ゴルフ歴1年で70台に突入した大塚友広さんのゴルフ論とは。短期連載「スモールスイング・レボリューション」2回目。
理想のスイングを追求するならやはり素振りが絶対に必要
自分の理想のスイングが見えたところで、ひたすらコマのようにスイングする練習を行いました。これは、練習場ではもちろん、スイング棒を使って家のなかなどでも素振りを行いました。
道を歩いていても、気になればすぐにスイング練習をしました。駅のホームで傘を使って素振りをしているのは、ビジネスパーソンの典型的なイメージでかっこ悪いと考えていたのですが、本当にうまくなりたいと思うと、同じ動きをしている自分がいました。
言うまでもありませんが、素振りはスイングの構築に非常に有効です。
素振りの利点は、きちんと行うことで身体にスイングが勝手に染みつくこと。素振りでしていることが、ボールを前にするとなかなか実現できない、という声をよく聞きますが、これは素振りの回数が足りないだけです。身体に染み込むまで素振りを繰り返してください。
余談ではありますが、スイングの練習とインパクト(ボールを打つ)の練習は、切り離して考えると効率的です。ボールを目の前にすると、どうしてもボールを強く打ちたくなってしまうのが人間の性です。スイングとインパクトの練習を切り離して行うことで、より早くスイングの構築ができます。
私は、スイング構築をする初期の段階では、毎日のように素振りを行いました。決まった回数で、この時間に何回という制約は設けずに、気楽に行いました。いいボールが打てるようになるといいなあ。ゴルフ場で気持ちよくラウンドできるようになるといいなあ。そんなゴルファーとしての理想の自分を描きながら、気ままに素振りを行っていたのです。
そして、近くの練習場には週に2~3回通っていました。ゴルフの成長期は、練習場は週に2~3回がベストです。それ以上行って強いスイングを続けると、ケガをしたり、身体を痛めたりする危険性があるからです。
実はこの時期に、ゴルフに夢中になりすぎて、練習過多のために一度、左肩をケガしてしまいました。ケガのためにスイングができず、せっかくどんどん上達する実感があったにもかかわらず、スイングさえもできないフラストレーションに苛まれたことがありました。
成長期には、なるべく毎日クラブを握りたいものです。毎日触れることが成長につながりますし、成長期を迎えた場合は、一気にレベルアップさせる必要があります。とはいえ、あくまで仕事がベースのビジネスパーソンにとって、ゴルフの練習でケガをしてしまうということは致命的なことでもあります。
ですから、練習の目的を分けて、身体への負荷を考えて練習することが大切だと、私自身の経験から思うのです。多くの方が、大人になってから始めるのがゴルフです。初めて使う筋肉も多く、今までにない特殊な身体の使い方をすることから、ケガをするリスクが高いのもゴルフです。スイングは気ままに、練習場に行く時は気持ちを抑えて、連日ではなく1日は必ず空ける。このペースを維持することが最も早い成長につながります。
素振りでは、なにも持たず、腕だけで行うことも非常に有効です。腕と身体の連動性、スイングリズムへの理解が深まりますので、ぜひ取り入れてください。
素振りをしている時は、スイングのリズムに注力する。練習場にいる時はインパクトに注力する。このバランスが大切です。かくいう私も、素振りの重要性に気付いたのは80台でラウンドしている頃でした。だから、いま書いていることも後付けの理由ではあります。しかし、この時期の素振りと、練習場での練習と、そのペースがよかったのだと、振り返ってみるとそう思います。
付け加えると、ゴルファーのなかには練習場に行ってボールを打つことだけが練習だと思っている人が多く見られます。しかし、練習場以外で行えることを継続することが、どれだけゴルフの成長に有効に働くか。自分自身、振り返って痛感していることでもあります。
大人になってから始めるゴルフは、意識すればするほどスイングが難しくなります。無意識の質をいかに上げるか。これが素振りを行う本質であり、とても大切なことです。大人になると意識した瞬間にうまくいかなくなってしまうということも、ゴルフの練習を重ねながら何度も感じたことでした。
Tomohiro Otsuka
群馬県富岡市生まれ。独学でゴルフ理論を構築し、1年でベストスコア70台前半に到達する。オンラインゴルフコーチング「Natural Works Golf」も主宰。著書に『マンガで身につく! 普通のビジネスマンがゴルフ歴たった1年でスコア70台を出したメソッド。』『新装版 ゴルフはインパクトの前後30cm』『新装版 スモールスイング・レボリューション ゴルフ歴1年で70台に突入できる30cmトレ』がある。