ただ高ければいいというワケではない。最上級と呼ばれるものには、それ相応の理由がある。ゲーテが選んだベスト・オブ・ベスト 最上級コレクション。今回は中川木工芸のシャンパーニュクーラー。【特集 最上級主義2024】
完成された伝統技術を次世代へとつなぐ新機軸
日本の木工芸において、約700年の歴史のなかで磨かれてきた、木桶指物(きおけさしもの)の技術。おひつや風呂桶といった「用の美」の極致ともいえる日用品の数々も、生活習慣の変化のなかで、いつの間にか遠い存在となってしまった。
しかし、改めて木桶指物を手にとってよく眺めてみると、その完成度と、気高い職人技の尊さに、誰もが思わず心を奪われるはずだ。軽く、しっとりと肌になじむ手触り、心を落ち着かせる木の香り、何十年も愛用できる耐久性や機能性。どの点においても、ものとしての魅力に溢れている。
そんな木桶指物と、現代のライフスタイルの接点を見事に生みだしている作家がいる。京指物の系譜を受け継ぐ中川木工芸の3代目、中川周士氏だ。
中川氏は建築などで用いられる特別な技術を駆使して、これまで決まった形しかなかった日用品の造形を鮮やかに刷新し、モダンな表情を与えることに成功した。木桶指物の新しい歴史は、今始まったばかりだ。
問い合わせ
中川木工芸 比良工房 TEL:077-592-2400
この記事はGOETHE 2024年2月号「総力特集:最上級主義 2024」に掲載。▶︎▶︎購入はこちら ▶︎▶︎特集のみ購入(¥499)はこちら