GOLF

2025.12.30

2025年世界王者スコッティ・シェフラーの個性的スイングをアマチュアが真似るべきポイントは1点ある!

2025年のPGAツアーを振り返るとき、スコッティ・シェフラーの存在を抜きに語ることはできない。メジャー2勝を含む6勝、4年連続の最優秀選手賞──数字も内容も、まさに“別格”の1年だった。一方で、マキロイの悲願達成や新星の台頭など、ツアーは多彩なドラマにも満ちていた。シーズン総括とともに、シェフラーのスイングから学べるポイントにも迫る。吉田洋一郎コーチによる最新ゴルフレッスン番外編。

2025年PGAツアーを支配した男、スコッティ・シェフラー。圧巻のシーズンと“学べるスイング”

文句なしの最優秀選手賞。2025年PGAツアーはシェフラーの年だった

2025年のPGAツアーを語るうえで、スコッティ・シェフラーの名前を外すことはできない。今季も「誰が主役だったのか」という問い自体が無意味に思えるほど、彼の存在感は突出していた。

シェフラーはシーズンを通して6勝を挙げ、そのうち2勝が全米プロゴルフ選手権と全英オープンというメジャータイトル。フィールドの質もプレッシャーも最高潮に達する舞台で結果を残したことで、その強さはより鮮明になった。ツアーで6勝以上を2年連続で達成したのは、タイガー・ウッズ以来という事実も、支配力の大きさを物語っている。

さらに特筆すべきは、最優秀選手賞(ジャック・ニクラウス賞)を4季連続で受賞した点だ。1999年から2003年に5年連続受賞したタイガー・ウッズ以来、史上2人目の快挙である。

出場20試合中17試合でトップ10入り、トップ10率は85%。残る3試合もすべて25位以内で、予選落ちは一度もなかった。シーズン序盤は手の負傷で出遅れたものの、それを差し引いても、他を寄せつけない安定感だった。

主要スタッツでも圧倒的だった。平均ストローク68.131でバイソン・ネルソン賞を受賞し、ストロークスゲインド各部門でも上位を独占。中でも、前年77位だったパッティングが22位まで改善された点は象徴的だ。クロウグリップの導入により、ショット力にパットが噛み合い、完成度は一段と高まった。

偉業、悲願、そして新星──2025年PGAツアーを彩った名シーン

2025年シーズンのメジャートーナメントで最も印象的だった存在として、ローリー・マキロイの名前を挙げないわけにはいかない。

2025年のマスターズで悲願の初優勝を果たし、ついにキャリア・グランドスラムを達成した。2011年大会での大崩れをはじめ、オーガスタでは幾度となく苦汁をなめてきたが、長年の苦難を乗り越えてつかんだ勝利だった。

最終日は終盤にリードを失い、ジャスティン・ローズとのプレーオフにもつれ込む展開となったものの、1ホール目で見事なバーディを奪取。長年追い続けてきた夢を、自らの手でつかみ取った瞬間だった。

また、トミー・フリートウッドのツアー選手権での悲願の米ツアー初優勝は、2025年を語るうえで欠かせないハイライトだ。

欧州ツアーで通算8勝を挙げ、2017年には年間王者に輝きながらも、アメリカの地では幾度となく優勝争いに加わりながら、その一歩が届かなかった。しかしシーズン最後の大舞台で、164試合目にして頂点に立ち、年間王者となった姿は、多くのファンの記憶に深く刻まれたはずである。

さらに若手では、アルドリッチ・ポットギーターがPGAツアーの新人王にあたるアーノルド・パーマー賞を受賞した。

2025年シーズンは、平均飛距離325.0ヤード(1位)という圧倒的な武器を携え、ロケット・クラシックでは三つ巴のプレーオフを制して初優勝を挙げている。南アフリカ出身選手としては、アーニー・エルス(1994年)、トレバー・イメルマン(2006年)に続く史上3人目の受賞者となった。

2025年のPGAツアーは、多彩な物語に満ちていた。歴史的偉業、悲願の初勝利、急成長を遂げた新星たち。そのすべてが確かに輝いていた。

しかし、最終的にこのシーズンを総括すれば、2025年もまた「シェフラーの年」だったという結論に行き着く。圧倒的な数字、揺るがぬ安定感、歴史に名を刻む快挙。そのすべてを兼ね備えたスコッティ・シェフラーは、紛れもなくこの時代を象徴する存在である。

スコッティ・シェフラーのスイングに学ぶ、ゴルフのヒント

世界ランキング1位に君臨するスコッティ・シェフラーのスイングは、現代の主流とは一線を画す個性を備えている。ウィークグリップ、ややオープンなフェース、そしてフェースローテーションを使ったインパクト。その特徴は、一見すると真似しづらく映るかもしれない。

しかしこの動きは、ウィークグリップに悩むアマチュアにとって大きなヒントになる。

フェースを返そうとするのではなく、ダウンスイングの早い段階からリリースし、ヘッドを走らせる。その結果として自然なフェースターンが生まれ、力強いインパクトにつながっているのだ。

右足が後方に引ける独特のフィニッシュも、形を作っているのではなく、バランスを取った「結果」だ。

重要なのは、見た目を真似ることではなく、なぜその動きが生まれているのかを理解すること。そこにこそ、上達へのヒントが隠されている。

動画で解説|スコッティ・シェフラーに学ぶ「リリースのタイミング」

◼️吉田洋一郎/Hiroichiro Yoshida
1978年北海道生まれ。ゴルフスイングコンサルタント。世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベター氏を2度にわたって日本へ招聘し、一流のレッスンメソッドを直接学ぶ。『PGAツアー 超一流たちのティーチング革命』など著書多数。

TEXT=吉田洋一郎

PHOTOGRAPH=AP/アフロ

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