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FASHION

2024.04.12

ビームス設楽社長「目指すはモノを売るセレクトショップではなく、カルチャーショップ」

服が売れないと言われて久しい今日この頃。ファッション業界人受難の時代に対し、その中心人物はどう向き合っているのか。今回は、ビームス代表取締役・設楽洋氏に話を聞いた。【特集 刺激のある服】

設楽洋氏
設楽洋/Yo Shitara
ビームス代表取締役
1951年東京都生まれ。慶應義塾大学卒業後、大手広告代理店を経て1976年にビームスに参画。1988年から代表取締役に。あくまでプロデューサーという立ち位置を貫き、セレクトショップ業界を牽引し続ける。

失敗を恐れることなく、夢中になれることを

「僕の毎日は刺激に溢れていますよ」。満面の笑みでそう答えるビームス設楽洋社長。コロナ禍によりファッション業界の落ちこみが叫ばれていることを認めつつ、刺激のある提案をビームスは行ってきたと自負する。

「キーワードは“人”。今の世の中、モノだけで刺激を与えることは難しいかも知れません。ただし、人を介することでさまざまな視点が生まれ、お客様に刺激を提供することができます。いわゆるファンビジネスですね。今ビームスが目指しているのは、モノを売るセレクトショップではなく、企画、人を売りこむカルチャーショップなのです」

さらなる一手として、ビームスの十八番であるコラボにも着目。物が溢れる時代でも思わず触手が伸びるようなコラボレーションで物欲を刺激する。

「ビームスはコラボの先駆者と言われてきました。そんな我々だからこそ、ファッション以外にも目を向け、今までにないコラボを提案するべきです。カップヌードルといった食品や車メーカー、はたまたJAXAとの宇宙服開発など、ファッションの枠を飛び越えた斬新なコラボを行うことで、ビームスファン以外にも刺激を与えることができると考えています。

毎日どんなコラボをすると面白いのかを考えていますが、突拍子もないことが実現した時ほど刺激的なことはありませんね。社内プレゼンも、常に活況。なにせコラボ相手は無限大ですから」

そんな仕掛け人としての刺激を、今後海外進出という形でも求めていくとか。

「現在、店舗ビジネスはアジア圏を中心に行っておりヨーロッパやアメリカは卸事業から拡大していく方針ですが、ゆくゆくは店舗も出していきたい。2016年に新宿にオープンしたビームス ジャパンの海外からの高い評価も、構想の後押しになっています」

プライベートブランドが充実するビームスだが、海外展開時には、ビームスらしいセレクトで認められることにこだわる。

「そのためには、日本の優れたモノへの深い理解が不可欠。私は’60年代にアメリカンカルチャーから多大な刺激を受け、海外への興味を強く持ち続けてきましたが、ある時気づいたんです。日本のことを何も知らないと。

以前イギリス・ザヴィル・ロウの老舗テーラーを訪れた時に素晴らしいシルク生地を見せてもらい、どこのシルクかとたずねたら、なんと約100年前の日本の着物生地だと言うんです。それはもう、恥ずかしかったですよ(笑)。それでいざ目を向けてみたら、ここ日本で刺激的なアイテムとたくさん出合うことができたのです」

細分化された時代でもムーブメントは起こる

では、今後を担う人材とは。

「再来年の設立50周年を機に、ビームスは新たなフェーズに向かうことでしょう。それに向けて僕が望むのは『その手があったか!』と思わせてくれる人材。ビームスらしさを継承しつつも、同時にビームスの枠から飛びだす刺激的なことを考えつくような人を望んでいます。

今はファッション業界を悲観的に見る人も多い。細分化され、かつてのような大きなムーブメントは起きにくいかもしれません。しかし、アナザーアングルで見れば、それもチャンス。今の時代においても、刺激的なムーブメントは起き得ると思います」

今年で73歳。今後、社長としてではなく個人としてどんな刺激を求めているのか。

「社長を退いたら、カメラマンになりたいんですよね(笑)。これを言うとみんな笑うんですけど、結構本気です。だって、すごく刺激的でしょう?」

毎日が刺激的という言葉は、どうやら本当のようだ。

【特集 刺激のある服】

この記事はGOETHE 2024年5月号「特集:刺激のある服」に掲載。▶︎▶︎ 購入はこちら

TEXT=安岡将文

PHOTOGRAPH=舛田豊明

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