カラダは究極の資本であり、投資先である。そう断言する堀江貴文氏が、最先端の医療と美容情報を惜しげもなく伝授する本連載。第26回は「口腔ケア」。虫歯や歯周病の予防のみならず、仕事やコミュニケーションにも関わる歯の健康、見た目について、ゲンズデンタルオフィス表参道で口腔ケアを行う歯科衛生士・五味由美子さんと熱く語り合った。■連載「金を使うならカラダに使え!」とは……
痛い・血だらけになる、さらに怒られるケアでは足が遠のく
堀江貴文(以下堀江) 定期的な歯石クリーニングはやるほうがいい。そう理解している人は多いと思うんですが、実際に行くのは「なんだか面倒だなぁ」って気持ちになりますよね。歯医者さんは「クリーニングは当たり前」「子供のころから歯磨きは大事だって言われたでしょ」とか言うし、人間はまじめであるべきという前提を感じる。歯科クリニックに通うハードルを下げないと、変わらないと思うんですよね。
五味由美子(以下五味) 同感です。私たちも従来のやり方をしていた時期がありました。もちろん歯周病治療のなかで歯石を取ることはあります。その際に痛みを感じたり不快な思いをされた患者さまは、続けては来院しなくなる傾向にあります。当院のテーマは、ずっと長く通いたいと思っていただける口腔ケアを行うことです。
堀江 僕は友達にここを紹介されたんですけど、とにかく、気持ちよかったんです。以前から定期的にクリーニングはしていて「行かなきゃいけないもの」という意識でやっていたけど、このクリニックに来てからは「また行きたい」と思えるようになりましたね。
五味 当院の口腔ケアは、クリーニングを超えた“プロによるメンテナンス”と考えていて、歯になるべくダメージを与えずに、その方に合った治療を個室で行います。よい状態を維持していただくために、今後のケアや治療についてのご相談を受けたり、提案もいたします。お仕事の忙しさや体調によって歯の状態や口臭が変化することもありますから、いつもと違うと感じた場合はおたずねすることも。全身を見据える“デンタルエステ”のような感覚で来ていただくことを、意識しているんです。
堀江 そうそう。クリーニングだけじゃなくて、その後のマッサージが気持ちよかった。
五味 では実際に堀江さんのメンテナンスを行いながらご説明しますね。まず口腔内を診査し、汚れを可視化するために歯の「染め出し」をして、患者さまにも確認してもらいます。磨き残した汚れ、お茶やコーヒーなどによる着色。歯ブラシやカトラリーなどでついた細かい傷にも汚れはたまります。
汚れを落とすのは最新の機器で、「エリスリトール」という物質の粉末を溶かした水と風を歯面に吹きつけることで、汚れや着色を短時間で取り除きます。エリスリトールはキシリトールと同じカテゴリーの人工甘味料のひとつで、抗菌性があり、歯を傷つけずに汚れを落とせるんです。2歳から高齢者まで安心して使えて、歯がツルツルになるので汚れもつきにくくなります。これで取れない汚れはチップという器具を使って削り取りますが、痛みはほとんどありません。堀江さん、大丈夫ですか?
堀江 はい。全然。
五味 次は「術者磨き」。私が患者さまの口の中を歯ブラシで磨きます。磨き方や力加減などを体験して、歯の磨き方のイメージトレーニングをしていただくのが目的です。人にやってもらうと気持ちがいいですしね。歯磨きペーストは研磨剤不使用のものを採用しています。
堀江 うがいをするあたりも清潔ですね。
五味 クリニック内の水はすべて殺菌効果の高い除菌水を使っているんです。歯磨きの後は歯ぐきのマッサージをして血流と唾液の分泌を促します。口腔粘膜にいいジェルを使って咬筋(こうきん)もほぐし、最後に肩、首、顔、頭のマッサージをしてリラックスしてからお帰りいただきます。
堀江 (マッサージ中に寝て、起きる)
気持ちよく、意識も高まり、“行きたくなる”ケアこそ予防医療
五味 このメンテナンスは患者さまの状態に合わせて所要約45分程度。3〜4ヵ月に1回の継続をお薦めしていますが、お忙しい方でも年に1〜2回は行っていただきたいです。ご自身で多少磨けてなくても、ご心配なく。皆さん、歯科クリニックでは怒られるイメージがあるようですが……(笑)。
堀江 そう。「磨けてませんよ」とか言われますもんね。いい年したオッサンが、子供みたいに怒られるとイラッとするんでしょうね。
五味 皆さん仕事がお忙しいですし「ここに来たら汚れを取ってくれるし、歯のことに関しては任せることができて安心だ」と思える場所にしたいと常に思っています。
堀江 子供のころは親に無理やり歯医者に連れていかれるし、歯磨き、ブラッシングもやらされるけど。大人になったら自由なんで、歯が痛くならなければ歯医者に行かなくなっちゃうんですよね。
五味 治療のついでに歯石を取ってもらって終わり、という方がほとんどですよね。
堀江 でも、口腔ケアをしていれば結局、歯の治療をすることがなくなるから国の医療費が減るんですよね。歯周病とか虫歯にならなくなるし。本当は予防にお金をかけるほうがいいんですけどね。
五味 その意識改革を促すことも、私たちの大事な仕事だと思っています。ちゃんと磨けてない方には「私たちがきれいにするので毎月いらして下さい」とご案内することもあります。実際、毎月続けていると、皆さんだんだん上手に磨けるようになるんです。必要なことだと理解してくだされば続けるようになりますし。ケアに通ってらっしゃる方はご高齢の方でも、口もとがとてもきれいで口臭もありません。当院の口腔ケアに通ってくださっているお医者さまは「体臭ケアはまず口腔からだ」と話されていました。
堀江 僕の周囲ではケアの意識が高い人が多いから、口臭を感じることはほとんどないけれど、まだ個人差や地域差があるなと感じますよね。口腔ケアで予防できることは、実は全身に及ぶこともわかっているので、予防ケアの促進としても絶対にやるほうがいいです。
五味由美子/Yumiko Gomi
ゲンズデンタルオフィス表参道 主任歯科衛生士。新東京歯科衛生士学校卒。開院時から30年以上のキャリアを重ねる。健康で美しい歯のために、ライフスタイルのアドバイスを含めたトータルな提案を行う。プロによるメンテナンスは所要約45分で¥14,300。
堀江貴文/Takafumi Horie
1972年福岡県生まれ。実業家。ロケットエンジン開発や、アプリのプロデュース、会員制オンラインサロン運営など、さまざまな分野で活動する。予防医療普及協会理事。『不老不死の研究』『堀江貴文のChatGPT大全』(ともに幻冬舎)が発売中。
■連載「金を使うならカラダに使え!」とは……
カラダは究極の資本であり、投資先である。そう断言する堀江貴文氏が、最先端の医療と美容情報を惜しげもなく伝授する連載。