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GOLF

2024.07.14

すくい打ちしない! 全米シニア2位・藤田寛之が魅せた、フェアウェイウッドの打ち方はアマ必見

藤田寛之は2012年に日本シリーズJTカップで3連覇を果たし、年間4勝で日本の賞金王に輝くなど、一時代を築いた日本を代表するゴルファーの1人だ。その藤田が全米シニアオープン選手権で優勝争いを演じ、日本のゴルフファンを大いに沸かせた。ゴルフ専門チャンネル・ゴルフネットワークでこの試合の解説を務めたゴルフスイングコンサルタント・吉田洋一郎が熱戦を振り返る。

米シニアメジャーで2位になった藤田寛之

藤田寛之が米シニアメジャーで2位に

2024年6月27~7月1日の5日間に渡ってシニアゴルフの海外メジャー大会、全米シニアオープン選手権が行われた。主催する全米ゴルフ協会(USGA)にとって今大会は1001回目の試合にあたり、いわば新たなスタートといえる特別な大会という位置づけになった。

会場はアメリカ・ロードアイランド州ニューポートにある、歴史あるニューポート・カントリークラブ。1895年にUSGAが初めて主催した第1回全米オープンと全米アマチュア選手権が開催されたのもこのゴルフ場だった。

ニューポート・カントリークラブではさまざまな大会が開かれ、1995年の全米アマチュア選手権ではタイガー・ウッズが全米アマ3連覇の2勝目を飾り、2006年の全米女子オープンでは18ホールのストローク戦によるプレーオフでアニカ・ソレンスタムがパット・ハーストを破った。

そんな由緒あるコースで開催された今大会には世界各国から多くの選手が集まり、日本からは藤田寛之、宮本勝昌、増田伸洋の3選手が参戦した。

そのなかでも藤田は初日に63のトップタイでスタートし、2日目も66で単独トップに立つと、3日目を終えて2位に2打差をつけてのトップ。日本人2人目の海外シニアメジャー制覇、しかも完全優勝に王手をかけた。

順延で風向きが変わり対応に苦慮

藤田は最終日もショットが好調で10ホールを終えて2位に3打差とほぼ優勝を手中にしたかに見えた。だが、そこに天候という思わぬ強敵がいた。

最終日は夕方に雷雨予想が出ていたため、前日に最終日のスタート時間が2時間早まることが決定。しかし、濃霧によってスタートが2時間遅れ、その遅れの影響で雷雨によるサスペンデッドとなり、藤田は残り8ホールを月曜日にプレーすることになった。

藤田によると、月曜日はそれまでの4日間とはまったく別のコースのようになっていたという。

それまでずっと南西の風が吹いていたが、真逆の強い北風に変わりコースが一変。コース攻略法を一から考え直さなくてはならず、思うようなゴルフができないままスコアを落としていくことに。

前組の2024年全米プロシニア王者、リチャード・ブランドに追いつかれ、一時は逆転を許してしまう。

それでも18番パー4では、グリーンまで245ヤード、加えて20ヤード以上戻される強いアゲインストという難しいセカンドショットの状況で、左足上がりかつ前下がりの難しいライから5番ウッドでドローを打ってグリーンオンに成功。

惜しくもバーディーパットは決まらなかったものの、一時リードを許した状況からプレーオフに持ち込んだ。

このセカンドショットでは距離的に2オンが厳しい状況に加え、前下がりのドローボールを打つには難しいライにもかかわらず、グリーンオンさせるためにドローで果敢に攻める姿勢に驚かされた。今大会中にもっとも心に残る、魂のショットだった。

プレーオフは10、18番の2ホールの合計スコアで争われたが、両者とも連続パーで決着がつかず、勝負は18番ホールでのサドンデス方式に持ちこまれた。

3ホール目は両者ボギーで、4ホール目は藤田が7m近くのパーパットをわずかに外してボギーだったのに対し、ブランドはバンカーからの第3打を10cmに寄せ、最後はタップインで優勝を決めた。

ブランドは5月の全米プロシニア選手権に続くシニアメジャー2勝目となった。

天候を味方にできず不運な面もあったが、5日目までの藤田のゴルフは完璧だったと言っていい。

3日目に同組だった前年のPGAツアーチャンピオンズの年間王者スティーブ・ストリッカーは「彼には1つのミスショットもなかった。彼に追いつくには明日は本当に良いプレーをしなければいけない」と絶賛したほど素晴らしいプレーを見せた。

実際に4日目まででフェアウェイを外したショットは一度だけで全体1位、パーオン率も1位になるなど圧倒的なパフォーマンスを見せていた。

順延した最終日の8ホールのスコアを崩してしまうなど不運もあり、惜しくもプレーオフで敗れて2位だったが、世界のトッププロやファンたちに実力をアピールできたはずだ。

今後、PGAツアーチャンピオンズに参戦し、世界の名手と渡り合う日が来ることを心待ちにしたい。

フェアウェイウッドは払うようにヘッドを滑らせる

藤田が最終18番のセカンドショットのようなボールを自分も打ってみたいと思っている人も多いだろう。

しかし、フェアウェイウッドはやさしいと言われるが、アイアンショットとは違うポイントがあり、違いを理解していないと上手く打てない。

フェアウェイウッドが苦手な人は、ボールを上げようとして、すくい打ちになっている人が多い。そうではなく、払うようにして打つレベル(水平)ブローで打つようにしてほしい。

腰のあたりの高さで横振りを繰り返して、レベルブローのスイングの感覚を身につけるといいだろう。このとき、ソール部分を滑らせるようにするのがポイントだ。

ダフるのではないかと心配になるかもしれないが、フェアウェイウッドのソールは芝の上を滑るようにできているので安心していい。普段すくい打ちになっている人は、少しダフるくらいの気持ちでソールを滑らせてみてほしい。

フェアウェイウッドをマスターすれば、長い距離のセカンドショットも怖くなくなるはずだ。

動画解説はコチラ

吉田洋一郎/Hiroichiro Yoshida
1978年北海道生まれ。ゴルフスイングコンサルタント。世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベター氏を2度にわたって日本へ招聘し、一流のレッスンメソッドを直接学ぶ。『PGAツアー 超一流たちのティーチング革命』など著書多数。

TEXT=吉田洋一郎

PHOTOGRAPH=AP/アフロ

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