「他の人に任せられない」と悩み、仕事を抱え込む人が増えている。しかし、実は「任せないこと」が部下や組織のパフォーマンスを下げ、そして何より自分自身の成長を妨げる最大の要因なのだ。自分も相手もラクになる、正しい“丸投げ"とは? 「読者が選ぶビジネス書グランプリ2024 マネジメント部門賞」などを受賞し、現在10万部を超えるベストセラーになっている話題の書籍『任せるコツ』(すばる社)より、一部を抜粋・再編集して紹介する。【その他の記事はコチラ】
相手にネガティブなことを指摘しないといけない際の、おすすめの手法をふたつご紹介します。
1.「シットサンドウィッチ」を使う
アメリカで古くからある手法で、学生時代にメイドサービスを起業して、世界トップ10CEOに選出されたクリステン・ハディードさんの奮闘記『奇跡の会社』(ダイヤモンド社)のなかでも多用されているものです。
特に“Z世代と呼ばれる若い世代に効果的”と紹介されています。
ひと言で言うと、いきなり「叱る」ことはせず、「褒め言葉で前後を挟みましょう」という提案です。
「シット」は本来あまり上品な意味合いの言葉ではないですが、文脈上「苦言」と捉えてください。「苦言」をいいニュアンスの言葉で挟むと、受け入れられやすくなります。
ビジネスとプライベートでありそうな例で、「苦言」から伝えるのではなく、「シットサンドウィッチ」してみましょう。
例1「営業成績が落ちているし、顧客への提案資料にミスが多いじゃないか」
→「○○さんは入社以来、ずっと上位の営業成績をキープしてるよね。でも、最近厳しい結果が続いているし、提案資料のミスも目立ってきているよね。ポテンシャルはあるから、ミスに気をつけていけば絶対また結果が出るはずだよ」
この例文では、太字部分でポジティブな話をして、「苦言」を挟んでいます。
また、プライベートでも「シットサンドイッチ」は活用できます。
お皿洗いをお願いして油汚れが残っていました。どう伝えたらいいでしょうか?
例2「ちゃんと洗剤つけたの? 汚れが残ってて結局やり直しだよ」
→「お皿洗いありがとう。コップもピカピカになってた。でも大皿だけ汚れが残っちゃてた。油が多いお皿は洗剤を多めにすると、他のみたいにピカピカになるよ」
どうでしょうか? 少しは和らげられて、次から改善してみようかなと思いませんか。
クドイ印象があるようでしたら、挟まずとも最初だけでもポジティブワードを入れてみてください。
2.「WHY」(なぜ言うか)を伝える
ふたつ目の手法は、相手が「恐縮しているとき」、もしくは「全然反省していないとき」に必要となってくるものです。
もしも相手が「すみません、すみません」と恐縮して謝っているケースでは、相手は怒られていると感じてしまっています。
目的は起こることではなく、改善してほしいからネガティブなこともあなたに伝えているということを理解してもらう必要があります。
「ここさえ直せば他は完璧だから」「同じミスをしてほしくないから」など、なぜ指摘しているかを伝えましょう。
それとは逆のパターンで、「全然反省していないとき」も同様です。
自分ごと化されていなかったり、他人のせいにしようとする場合などです。
その場合も、「ポテンシャルは高いから」「いい結果を出してほしいから」など承認や相手のメリットも添えて、理由を伝えるのがポイントです。