっていました」

それまでコンテンツディレクターを経験したことはなかったというハリス。初めての仕事を突然任されて不安はなかったのだろうか?

「なかったですね。もう既にモノはあったので。KAWAII MONSTER CAFEも、そこに出演していたパフォーマーたちも最初から素晴らしかったので、コンテンツを少し磨くだけでもっと良くなると思いました。自分がやったことは、ダンスのパフォーマンスや振り付けの質を少し上げただけ。その部分は元々自分が持っているスキルだったので、すんなりとできました」

海外客をつかむのは現地感が大事

ダンスで『NHK紅白歌合戦』に出演するほどの成功を収めたハリスだが、本職のコンテンツディレクターという仕事についてはどのように考えているのか。そのことを質問すると、少し悩んだ表情を見せつつもはっきりとした答えが返ってきた。

「コンテンツディレクターという仕事は、既に存在するものをよりよく見せることだと思っているんです。僕は0から1のものを作ることが苦手です。まず1が存在して、それをどう100に持っていくかというのを考えることが僕の役割。KAWAII MONSTER CAFEも増田セバスチャンさんというプロデューサーが存在して、箱も既にある状態。それをどう見せて、どうコンテンツ化すれば、より魅力が引き立つのかということを考えました」

KAWAII MONSTER CAFEは、コロナ禍以前は海外からの観光客が多かったのも特徴。世界に日本の“KAWAII”を発信する際に意識したことはあったのだろうか。

KAWAII MONSTER CAFEのモンスターガール

ハリスがコンテンツディレクターを務めたKAWAII MONSTER CAFEのモンスターガール

「コロナ禍以前は、お客さんの6〜7割が海外の方だったので、基本的には海外の方が楽しめる空間作りみたいなのものは考えてました。だからといって、MCを英語にはしませんでした。私たち日本人がアメリカや海外のショーを見る時も言葉がわからないことなんて往々にありますよね。むしろわからない方が、その空間にいること自体を楽しめるし、現地感も出ます。ただ、使用する楽曲だけは洋楽が多かったです。『この歌、知ってる!』ってなると、親近感が出てくるようになると思うので。この、疎外感と親近感のバランスを重視していました」

しかし、2020年から新型コロナウイルスの感染拡大による渡航制限で海外からの観光客が激減、2021年1月にKAWAII MONSTER CAFEは一時閉店してしまう。来店を促すPRやショーなどのパフォーマンスができない状況でも、お客さんとキャストが手の消毒をしながら一緒に踊れる「除菌ダンス」や、YouTuberのブリアナ・ギガンテとのコラボ商品を販売するなどし、日本人の来客数がコロナ前と同程度の水準に回復していたにも関わらず惜しくもクローズとなってしまった。

後編はこちら

 

Harris
『KAWAII MONSTER CAFE HARAJUKU』や『Ty』などのブランドのほか、カルチャープロダクション「ASOBISYSTEM」に所属するアイドルグループのコンテンツディレクターを兼任。2014年に結成されたダンスアーティストグループ「I PRIDE」のメンバーでもあり、ダンサーやモデルとしても活動中。数々のイベントやショーを通して“KAWAII”を原宿から世界に発信をし続けている。

 

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NEXT GENERATIONS

新世代のアーティストやクリエイター、表現者の仕事観に迫る連載。毎回、さまざまな業界で活躍する10〜20代の“若手”に、現在の職業にいたった経緯や、今取り組んでいる仕事について、これからの展望などを聞き、それぞれが持つ独自の“仕事論”を紹介する。

TEXT=荒尾英

PHOTOGRAPH=デレック槇島(StudioMAKISHIMA)

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