眼鏡ブランド・アイヴァンが「THE EYEVAN 名古屋 栄」を2023年12月19日にオープン。思わず引き寄せられてしまうスタイリッシュな店舗を手がけたデザイナー・森田恭通さんにそのデザインの秘密を聞いた。
アイヴァン新店のデザイナー森田恭通、独占インタビュー
名古屋市の中心部を走る若宮大通りから一本入ったところにある、セレクトショップや高級時計店などが軒を連ねる呉服通り。その通りに、眼鏡ブランド・アイヴァンのスペシャリティストア「THE EYEVAN 名古屋 栄」が新たに加わった。
「街の中心地から一本入った通りですが、名古屋の感度が高いお洒落な人が集まるエリア。誰かが仕掛けて作られたものではなく、自然発生的に良いお店が集まった特別な場所なんです。そのため、アイヴァンの山本典之社長から『名古屋に出店したい』と相談をいただいた時に、『もし名古屋でお店をやるならここしかないと思います』とお伝えしました」
店舗デザインだけでなく、立地からの提案は、これまで名古屋での案件を複数手がけ、街の事情に精通する森田さんならでは。しかし、人気エリアなだけあり、なかなか物件が出てこなかったという。
「アイヴァンさんが2〜3年探し続けて、ようやく出てきたと思ったら、なんと鰻の寝床のような奥行きのある物件だった。普通、眼鏡を売るような物販では手を出すことは難しい間取りなんですが、これ以上に最適な物件が出てこないと思ったので逆にそれを活かそうと考えた。デメリットをメリットに変えよう、と」
そうして誕生したのが「THE EYEVAN 名古屋 栄」。通りから店舗を覗くと、思わず奥へと誘われるような印象的なデザインになっている。
「奥行きというデメリットを逆手にとって吸い込まれるような空間に仕上げました。ポイントは床と天井。これが通りから見た時に吸い込まれるような感覚になる仕掛けです。さらに光を効果的に配置することで、店舗の奥にあるスペシャルな空間へとゲストを導きます」
そこには森田さんがこの店舗のために撮り下ろした、アイウェアの陰影が集まり重なるモノクロームアートと、特別にセレクトされたアイウェアギャラリーが現れる。
「この店舗に飾るアートは、眼鏡を題材にしたものにしたいという考えがありました。そこでアイヴァンさんに眼鏡を200本ぐらいお借りして、それを映画『ミッション: インポッシブル』でトム・クルーズが床すれすれで静止する、ワイヤーで宙吊りなるアクションみたいに、真上から撮ったんです。幾重にも重なりあう眼鏡を真上から撮ることで、奥行きのある作品になりました。でも宙吊りなうえに、シャッターを切るときはブレないように息を止めるので辛かった(笑)」
店内は天然木マテリアルの床と天井の間に、白い壁と光とアイウェアが存在するシンプルで研ぎ澄まされたミニマムな世界観。店舗に入ってすぐの空間にはアイヴァンのオリジナルレーベル「EYEVAN」「EYEVAN 7285」「10 eyevan」「Eyevol」「E5 eyevan」が一堂に揃い、スペシャリティストアであるTHE EYEVANだからこそのラインナップとなっている。
「眼鏡はタイムレスなものだと思うので、何年経っても古くならないアイウェアショップにしたかった。そのため、ウッドを活かしてクラッシックな雰囲気にデザインしています。ただ名古屋の店舗デザインをいくつか経験してわかったのが、名古屋では“さりげなさ”と“大胆さ”が求められること。そのため、クラッシックなだけでなくモダンな要素も取り入れてちょっとお洒落していくような“特別感”も意識しています」
“着る眼鏡”をコンセプトに、眼鏡を洋服を着るように楽しむことを発信するアイヴァン。ぜひ呉服通りのセレクトショップでお気に入りの洋服に出合ったら、それにぴったりな眼鏡を「THE EYEVAN 名古屋 栄」で探してみては。