まだまだ先行きが見えない日々のなかでアスリートはどんな思考を抱き、行動しているのだろうか。スポーツ界に暮らす人物の挑戦や舞台裏の姿を追う連載「コロナ禍のアスリート」から、水泳選手の戦いをまとめて振り返る。※2020年、'21年掲載記事を再編
おのののかを射止めた競泳男子の塩浦慎理が目指す東京五輪への道
美女と顔を寄せ合い笑顔を見せるモヒカンのスイマーが話題を集めたのは9月9日のことだった。タレントおのののか(28)と結婚した競泳男子の塩浦慎理(29=イトマン東進)は日本屈指のスプリンター。世界大会の個人種目でメダルがないため、萩野公介(26=ブリヂストン)、瀬戸大也(26)らと比べて知名度は高くないが、競泳の花形である短距離の自由形を長年引っ張ってきた逸材だ。
世界選手権に4大会連続出場中で、2013年スペイン・バルセロナ大会では北島康介らとともに男子400㍍メドレーリレーで銅メダルを獲得。2019年夏の韓国・光州大会では50㍍自由形で日本人として18年ぶり2人目のファイナリストとなった。
'16年リオデジャネイロ五輪にも出場。来夏の東京五輪日本代表入りも有力視されている。トレードマークのモヒカンは初めて日本代表入りした'13年に初挑戦。目立つために奇抜な髪型にしたが「引き際が分からない」と7年以上も継続している。
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競泳界の新鋭、"生粋の慶応ボーイ"佐藤翔馬が北島康介氏の後継者たるゆえんとは?
東京五輪出場を狙う19歳の佐藤翔馬は、生後半年から「スパ白金」のベビースイミングに通った。幼稚舎から慶応一筋の生粋の慶応ボーイ。消化器内科医の父が4代目という医師の家系に育ち、幼少時代には自らの意思で野球、サッカー、体操、お絵かき、ピアノなどを習った。少年野球チーム「オール麻布」ではプロ野球日本ハムの清宮幸太郎の1学年後輩。清宮とは小2まで通った慶応スイミングでも一緒泳いだ間柄だ。
1月の「北島杯」男子200メートル平泳ぎで優勝。2分7秒58の好タイムで前世界記録保持者の渡辺一平(23=トヨタ自動車)を破り、一躍注目を浴びた。成長著しく10月の日本学生選手権(インカレ)では世界歴代5位の2分7秒02を記録。150メートルまでは昨夏の世界選手権でアントン・チュプコフ(23=ロシア)の出した世界記録を上回るペースだった。
エリート一家で育ったが、競泳では高校3年まで全国タイトルと無縁だった苦労人。東京五輪直前に頭角を現し「目標は東京五輪での金メダル。来年4月の五輪代表選考会(日本選手権)で、2分6秒台前半を出して五輪につなげたい」と志は高い。
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競泳花形種目の自由形で金メダルを狙う"カツオ"こと松本克央がブレークの予感!?
競泳の花形種目の自由形で金メダルに手が届きそうな選手がいる。東京五輪日本代表選考会として、東京アクアアティクスセンターで開催されている日本選手権の男子200m自由形決勝で松元克央(24=セントラルスポーツ)が自身の保持する日本記録を0秒48更新する1分44秒65で優勝し、自身初の五輪出場権を獲得した。
2016年リオデジャネイロ五輪の優勝タイムと同じ記録で、'19年世界選手権の優勝タイムを0秒28上回る。世界選手権では1着でフィニッシュしたラプシス(リトアニア)がフライングで失格しているが、その幻のタイムよりも0秒04速い。松元は「44秒台を出せてうれしい。五輪の金メダルに向けて順調にきている」と手応えを口にした。
決勝レース直前の招集所では五輪延期が決まった1年前を思い出していた。当時も代表選考会で1分44秒台を出す自信があっただけに、ショックは大きかった。モチベーションをつなぎ止めるため、この1年は「1年前の自分に勝つ」をテーマに設定。ノートに書き留めていた1年前のタイムを上回ることに集中した。「1年前の自分に負けなければ確実に1分44秒台は出せる」と、五輪の開催可否が不透明な状況が続く中、厳しい練習に耐えてきた。
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