YouTubeだけでなく、テレビやSNSでも注目を集めているブリアナ・ギガンテさんに、ゲーテ編集部が独占取材! [ゲーテ]2022年4月号に掲載しきれなかったお話を、先行公開。謎に包まれた“小粒ちゃんメイク”の奥に、さらに迫ってみた──。
「あなたの夢に、お邪魔します。It’s me, Briana Gigante」
この独特なキャッチフレーズで、今若い層から絶大な支持を集めているブリアナ・ギガンテさん。官能的な唇とつぶらな小さい瞳、動画の中で繰り広げられる独自の世界観は、一度見たら忘れられない魅力がある。
2022年2月、ブリアナさんの自身初となる著書「世界でいちばん私がカワイイ」が発売となった。恋愛観やメイク術、メンタルのこと、過去のことなど、今まで語られてこなかった話にも触れられており、謎に包まれたブリアナさんの魅力に触れられる本書。悩んだ時や落ち込んだ時に元気をくれる、と発売早々話題になっている。ブリアナファンはもちろんのこと、まだブリアナさんを知らない人にも、読んでもらいたいパンチの効いた一冊だ。独特な世界観、圧倒的な説得力、類を見ない特別感。多くの人が惹かれる理由が、きっと見えてくることだろう。
収入や職種に関係なく、どんな仕事も重要な存在
現在、自身の番組だけでなく、企業とのコラボ動画や、自身のイラストが描かれたグッズの販売など、幅広い仕事に取り組んでいるブリアナさん。しかし、ギャラの多寡に関係なく、「自分がやろう」と決めた仕事は区別せず、すべてに熱量を込めるように心掛けているという。
「これまでわたくし、色んな仕事をしてきましたし、うまくいかない仕事もありました。けれど、どの仕事のときも、『自分の仕事が重要じゃない』とは考えないようにしてきました。すべての仕事が重要です。“なんとなく”で働いている方々も中にはいると思いますが、その人たちが存在してくれているから助かってることも、たくさんあると思います。例えば、コンビニのレジの方。最近はセルフレジが増えていますが、ちゃんと商品を会計してくださる方がいると、やっぱり助かるじゃない? だからこそ、レジで会計をしてもらったら、わたくしは『ありがとうございます』と言うようにしております。何故ならわたくしがコンビニで働いていた時に、その言葉が嬉しかったから。店員さんは気にしてないかもしれないけどね。自己満足」
なんて素敵な“自己満足”なのだろうか。ブリアナさんは、さらに、こんな風に続けた。
「それと、当時嫌な気持ちになったことを、自らがしてしまわないように気を付けております」
自身が嬉しかったことは、知らない相手にも、する。嫌だったことは、しない。……シンプルなことだけど、皆がそうできれば、優しい社会ができるはずだ。今の時代、しみじみと思ってしまう。
さて、「どんな仕事も大切、どんな仕事でもプライドや自信を持って働くことが素敵」──そう話すブリアナさんは、まさに、働くすべての人の味方だ。しかし、だからといって、つらくて仕方のない仕事にしがみつくことはないとも言う。
「わたくしは、今の仕事をするまで、色んな仕事をしてきたけど失敗も多くて。長く続けられるかなと思った仕事も、気持ちがキラキラできなくて辞めてしまいました。これを読んでくださっている方も、もし今の仕事に苦労しか感じないとしたら、それはあなたに合っていない証拠なので、我慢しなくていいと思います。合っている仕事なら、やりがいも感じるんじゃないかしら。『苦労は買ってでもしろ』とか『苦労を乗り越えてこそ成長できるもんだ』とか言う人、よくお見かけしますが、そんなものは人それぞれ。ご自身を押し殺してまで、その場にいるのは寿命が縮まります、普通に。立ち去る道を模索しましょう」
「どうするか迷った時、その迷いをポジティブに変換できなかったら、自身にとって縁がないものと考えております」
ブリアナさんは本書の中で、人間のキャパシティを“イカダ”でたとえている。その“イカダ”で人生の川をわたっている、というイメージだ。「だいたいの人は、そんなに大きなイカダを持っていない」と言うが、大きなイカダを持っていないからこそ、なにを載せて、なにを捨てるかが大切。それこそが人生を左右することになる、というわけだ。
「わたくしのイカダは小さいので、すぐに溢れてしまいます。だから、イカダに載せるものは厳選しております。仕事も人間関係も。たくさんのものを載せたい人は、補強しながらどんどんイカダを大きくしていかなくてはいけないけれど、それは人それぞれでございます」
そうはいっても、なにをイカダに載せるかを選択するのは、多くの人にとって簡単なことではない。そういえば以前、ブリアナさんはYouTubeで、「自分が着たい服と似合う服のギャップがあり、迷ってしまいます」という相談を受けていた。
「例えば、自分がイカダに乗ってるとして、木にかかっているあの服が欲しいと思っても、迷っていたら通り過ぎてしまいますよね。ぶっちゃけ、取るか取らないかは直感で決めるしかないじゃない? でも、だいたいの人は『どうしよう』って思ってるうちに、通り過ぎちゃうんだよね。わたくしは、“迷った時は、縁がなかったんだ”と思うようにしております。服も仕事も男もすべて、“迷った時は、縁がなかった”。自分にとって必要なものは、もう一回現れたりするものです。だから、迷っているうちにそれがなくなっても、大丈夫」
誰だって、人生で本当に大切なもの“だけ”を、迷わず掴み取りたい。そのために必要なものは、“ポジティブな柔軟性”。ブリアナさんのお話を聞いていると、大事なことに次々と気づかせてもらえる。
ストレスはちゃんと原因を把握して克服していく
新刊の中でも、「ストレスでへし折れそう! という時は、逃げることも大切」と書かれているが、そんなブリアナさんのストレス発散法は、甘いものを食べること。美味しいものに精神が囚われることで、ストレスと少し距離を取ることができ、冷静に物事が判断できるとか。また、もうひとつのストレス発散法として、“無”になるくらい寝ることも有効だそう。ただの睡眠ではなく身体が痛くなるくらいまで寝る。人によっては1日を無駄にしたというネガティブな気持ちになることもありそうだが、ストレス発散の方法はいくつか持っている方がよさそうだ。
しかし、ストレスに対処する中で最も大切なことは、ストレスの性質を理解すること。「そのストレスが、どこから来ていて、どんな時にストレスを感じるか」を自分で分析することが一番の解決法だという。
「そのストレスが、自分が引き寄せたものか、外から勝手に来ちゃったものなのかを把握しないと、上手く対処ができません。『すべてのストレスが他人から与えられている』と考える人は、一生不幸なんじゃないかしら。ほとんどのストレスは、自分から出ているものです。自分が選択したことでストレスを被る結果になったりするので、『その選択をした自分の問題だ』と思わないと」
耳が痛い……。つらい時ほど人のせいにしたくなってしまうのが、人の常である。といっても、自省しすぎてくよくよ悩んでいるのもよろしくない。
「なんでこうなっちゃったんだろうって悩むんじゃなくて、『ああ失敗しちゃった、生きてたらこういうこともあるよね』って考えるようにしております」
なるほど、そうか。ブリアナさんの魅力は、無理のないポジティブさだ。今の自分を認めてあげる、許してあげる、と言うほうが、しっくりくるだろうか。
「克服できることとできないことを、見極めないといけません。一生直らないものもありますから、それを認めることも大事。でも、工夫はしないとね。わたくしは忘れっぽいのですが、それは自分でよくわかっています。大事なお仕事でも忘れちゃうことがあって、数分前まで覚えていたのに、ぽっかり抜けちゃっていたりする。だから、ホワイトボードに大きな文字でお仕事の企業さんの名前を書いたりしています。そうすることで大事なことを忘れないようにしているんです」
取材当日もホワイトボードに「ゲーテさん」と書いていたというブリアナさん。「そんな小さなこと?」と言う人もいるかもしれない。しかし、仕事って、自分のできないことを小さなことからひとつずつクリアしていった先にしか、できることを小さなことからひとつずつ重ねていった先にしか、成果は出てこないものだ。小さなことの大切さも、ブリアナさんが話すと、チャーミングなエピソードになる。
そして最後に、こんな素敵な言葉をくれた。
「コンプレックスは、そのままにしておくのではなく、しっかりと認めながら自信を持って生きている人がカッコいいと思っております」
ブリアナさんは、周囲の基準や価値観に縛られることなく、自由に生きているように見える。でもそれは、“勝手気まま”というのとは、真逆だ。ブリアナさんの話を聞いていると、常に「誰か」の存在、「誰か」への心遣いを感じる。自分の中に痛みを抱え、そういう痛みの中から出てきた言葉だから、説得力がある。人の言葉を借りず、自分の言葉でたどり着いた答えだから、人の心に刺さる──。ブリアナさんに救われる人が多いのも、癒される人が多いのも、夢中になる人が多いのも当然だ、と思う時間だった。
2022年にフランスで公開予定の映画「シャイニー・シュリンプ!」シリーズの続編にも出演が決定しているブリアナさん。これからも目が離せない。
Briana Gigante
自称ニュージャージー生まれ。人気YouTuberでポールダンサー。2020年3月にYouTubeを始めると、たちまち話題に。インパクト大のメイクとファッション、おっとりとした口調、妖艶なキャラと独特な世界観にハマる人が続出している。