35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者。「その英語力でよく来たね(笑)」と笑われて2年後、英語力未だ0.5であえなく帰国。だけど日本にいたって、きっともっと英語は覚えられる! 下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。英語力0.5レッスン「人のEnglishを笑うな」第129回!
サボりたければ、YouTubeで英語を学ぼう
英語の勉強をサボっているので、かわいい動物を紹介する海外の動画を寝る前に見るのが唯一のリスニング時間です。語学は、筋トレと一緒で、やらなければみるみる衰えていくもので、最近は動物に話しかけるやさしい英語ですら聞き取れなくなってきています。日本語にしたら「いい子ですね〜、ご飯ですよ〜」くらいなものなのに。情けない限りです。
先日も、猫を撫でている女性が、カメラの方を向いてこう言ったので、驚いて英語字幕をつけて確認してしまいました。
I am babying him.
YouTubeもNetflix同様、英語字幕機能がありますので聞き取れなかったものはこうして字幕を出します。
「アイアム ベイビーイング ヒム」。もしかして“baby”が動詞になっている? と思って調べてみたら。
ケンブリッジの英英辞書では“baby”の項目の最後の方にちゃんと動詞としてこう説明されていました。
to treat an older child as if he or she were a much younger child.
「大きな子供を、まるでもっと小さい子供のように扱うこと」となっています。もう大きいのに“baby”のように扱う、「赤ちゃん扱いする」ということでしょう。この女性は、この猫のことを「赤ちゃん扱いして可愛がっている」という意味で言っていました。
日本語では「赤ちゃん扱い」は若干ネガティブな意味がありますが、そのあたりはどうなんだろうと、他の辞書をみてみると。
アメリカの出版社Merriam-websterのオンラインの辞書ではこう説明されていました。
to tend to indulge with often excessive or inappropriate care and solicitude.
「甘やかしてしまいがちなこと。多くは過度に、または不適切にかまったり心配すること」
やっぱりネガティブな意味のようです。“babying”は「甘やかす」が近いのでしょう。この女性は「猫ちゃん、甘やかしちゃうのよね」ということで、文字通り「猫っ可愛がりしている」ということかもしれません。
「甘やかす」という単語はカタカナで日本語としても使われる「Spoil(スポイル)」くらいしかぱっと出てこなかったのですが、類語には“coddle”や“indulge”などもあるそうです。新しい単語を覚えたら、類語もいくつか覚えるようにしたいものです。
“baby”が動詞としても使われている、と知ってから、改めて動物動画を見てみると、さまざまな動画で使われていました。さらに恋人同士の関係でも使われていて、「発言小町」のワールドワイド版のようなサイト「girls ask guys」では「Do you like to baby your boyfriend?(彼氏を甘やかすのは好き?)」というスレもたっていました。まぁ覗いてみたら「それはお母さんのように身の回りの世話をするという意味か? あるいは赤ちゃんプレイのことをいっているのか?」と若干議論になっていましたが。
これはこれで勉強になるのでは? とそんなサイトをぐるぐるまわっていたら、こんな言葉もみつけました。“sugar baby”です。
「ああ、山下達郎がいたバンドだね」と思いましたが、よく考えたらあれは“Sugar babe(シュガーベイブ)”。
この「シュガーベイビー」は、主に出会い系サイトで、援助してくれる人を見つけて金銭を受け取っている人のことだそうです。パパ活をしている人、ということでしょうか。援助している人は“sugar daddy(シュガーダディ)”とか“sugar mama(シュガーママ)”と呼ばれるそうです。学生なんかがよく出会い系サイトで「シュガーダディ」や「シュガーママ」を探して、トラブルになることも多いようです。
“baby”を調べていたら、社会の問題まで行き着いてしまいましたが、とりあえず“Sugar babe”が聴きたくなったので、音源を探してみようと思います。
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Illustration=Norio