宮崎出身の黒木啓司さんが九州各地を回り、九州が誇るさまざまな魅力を全力で深掘り。黒木さんの太鼓判(=啓印)を押す! 今回は、博多の旧市街にある予約困難な人気店をご紹介。【啓印15】
レトロな横丁で味わう“ノンジャンル”なコース料理
昭和の街並みが残る博多の旧市街・奈良屋町。その名を冠した「奈良屋町 青」は、2019年6月の開店後すぐに予約の取れない人気店となった。理由は、店主・金田英之さんの技術と感性、そして人柄にある。音響の仕事から料理の道に入り、老舗の「神戸北野ホテル」や東京の名店「日本料理 龍吟」、またアジアや中東、アフリカ、ヨーロッパなどで修業を重ね、バンコクの世界的レストラン「ガガン」でも腕を振るった。
メニューは全15〜16品のコースのみ。日本料理をベースに洋食の技術も織り交ぜながら、地元の旬の食材で自在に遊ぶ。季節で替わる料理のなかでも、最初に供される丸い形をしたスペシャリテは不動の一品。
豚足、フォアグラ、トリュフを使った餡(あん)をケーキ生地の球体に閉じこめる発想は、中国料理の点心にも通じる。これを手で摑んで味わい、緊張をほぐすことで饗宴(きょうえん)は楽しさを増していく。「塩味と甘味の加減がちょうどいい」と黒木さん。後に続く料理についても、金田さんと会話が弾む。
「驚きながら、美味しく楽しく食べてほしい」(金田さん)。謙虚で朗らかなその人柄のおかげで、洗練された空間と料理にリラックスして浸れる。
奈良屋町 青
住所:福岡県福岡市博多区奈良屋町4-11-3
TEL:092-272-2400
営業時間:18:00~23:00
店休日:不定休
席数:カウンター9 席
料金:おまかせコース¥16,500~(サービス料別)
※完全予約制