アジア唯一のPGAツアー「ベイカレントクラシック」が、2025年10月9日(木)から4日間、神奈川県・横浜カントリークラブで開催された。2019年から続いた「ZOZOチャンピオンシップ」を引き継ぎ、ベイカレントが新たに特別協賛として名を連ねた記念すべき初大会。初代王者には、ツアー通算10勝目を挙げたザンダー・シャウフェレが輝いた。彼にとっても、日本のゴルフファンにとっても、忘れられない一戦となった。

PGAツアーが横浜に上陸! 「ベイカレント クラシック」初開催レポート
開催前から注目されていたのは、ZOZOチャンピオンシップから何が引き継がれ、ベイカレント クラシックが日本のゴルフ界に何をもたらすのかという点だ。
ZOZOチャンピオンシップの第1回大会では、タイガー・ウッズと松山英樹が優勝争いを演じ、日本のゴルフファンを熱狂させた。「Go Tiger!」という声援が飛び交い、日本のトーナメントでは見たことのない光景が広がった。
この舞台を日本に持ち込んだ前ZOZO社長・前澤友作氏の功績は、今もゴルフ界に大きな影響を与えている。
アクセスと体験設計で広がる“新しいゴルフファン”
そんな前澤氏が与えてくれたきっかけをベイカレントクラシックではどう進化させていくのか。期待したいのは新しいゴルフファンの獲得だ。
今回の会場・横浜カントリークラブは、都心からのアクセスが格段に良い。最寄りの二俣川駅からはシャトルバスが運行され、東戸塚駅からは30分ほどかかるものの徒歩でもアクセス可能。この立地の良さは、まだゴルフをしたことがないが興味がある層にとっても好条件といえる。
また、大人1人につき15歳以下2名まで入場無料とし、ジュニア層にも門戸を開放。これはすでにゴルフを楽しむジュニアゴルファーはもちろん、初めてゴルフを観る子どもたちにとっても大きなきっかけとなる。
チケットも多彩で、選手のプレーを間近に見られる「プレミアムビューチケット」や、スタンドから観戦できる「スタンドチケット」など、観戦スタイルを自由に選べるのも魅力だ。
横浜カントリークラブでは、クラブハウス前にスタートティや9番・18番グリーンが集約されており、ドライビングレンジへの動線の良さや、クラブハウス正面に設置されたオフィシャルショップなど、ギャラリーにとって非常に観戦しやすい設計になっていた。
初めてゴルフを観戦した人のなかには、横浜の街からこんなに近くに、自然豊かなゴルフ場が広がっていることに驚いた人も少なくないだろう。日本でのPGAツアー開催がゴルフ人気の追い風となることを願いたい。
課題は注目度と日本人選手の躍進。来年への期待
第1回大会としての完成度は高かったが、メディア露出や話題性の面ではまだ課題もある。
国内女子ツアーの人気の高さや、米女子ツアーでの勝みなみの活躍など話題が重なり、報道での露出は限定的だった。それでも、日本人選手の奮闘は希望を感じさせた。
改めてPGAツアーのレベルの高さを実感する大会となったが、横浜カントリークラブは日本ツアーの舞台にもなってきたコース。セッティングの違いはあれど、日本人選手にも十分チャンスがあると感じていた。
松山英樹は本調子ではなかったが、金谷拓実が4位に入る健闘を見せた。やはり優勝争いに日本人選手が加わることができれば、ファンの熱狂はさらに高まるだろう。とはいえ、早くも来年の開催が待ち遠しく感じる、第1回大会だったのではないだろうか。