HEALTH

2022.04.24

【堀江貴文】「ある日バキッと歯が割れるリスクが誰にでもある」──連載「金を使うならカラダに使え!」

カラダは究極の資本であり、投資先である。そう断言する堀江貴文氏が、最先端の医療と美容情報を惜しげもなく伝授する本連載。第7回のキーワードは「歯のヒビ」。長年酷使し続けた歯に入ったヒビ。それに気づかず、ある日突然、奥歯が割れて歯科に駆けこむ人が増えているという。人生100年時代といわれる今、歯は消耗品と認識して、適切にケアすることが求められているのだ。堀江氏が「歯の師匠」だという、歯科医師・石川 徹先生に実態を聞いた。連載【堀江貴文の金を使うならカラダに使え!】

連載「金を使うならカラダに使え!」

100歳まで自分の歯で生活するには食いしばりのコントロールが必要

堀江貴文(以下堀江) 僕が石川先生に歯を診ていただくようになったのは、拘置所に入っていた30代の時に、親知らずが虫歯になって、それを抜いてもらったことからですよね。

石川 徹(以下石川) そうでした。

堀江 その時の治療がきっかけで、歯についていろいろ勉強させてもらっています。先生の歯に対する考えを、ぜひゲーテの読者にお話しください。

石川 はい。昔の人間は寿命が短く、虫歯と歯周病さえ防げばなんとか持っていました。しかし人生100年時代といわれるくらい寿命が延びてくると、どんどんすり減ってしまい、歯が割れてしまうんです。現代においては歯は消耗品と考え、それに応じたケアが必要なんです。

堀江 僕を石川先生に紹介してくれた人も、歯が割れてしまったんですよね。先生の歯に関する見解や話が面白くて(笑)。「キム・ヨナの歯を見てごらんなさい。めちゃめちゃきれいでしょ。韓国人もアメリカ人も歯並びが悪いと上に行けない。そういう文化があるからきれいなんです。だからオリンピックでも勝てるんだよ」って、すごい極論。でも確かに、正しいかもなって思いました。僕はもうすぐ50歳になるけど、石川先生がおっしゃる「歯が割れる」リスクが高まる年齢ですよね。

石川 そう。実は20代の人でも特殊なライトを当てて歯を診ると、99%の人の歯にヒビが入っています。しかも歯の表面に入っているのではなく、厚みのある内側から入っているんです。歯周病はたとえ歯茎が腫れても、歯石を取り、ケアをすれば治ります。虫歯も完全に戻らないにせよ、治せばものが噛めるようになる。でもヒビは、治療が難しいんですよ。人類がこんなに長生きする予定がなかったから、歯にも、そこまでの耐久性がないんです。

堀江 30代の僕もヒビだらけでしたもんね。そして歯の健康を見極めるバロメーターになるのが、実は犬歯だという話。

石川 本来、人の歯には犬歯があり、この歯が尖っている理由は、決して糸を切るためだけじゃない。奥歯で歯ぎしりができないよう、本来は、ストッパーとして存在しているんです。それなのに、ほら(と、患者の写真を見せながら)。

堀江 わあ、犬歯が真っ平らになっている。この人は相当なゴリゴリ系ですね。

石川 そう、確実に奥歯でゴリゴリと歯ぎしりしている方の犬歯です。その結果、奥歯が割れてしまう。みんな歯が割れると、最後に食べたおせんべいが悪いみたいな話になるんですが、実は、日頃の歯ぎしりの積み重ねによる疲労骨折なんです。歯はものすごく硬いから、硬いもの同士を擦り合わせていることで、割れてしまうんですね。

堀江 僕も親知らずを抜いた際は、歯にヒビが入っていたし、犬歯もすり減っていました。歯の割れを予防する方法はあるんですか?

石川 犬歯にコンポジットレジン、いわゆる虫歯治療にも使う強化プラスティックのヘルメットを被せて、しっかり奥歯を守ることが大事です。外見的にも、犬歯に本来の長さがあって、尖っているほうが若々しく見えるというメリットもあります。

堀江 その次の予防法として、そろそろ50歳になるから、ボトックスを打ちましょうという提案を先生からいただきました。

石川 そうなんです。歯ぎしりは奥歯を擦り合わせることで、咬筋の筋トレをしちゃっている状態。咬筋が大きくなるから、ものすごい力で奥歯を噛み締めて、それが夜中に自分の歯を相手に爆発してしまっているわけなんです。食事のことだけを考えたら、本来、そんな力は必要ないし無駄。顎の大きな筋肉は、凶器でしかないんですよ。

堀江 だからボトックスで、その筋肉を弱めるんですね。

石川 そうです。ボトックスは筋肉の神経に働いて、筋肉を動かしづらくする効果があります。入院して寝ていると、使わない足の筋肉が落ちてしまうように、使いにくくすることで顎の筋肉を弱め、小さくしようという治療。その副作用で、ついでに顔もスッキリするよという話。

堀江 美容医療の逆パターンというわけですね。

石川 あちらは顎のラインをほっそりさせる目的で打つんだけど、副作用で食いしばりが緩くなるといわれています。

堀江 ボトックスを打って奥歯の噛み締めを緩和させるのって誰が考えついたんですか?

石川 誰でしょうね。こういう治療法は、アメリカから入ってくることが多いですね。

堀江 僕はシワはあっていいものだと思っているのでボトックスは打ったことがないんです。この治療では、どのぐらいの頻度で打つ必要があるんですか?

石川 1年に1度のペースで様子を見て、筋肉が小さくなっていけばいいんです。

堀江 ようは筋肉を衰えさせていくってことですね。

石川 そう、使わなきゃ落ちるよ、ということ。

堀江 僕は先生に教えていただき、歯周病を防ぐために歯間ブラシとデンタルフロスを毎日やっています。マウスピースも持っているけど、あまり使ってないんですよね。

石川 100歳まで自分の歯で生活するためには、歯周病と虫歯、そして食いしばりのコントロールが必要。そのなかでも食いしばりには、寝る時に専用のマウスピースをする。すり減った歯、犬歯の先端などを治す。そしてボトックス注射をする。この3つのアプローチが有効です。

堀江 なるほど。ボトックスで食いしばりのコントロールができれば、ある日バキッと歯が割れるリスクも軽減しますね。

石川 そういうことです。自分の歯でずっとものが噛めますよ。

堀江 ついでに小顔になれるし(笑)。今日の話は、女性にも教えてあげたい話ですね。

連載【堀江貴文の金を使うならカラダに使え!】

Tohru Ishikawa
東京都生まれ。歯学部卒業後、都心の大規模歯科グループに勤務したのち、自由が丘にある石川歯科医院に2代目として勤務。その後、代が替わり院長として現在にいたる。

Takafumi Horie
1972年福岡県生まれ。実業家。ロケットエンジン開発や、アプリのプロデュース、会員制オンラインサロン「堀江貴文イノベーション大学校(HIU)」運営など、さまざまな分野で活動する。予防医療普及協会理事として予防医療の啓蒙も行う。

TEXT=今井 恵

PHOTOGRAPH=古谷利幸

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