ファッションシーンでは、さまざまなキーワードが生まれ、細分化されたことでトレンドは生まれづらくなった。だからこそ、長い歴史で築き上げてきた古きよき伝統に回帰し、“今”というフィルターを通して、どう着こなすかが肝要。つまり、伝統を理解し、さらに一歩踏みこんだ“個性”を纏うことが必要なのだ。【特集 大人服2024】
1.エルメス|大人のエレガンス漂う上質な両A面コート
往年のミリタリー感ある佇まいながら、シアリングとレザーで上品なリバーシブルムートンコート。柔らかな風合いとバイカラー仕立てにより、奥行きがあり、ダークトーンにまとめても、重すぎない印象に仕上がる。
2.フェンディ|大ぶりなカラーひとつで一気にモード顔に
ワークの定番であるカバーオールをベースに、ボックスシルエットのオーバーサイズで仕立てた1着。旬なムードを漂わせるが、これを上品に昇華してくれるのが上質なスエードを採用したコーデュロイ型の襟だ。大ぶりなサイズ感がモード感を滲ませる。
3.バーバリー|ハリのある質感が男の威厳を香らせる
ハリのある布帛(ふはく)を採用したN-2Bボンバー。ボリューム感のあるシルエットだが、ファーフードを備えることでラグジュアリーに仕上がっている。従来のミリタリーに見られる土臭さを解消し、大人らしいミリタリーを演出してくれる。
4.エトロ|年輪を重ねた今こそ紺ブレは色気ある雰囲気に
一世を風靡した紺ブレ。当時そのままではなく、大人に着こなすのであれば、素材が重要だ。カシミアを採用し、ワンランク上に。遊び心がありながらエレガンスを気取るに、実にお誂え向きだ。デニムでハズしても、その品格は損なわない。
5.サンローラン|引き締まったシルエットが懐古だけでは終わらせない
芯地入りのオーバーサイズジャケットは、レトロながらもウエストをシェイプしたことでモダンに昇華。一方で2タックワイドパンツがボリュームを。この匙加減が今どきだ。
この記事はGOETHE 2024年11月号「特集:トレンドを超越した、古くて新しい大人服」に掲載。▶︎▶︎ 購入はこちら