世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎。顧客の多くが国内外のエグゼクティブ、有名企業の経営者という彼による、スコアも所作も洗練させるための“技術”と“知識”を伝授する最新ゴルフレッスンコラムをまとめて振り返る。まだまだ厳しい寒さが続くが、ゴルフシーズン到来に向け、コソ練を積み重ねてスコアアップを目指したい。
脱スライス! シャローイングを身につける3つのドリル
最近、ゴルフメディアなどで注目を集めている「シャローイング」をスイングに取り入れたいと考えているアマチュアも多いだろう。シャローイングを行うことによって、ゴルファーには様々なメリットがある。特にアウトサイドイン軌道のスライサーはシャローなダウンスイングになることでスライスを解消することができるし、クラブにパッシブトルクという力が働くことでクラブフェースが閉じやすくなり力強いドローボールが打てるようになる。
しかし、このシャローイングで勘違えないでほしいのは、クラブを寝かせるといっても手首をこねたり、肘を体に引きつけたりといった小手先で行うものではない。また、地面と平行になるくらいまで不自然にクラブを寝かせるものでもない。切り返しの動作の中で自然にシャローイングを行うのが理想だ。
だが、これまでダウンスイングで「シャフトは立てる」と教わってきた人にとっては、シャローイングの感覚やイメージをつかむのが難しいかもしれない。そこで、今回はシャローイングの感覚を身に付けるためのドリルを紹介したい。それほど難しいドリルではないので、トライしてみてほしい。
最初に、壁を使ってシャローイングを体感するドリルを紹介したい。壁から50センチほど離れた場所でクラブを持ってトップの形をつくり、そこからヘッドが壁に当たるようにクラブを下ろしていく。ヘッドが壁に触れるポジションまでクラブを下すと、かなりシャフトが寝ている状態になり、シャローイングの状態になっているか確認することができる。この練習の目的は、クラブが自分の背中側に下りてくることを体感することだ。実際のスイングでは、壁にクラブが当たるほどシャローに下ろさなくてもいいが、感覚をつかむために極端に行ってみてほしい。特にカットスライサーは体の前面に意識が向きがちなので、背面にクラブが下りる感覚に慣れる必要がある。この動きを繰り返し、どのように手や体を動かせば壁にクラブが当たるかを工夫しながら、シャローイングのダウンスイングの軌道やシャフトの傾きを確認してみてほしい。
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“パッシブトルク”を正しく使えば、スライスは改善する
ゴルフスイングには自分が加える力以外にも、さまざまな力が影響を与える。たとえば、クラブヘッドは重力によって落下するし、遠心力によってヘッドが加速していく。もしフォロースルーで手を離せば、クラブは目標方向に飛んでいってしまうだろう。そうした自然に発生する力を自分でコントロールすることは難しい。スイングの途中で勢いのついたクラブをぴたりと止めることは至難の業だ。
そうした力の1つに「パッシブトルク」がある。ゴルフメディアで見聞きしたことがあるアマチュアは多いと思うが、正しく意味を理解している人はそう多くはないのではないだろうか。
パッシブトルクの「トルク」とは回転やねじれの力のことで、「パッシブ」とは「受動的」だから、パッシブトルクとは「受動的に発生する回転の力」という意味になる。つまり自分で生み出すのではなく自然発生的に起きる力のことだ。この回転の力が正しく発生すると、クラブを自然とプレーン上に戻し、フェースを閉じてくれる。言葉で説明すると、少し難しいので、「トップレベルのアマチュアやプロと違って、アベレージゴルファーには関係ない」と思っている人も多いかもしれない。
しかし、パッシブトルクは誰でも知らないうちに発生させているもので、上手に使わないと適切なスイングができないだけではなく、ミスショットの原因にもなる。逆に言えば、パッシブトルクを正しく発生させればスイングの改善は容易にできるということだ。スライスが出る人を例にパッシブトルクの働かせ方について説明しよう。
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傾斜地にあるボールを打つときに一番大切なこと
練習場とコースでは違う点がいくつもあるが、その一つが傾斜だ。ラウンド中、常にフェアウェーをキープしていれば平らな場所から打てるので、練習場と同じようにスイングをすることができる。しかし、アマチュアにとってフェアウェーをキープし続けるのは至難の業なので、平らなエリアよりも傾いている場所から打たなければならない場面のほうが多いだろう。
傾斜ではフルスイングができないので飛距離が出ないし、ダフリやトップなどの大きなミスも起きてスコアを崩す原因となりやすい。そのため、練習する機会が少ない傾斜地では、事前に対処法を知っておくことが大切になる。
傾斜地にあるボールを打つときに一番大切なことは、傾斜とケンカをしないことだ。特にアドレスで傾斜に逆らわず、傾斜に対して垂直に立って構えることは大事なポイントになる。左足下がりの傾斜なら、左足に体重をかけ、左に重心を保って傾斜に対してできる限り垂直になるように構える。逆に、傾斜で上手く当たらない人は、目線を水平に保って構えようとして傾斜に逆らって立ってしまう。左足下がりで傾斜に逆らって右足に体重をかけて立つと、スイングの最下点の手前で傾斜にクラブが当たりダフってしまう。傾斜ではどのように振るかの前に、どのように構えるかがミスショットを防ぐために重要になる。
傾斜での構え方がわかったら、今度はどのようにスイングするかが重要になる。傾斜で上手く振るためには、その人のスイング軌道の傾向である「持ち軌道」が大きく影響する。スイング軌道がアウトサイドインなのかインサイドアウトなのか、もしくはアップライトなのかフラットなのかということによって、傾斜での得手不得手の傾向が出る。傾斜と軌道の関係性からすると、アウトサイドイン軌道の人はダウンブロー気味にアウトサイドからクラブが下りてくるので、左下がりや前下がりのボールが打ちやすい。逆に、インサイドアウトの人はインサイドからアッパー軌道でクラブが下りる傾向があるので、左上がりや前上がりのボールが打ちやすくなる。
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