連載「I Don’t WEAR Jewelry. I WEAR Art」。第25回は、デザインを超えたクリエイションを見せる「ルイ・ヴィトン」。
技術で表現する、一族の背景があるジュエリー
首からぶら下がるのは、実際に描けるペン。それは、膨大なスケッチに描かれた数々のアイデアを具現化し、イノベーターと称される3代目当主ガストン-ルイ・ヴィトンを表現したものだ。
2024年新たに登場したメンズファインジュエリーコレクション「レ ガストン ヴィトン」。創業者の孫であり、独創的で新しい技術を積極的に取り入れたガストンからインスパイアされたコレクションとあって、レーザーカッティングでモノグラムをあしらうペンダントや、「レ ガストン ヴィトン ブルー」と名付けられたチタンブルーをコーティングしたリングなど、テクニカルなジュエリーを披露。デザインというより創造という言葉が似合う。
ひとつのモチーフに込められた伝統とストーリー
生涯で数多くの特許や著作権を申請・取得したガストン-ルイ・ヴィトン。そんな彼は、さらにいくつもの顔を持つ。蒐集家であり、読書家、園芸家、写真家、そして旅行家でもあった。「自分はトランクから生まれた」と語るほど旅好きのガストンの言葉を、極小サイズのトランクをモチーフにペンダントとブレスレットで象る。
一方、シグネットリングにはモノグラムが。モノグラムといえば、2代目にして父であるジョルジュ・ヴィトンが生んだものだが、ガストンもタイポグラフィやモノグラムのスケッチを数多く残している。
ふたつのテーマを体現したこのコレクションこそ、ルイ・ヴィトンのアイデンティティが代々受け継がれていることの証明ともいえる。
■連載「I Don’t WEAR Jewelry. I WEAR Art」とは……
時にファッションとして、時にシンボルとして、またはアートに……。ジュエリーを身につける理由は、実にさまざまだ。だが、そのどれもがアイデンティティの表明であり、身につけた日々は、つまり人生の足跡。そんな価値あるジュエリーを紹介する。