ただ高ければいいというワケではない。最上級と呼ばれるものには、それ相応の理由がある。ゲーテが選んだベスト・オブ・ベスト 最上級コレクション。今回は銀座もとじの「220亀甲 結城紬(ゆうきつむぎ) 広幅着尺」。【特集 最上級主義2024】
現代では再現不可能な、買える重要無形文化財
顧客はもちろんのこと、作家や職人たちからも絶大な信頼を置かれている呉服店の「銀座もとじ 男のきもの」には、失われつつある伝統工芸の粋を集めた貴重な作品が揃う。そのなかでも群を抜いているのが、重要無形文化財に指定されている野村半平作の「220 亀甲 結城紬」の反物だ。
220亀甲とは、一反の幅40㎝のなかに220個もの亀甲絣がすりが並んでいることをいい、これを実現するためには、現代では再現不可能な超極細の絹糸と、それを手作業で織り進めていく、途方もない職人技が必要になる。この反物には4800万円という値がついているが、その価値は現代の金銭感覚で単純に計算できるものではない。
何よりも驚愕させられるのは、この反物が冠婚葬祭のようなフォーマルな場に向いたものではなく、カジュアルな普段着用の生地であるということだ。重要無形文化財をカジュアルに着こなせるような度胸となると、並大抵の鍛錬では身につけることはできないだろう。
問い合わせ
銀座もとじ 男のきもの TEL:03-3538-7878
この記事はGOETHE 2024年2月号「総力特集:最上級主義 2024」に掲載。▶︎▶︎購入はこちら ▶︎▶︎特集のみ購入(¥499)はこちら