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2024.04.08

出来るリーダーはやっている。チームマネジメントで絶対意識すべき「つるべの法則」とは

「他の人に任せられない」と悩み、仕事を抱え込む人が増えている。しかし、実は「任せないこと」が部下や組織のパフォーマンスを下げ、そして何より自分自身の成長を妨げる最大の要因なのだ。自分も相手もラクになる、正しい“丸投げ"とは? 「読者が選ぶビジネス書グランプリ2024 マネジメント部門賞」などを受賞し、現在10万部を超えるベストセラーになっている話題の書籍『任せるコツ』(すばる社)より、一部を抜粋・再編集して紹介する。【その他の記事はコチラ】

会議風景
dylan-gillis/ unsplash ※写真はイメージ

小学生の頃、私はサッカーのクラブチームに所属していました。

運動神経はさほどよくなかったのですが、時折ゴールを決めていました。それは、試合が始まる前に相手チームが集まっている側で聞き耳を立てて選手の名前を覚え、試合中に「○○君、パス」とゴール前で名前を呼んで、ボールを奪ってシュートしていたからです。

そんな、スポーツマンシップのかけらもないスタンスだったので、これといった思い入れも深い思い出もないのですが、ひとつ忘れられない法則をコーチから教えてもらいました。その後の人生の要所要所で役になったものです。

それは、「つるべの法則」と呼ばれるものです。

サッカーのコーチが教えてくれた、チーム作りの鉄則

つるべの法則の“つるべ”。

麦茶のパッケージに載っている、お茶の間で人気の鶴瓶さんのことではありません。井戸から水を汲み上げるときなどに使う滑車のことです。

右側のロープを下に引くと左が上がってきて、井戸からバケツで水を汲むことができる。その逆に右側のロープを上げると、左が下がるという仕組みです。

サッカーで攻撃に転じるとき、「みんなで一斉に前に出てはダメだ」とそのコーチはグラウンドに指で図を書いて、この法則を説明してくれました。

右のサイドバックが攻めて上がっていったら、つるべのように左は下がる。逆に左が前に出たら右は後ろで守る。両方が攻めて、守備がガラ空きになってはいけないと。

これはサッカー以外でも当てはまる戦術です。

仕事でも全員が熱くなりすぎると、冷静な判断ができなくなりミスが起こります。

以前、こんなことがありました。

私が30代前半、業界の大きな賞を受賞したこともあり、調子に乗っていた(というか勘違いしていた)頃に、とある仕事にアサインされました。

大きなプロジェクトだったこともあり、同じように勢いのある別の社員と組んで進めることになりました。

しかし、どちらも鼻息が荒く、自分の企画を実施しようと競い合いになり、結果チームは崩壊状態となってしまいました。

適切な攻守のバランスを保って、パフォーマンスを最大化する

チームで動くメリットは補完し合えることです。

ひとりが熱くなれば、ひとりは一歩引いて、冷静にジャッジする必要があります。

優秀なマネージャーは俯瞰で全体を見て、自分がどの位置に行くべきかを考えたり、攻守のバランスを取ってチームビルディングをしています。

向こう見ずな新人、自信家の中堅、落ち着いたベテラン、控えめなアシスタント……。

それぞれによさがあるので、チームリーダーとして、誰がどのように動くと最大効果を発揮できるかを見極めなくてはいけません。

攻守のバランスは、仕事以外にも当てはまります。

例えば、パートナーがおいしい料理をつくろうと気合が入っているときに、対抗して、負けじとキッチンを占領して料理を競い合っても、あまりいいことがありません。

一歩引いて、ジャガイモの皮を剥いたり、お皿を洗ったり、サポート役に徹するくらいがちょうどいいでしょう。

逆にパートナーが疲れているときに積極的に前に出て家事をすれば喜ばれます。

最後に大切なことをもうひとつ。

才能がなかった私と違い、その後も中学高校とサッカーで活躍したセンターバックの選手がいました。

彼はサイドバックが攻撃に上がって戻ってきたとき、必ず声をかけていました。

うまくいったら「ナイスセンタリング!」、失敗しても「ナイストライ!」とねぎらいの言葉を伝えていました。それをただ、ぼけっと眺めていた自分とは大違いです。

「いいプロジェクトになったね」「企画書よくできてるよ」「提案がよかったって取引先の部長から連絡があったよ」「料理おいしかった」など。こういった一言で、モチベーションも任された側の達成感や満足度も大きく変わります。

“褒めること”、“感謝すること”、“ねぎらうこと”。

これはとても大切なことです。

TEXT=山本渉

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