筋肉美をもつ女神シリーズ27人目は、チャン・レオ。連載「マッスル美女」とは……
トレーニング開始わずか5年で世界大会入賞
「年齢はただの数字にしか過ぎない」。誰が言ったか定かではないが、この言葉がぴったりな女性が今回紹介するチャン・レオだ。
引き締まった腹筋に優雅な立ち姿が印象的な彼女は、韓国で“奇跡のマッスルクイーン”と呼ばれている。何しろ今年で68歳。アラカンどころか古希も間近なのだ。
チャン・レオの名を一躍、有名にしたのが「MUSCLE MANIA FITNESS AMERICA WEEKEND」。2018年にアメリカのラスベガスで行われたボディビル&美ボディ世界大会で、ウーマンフィジーク部門3位、ミスビキニ部門6位に入賞したことがきっかけだった。
当時の年齢はなんと62歳。57歳から本格的にトレーニングをはじめ、わずか5年で世界の美ボディ・グランプリで入賞したチャン・レオは語る。
「トレーニングを始めて数年経ったころ、周囲からボディバランスを褒められたのですが、シャワーを終えて鏡に映った自分の肉体を見て、“若い人にも負けないかも”と思ったんですね。それで息子でもあるコーチに大会出場を志願し、トレーニングの強度を高めてもらってボディ作りに勤しみました。それこそ涙が出るようなハードトレーニングの毎日でしたが、それが世界3位という結果で報われたときは本当に最高でした」
57歳から本格的にトレーニングをはじめたきっかけとは
もとは絵画を描き、鑑賞することが好きな文化系だったという。結婚してふたりの息子に恵まれ、主婦生活を送っていたが、年々実感していく“体の不自由さ”が悩みの種だったらしい。
「結婚して2児のママになった37歳のとき、交通事故に遭ったんです。左肩にプレート3枚を埋め込む大手術を経て、なんとか支障なく日常生活は送れましたが、年を重ねるにつれて左肩が上がらなくなり、そのほかの関節にも痛みや不自由さが出てきました。さらに、50代になると階段の上り下りもキツくなって。そんな私を見かねて次男に“ジム通い”を勧められたのが、筋トレを始めたキッカケです」
次男は2014年マッスルマニア・コリア大会で総合優勝し、2016年マッスルマニア世界大会でも3位に入賞したボディビルダー。韓国はもちろん、世界の舞台でも評価されたフィットネスのプロから直接指導を受けられるという贅沢な環境でのスタートだった。
「とはいえ当時の私は57歳。膝には水が溜まるし、体の至る所で悲鳴が上がって大変でした。ただ、“今しっかり運動して筋肉をつけておかなければ、今後はさらに体が不自由になる”と自分に言い聞かせて、毎日のようにジムに通い、筋トレをしました。するといつからか左肩が楽に上がるようになり、階段の上り下りも苦にならなくなって。トレーニングを始めて、つくづく良かったと思いますね」
68歳の日々のトレーニングの中身を紹介
では一体、どんなトレーニングをしているのか。「最近の日課でもいいですか」と前置きしたあとで、チャン・レオは教えてくれた。
「有酸素運動を毎日1時間はしていますし、筋トレは週に5日。上半身と下半身に分けて、それぞれ35~40分ほどやっています。食事に関しては制限することなく、朝昼晩しっかり食べます。野菜や果物、それと魚や赤身肉に卵など、一日300~400グラムのたんぱく質を摂るように意識しています。歳を取るとついつい偏食気味になりがちですが、バランスの良い食事でしっかりとパワーを蓄え、継続的に適度なトレーニングを繰り返す。そんな毎日です」
そうして作りあげた年齢を感じさせない肉体で、2020年10月には『2020マッスルマニア・コリアチャンピオンシップ』のシニアモデル部門に出場。2021年には有名女性誌でその生き様が大きく取り上げられ、今年3月にはフィットネス専門誌『MAXQ』でその日常を紹介する特集も組まれた。
そのタイトルが「67歳のマッスルクイーン。チャン・レオのNAVER ENDING TRAINING」。今やアラフォーやアラフィフどころか、アラカン(アラウンド還暦)の憧れの的になった“奇跡のマッスルクイーン”は語る。
「年齢にかかわらず、年を取るほどに筋力が重要になってくると言われています。年を取ると筋力が落ちてくることはさまざまな研究結果でも明らかですし、私自身も筋力をつけたことで日常の自由を取り戻せました。だからこそ、同世代はもちろん、50代のミドルエイジたちにも“無理しない範囲でしっかり運動すること”をお勧めしたい。ミドルエイジやシニア世代にとって、ジムで筋トレは簡単ではないと思いますし、抵抗感があるかもしれない。でも、年を取り老いたからといって“遅すぎ”ということもない。始めたときがジャストタイミング。そんな心構えで、体作りを始めてほしいですね」
新しい挑戦を恐れることなく、一歩踏み出そうというチャン・レオ。さすが“奇跡のマッスルクイーン”。彼女にとって「年齢はただの数字にしか過ぎない」のだ。
■連載「マッスル美女」とは……
健康志向が高まり、体を鍛える人が増えている昨今。お隣・韓国でも全国各地で大小さまざまなボディビル大会や"美ボディ・コンテスト"が開催されており、ここから輩出された"マッスル美女"たちが脚光を浴びている。美しくもしなやかな筋肉美をもつ女神をシリーズで紹介する。