英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者のお話、第293回。

“You’re a peach!” 私の名前は桃子ですが初対面ですよね?
先日、駅で盛大に転び荷物をぶちまけている外国人女性をみかけました。スーツケースを持ち上げながら階段を下っていて最後の一段で踏み外し、スーツケースは遠くへ転がり、手持ちのエコバッグからはお土産品がバラバラと飛び出していました。
周りの人たちと協力し、スーツケースと散らばったものを回収、その人に届けるとこう言われたのです。
Oh, thank you so much! You’re a peach!
(ありがとうございます。あなたはピーチですね)
その言葉を聞いた瞬間、私はこう思いました。「え……どうして知ってるの?」
私の名前は「桃子」です。「英語にするとPeach childなんだよ」とよく外国人相手に自己紹介していたものです。でも初対面のこの方はなぜ私の名前を知っているのでしょうか。
お礼を言われたのに怪訝な顔をしてその場を去り、電車の中で辞書を調べてみたらこういうことでした。
Peach=素敵な人
ケンブリッジの英英辞典にもこう説明されていました
someone or something that is excellent or very pleasing:
(素晴らしく魅力的な人やもの)
おそらく、「ありがとう、あなたいい人ね」と言ってくれていたのでしょう。別に私の名前を知っていたわけではありませんでした。そもそも知っていたとして「桃=peach」と結びつけられる外国人はそうとう日本語ができるはずなので、わざわざ英語で言わないでしょう。
英語で「桃」は素敵な人。さらに中国で桃は魔除けの意味があるとも聞いたこともあります。世界的に「桃」はポジティブな意味で使われていて、なんとなく誇らしい気持ちになりました。そんな桃の名に恥じないよう、またいつかどこかでYou’re a peach!と言ってもらえるような生き方をしたいとつくづく考えた次第です。