「研究者魂 経営者脳 ~iPS細胞実用化を目指して~」山中伸弥「研究者魂 経営者脳」Study11

テレビや新聞等の取材をよく受けているのですが、メディアの影響力は大きいので誤解を与えないように、話す時は言葉を選び、緊張感をもって臨んでいます。

所長としての職務のうち、エネルギーの半分をiPS細胞研究に関する周知や寄付募集に費やしているわけですが、こうしてメディアの取材を受けるのには理由があります。CiRA(サイラ)にはiPS細胞研究に期待してくださっている患者さんや一般の方から日々メールやお手紙が届きます。そうした国内外から届く声に一日でも早く応えたいと、研究者たちは日夜研究に励んでいます。公的な研究費だけでなく寄付金もいただいてますから、研究の進展をきちんと説明するのが研究者の責任のひとつと考えています。iPS細胞研究はまだ新しい分野なので、多くの方に理解してもらえるよう、メディアを通じて自分の口から話すように心がけています。

周知や寄付募集に費やす、もうしひとつの理由

(C)京都大学iPS細胞研究所 研究者として所属する、米・グラッドストーン研究所の自身のオフィス。1カ月に1度はサンフランシスコのこの地へ。

もうひとつの理由としては、日本に寄付文化を根づかせることです。アメリカの大学や研究所のトップは業務時間の大半を寄付募集に費やしています。寄付集めの専門家"ファンドレイザー"を雇用するだけでなく、さまざまな業務があるなかで寄付募集を優先し、トップ自らが行動しているのです。スタンフォード大学は年間1500億円を超える寄付を集めていますし、その寄付を運用して運用益を確保しています。アメリカの大学運営に比べると日本の大学は出遅れているように感じます。そのため、CiRAの所長としてiPS細胞研究基金への寄付募集を周知するのを目的に取材は時間が許す限り受けています。

寄付募集のためのマラソン大会出場も恒例となりました。実は20代の時にも数回フルマラソンに挑戦したことがあるのですが、いつも途中から歩いていました。6年前にマラソンを再開し、20代の自分に負けない記録でゴールして以来、すっかりマラソンの虜です。

7月23日には国外で初めてサンフランシスコマラソンに挑戦しました。素晴らしい景色を期待していたのですが、当日は深い霧と強風。加えて、金門橋でのペース配分にも失敗し、名物の坂にも苦しめられました。どんどん追い越され心が折れそうになりましたが、何とか完走できました。これに懲りず、11月26日開催の大阪マラソンに今年もチャリティアンバサダーとして出場します! 読者のなかにも参加される方はいらっしゃるでしょうか。京都の夏は厳しいのですが、暑さ対策を忘れずに、昼休みを利用して地道に練習しています。


山中伸弥の今月のひと言。
8月1日に希少難病であるFOP(http://www.nanbyou.or.jp/entry/54)の治験開始が発表されました。ヒトiPS細胞が出来て10年の節目となる今年に、このような発表が行われたことを嬉しく思います。この治験をきっかけに、iPS細胞を使った創薬研究がますます活発に行われ、他のさまざまな難病に対する新しい治療法の開発につながることを期待しています。

 Tポイントカードからのポイント寄付も可能なYahooネット募金でも引き続き、寄付を募っておりますので、よろしければご覧ください。
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