外食業界のカリスマ西山知義が今、ハワイに別邸を構える理由

佐島、軽井沢に続き、ハワイに3軒目となる別邸を完成させた西山知義氏。ハワイに拠点を構える場合はコンドミニアムが主流である中、西山氏は手間もコストも時間もかかる"一から建てる"ことを選択。ハワイでは稀だという別邸建築に踏み切った理由には、「自分が好きな環境に身を置くこと」にこだわる、西山氏ならではの美学があった。


自らの理想をカタチに

風が吹き抜けるリビングの向こうには、遮るものなく続く青い海。モダンな室内には、この邸宅のために描いてもらったアートが空間を印象づける。ハワイ随一の高級住宅地カハラに2018年9月に完成したばかりのこちらが、ダイニン
グイノベーションの西山知義氏の別邸だ。

「イメージしたのは、セレブリティやサーファーも多く住む、マリブ。そこに本店を持つ『ジェームス パース』の世界観のように、シンプルななかに上質感
を感じるデザインにしました」

目の前には海が広がる絶好のロケーション。プールにはジェットバスも完備。「どの部屋も室内外を一体化したい」と要望し得た、開放感たっぷりのつくりで、ハワイでは希少なモダンなデザインも特長。

「自分が投資するものは、すべて人をつなぐもの」と、ホテル以上に快適なゲストルームや、BBQもできるプールサイドのテラスなど、訪れるゲストをとことんもてなすこの別邸。ただ、ここは他の拠点と異なり、より自分自身のための場所という感覚があるという。

「ワイキキから離れていることもあり、静かで落ち着けるんです。夜、窓を全開にして波の音とともにお酒を飲んでいると、本当に特別な気持ちになる。自
分を解放できる、より親密な場所になっている気がします」

実はこの別邸、完成までに要した期間はなん4年。もともと数軒のコンドミニアムを経て、30年以上通ったハワイに、今度は一軒家を購入したいと思った西山氏。カハラ地区の中でもわずかな区画しかないという、海に面したこのエリアを気に入るが、自身が納得のいくデザインの物件は皆無。結局、一から建てることを選択した。

その後は何度も打ち合わせでハワイを訪れ、途中、設計の変更も余儀なくされた。コンドミニアムを購入したり、高級ホテルに滞在したほうが楽なはずだが、それでも"自分の城"を持つ意味があると西山氏は言う。

「まず、予約なしでいつでも自由に使えること。そして最も重要なのが、常に自分の好きな環境にいられることです。どんなに素敵なホテルやコンドミニア
ムも、すべてを思いどおりにはできないですよね。自分で一からつくった拠点なら、どこにいても自分のライフスタイルに合わせた居心地のいい空間に身を
置くことができる。こんな贅沢はないと思っています」

簡単にお金を使ってしまうなら、それはただの浪費。対して、決して楽ではないが、時間や手間をかけても納得いくまで自分自身を追求する。それが本来の投資のカタチとするならば、西山氏の別邸は、まさに理想の自己投資といえるはずだ。

Tomoyoshi Nishiyama
1966年生まれ。レインズインターナショナルを創業後、ダイニングイノベーション設立。「焼肉ライク」など国内外に100店舗以上を展開。

Text=牛丸由紀子 Photograph=宮澤 拓