世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム139回目。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。
アドレスは傾斜に逆らわないで立つ
練習場とコースでは違う点がいくつもあるが、その一つが傾斜だ。ラウンド中、常にフェアウェーをキープしていれば平らな場所から打てるので、練習場と同じようにスイングをすることができる。しかし、アマチュアにとってフェアウェーをキープし続けるのは至難の業なので、平らなエリアよりも傾いている場所から打たなければならない場面のほうが多いだろう。
傾斜ではフルスイングができないので飛距離が出ないし、ダフリやトップなどの大きなミスも起きてスコアを崩す原因となりやすい。そのため、練習する機会が少ない傾斜地では、事前に対処法を知っておくことが大切になる。
傾斜地にあるボールを打つときに一番大切なことは、傾斜とケンカをしないことだ。特にアドレスで傾斜に逆らわず、傾斜に対して垂直に立って構えることは大事なポイントになる。左足下がりの傾斜なら、左足に体重をかけ、左に重心を保って傾斜に対してできる限り垂直になるように構える。逆に、傾斜で上手く当たらない人は、目線を水平に保って構えようとして傾斜に逆らって立ってしまう。左足下がりで傾斜に逆らって右足に体重をかけて立つと、スイングの最下点の手前で傾斜にクラブが当たりダフってしまう。傾斜ではどのように振るかの前に、どのように構えるかがミスショットを防ぐために重要になる。
自分の持ち軌道を活かす
傾斜での構え方がわかったら、今度はどのようにスイングするかが重要になる。傾斜で上手く振るためには、その人のスイング軌道の傾向である「持ち軌道」が大きく影響する。スイング軌道がアウトサイドインなのかインサイドアウトなのか、もしくはアップライトなのかフラットなのかということによって、傾斜での得手不得手の傾向が出る。傾斜と軌道の関係性からすると、アウトサイドイン軌道の人はダウンブロー気味にアウトサイドからクラブが下りてくるので、左下がりや前下がりのボールが打ちやすい。逆に、インサイドアウトの人はインサイドからアッパー軌道でクラブが下りる傾向があるので、左上がりや前上がりのボールが打ちやすくなる。
得意な傾斜があるということは、その逆の斜面からは打ちにくく、ミスが出やすいともいえる。例えば、アウトサイドイン軌道の人はクラブが鋭角にアウトサイドから下りてくる傾向があり、左足上がりでは地面にクラブが刺さってダフりのミスになりやすい。また、逆にインサイドアウト軌道の人は、左足下がりの傾斜では手前をたたいてダフってしまうことがある。
このような持ち軌道の傾向を覚えておけば、傾斜によって対応すべきことが明確になる。持ち軌道に合った傾斜では、傾斜に沿ってスタンスを取り、力まずに普段通りのスイングをすれば、ボールをうまくとらえられるはずだ。アウトサイドイン軌道の人は、左足下がりや前下がりではいつも通りの打ち方で問題ないということだ。
逆に、持ち軌道と相性の良くない斜面であれば、できるだけ自分の持ち軌道の傾向を薄めて、傾斜に合った軌道で打つことが必要になる。アウトサイドイン軌道の人は左足上がりや前上がりの傾斜では、いつもとは逆にインサイドからアッパー軌道で打つようにするといいだろう。
このように傾斜での立ち方を理解し、自分の持ち軌道を把握して対策を立てれば、斜面への対応はシンプルになるはずだ。傾斜からは無理をせず、大きなミスにならないように気を付けてプレーしてほしい。