まだ暑い日は続けども、店のウィンドウは秋のムード一色。大人が頼れるメゾンの最新ルックをチェックして、心躍る季節への期待を、大いに膨らませておくのも悪くない。スタイリスト・野口強による連載「The character of G」。
1. ルイ・ヴィトン/クリエイティヴを生みだすパワーの源にフォーカス
子供から大人への成長をテーマに、デジタルモチーフをメインに据えたアイテムが充実。ピックアップしたのは、カラフルなりんご柄をピクセル風に織り上げたジャカードのセットアップ。ジャケットのフロントに配されたフレーズも面白い。
2. プラダ/鋭い切れ味と差し引きでみせるベーシックの新解釈
クチュール的なボリュームのさじ加減で、新たな美の可能性を提示した今季。腰上で潔くカットした中綿入りのダッフルジャケットと、前後にセンタークリースが入ったテーパードパンツのバランスは、完璧すぎて思わずため息が出るほど。刮目必須。
3. ドリス ヴァン ノッテン/リラックス感と緊張感のほどよいバランスが見事
オーバーサイズのダブルジャケットとパンツのセットアップは、シックな織柄の上からカーキで抽象的なスクリーンプリントを配したアーティスティックなあしらいが印象的。自然の超現実な怪奇の中に美を見出す、実力派ブランドの傑作ルックがここに。
4. ジル サンダー/軽快なスピリットとともに自分らしい装いを満喫したい
多彩なプロポーションやシルエットをラインナップした今シーズン。オーバーサイズのウールフェルトのジャケットは、シルバーのファスナーやネックレスのあしらいが洗練を加味。クリーンな印象も如実に際立つ。
5. リック・オウエンス/唯一無二の存在感を放つエクストリームモダンの粋
リック・オウエンスが惹かれてやまないエジプトのルクソールがテーマ。シャープなショルダーと高くてタイトなウエストが構築的なフォルムを形作るショートジャケットには、日本製セルヴィッチデニムのスカートをスタイリング。素材やテーラリングへのこだわりは今季ももちろん健在だ。
6. ザ・ロウ/上質のテーラリングを元に自由なスタイリングを提案
極上のウールフランネルのシングルとダブルのジャケットを敢えて重ねたスタイリングは、自由なマインドこそが着る愉しみを加速させるという、ザ・ロウらしいウイットの効かせ方。端正さもより際立って見える。
7. エルメス/快適さと洗練が響き合う、卓越のボリュームテクニック
精緻なつくりはそのままに、ベーシックから新たな洗練を導きだすエルメス。シアリングとスムースレザーを組み合わせたブルゾンの存在感もさることながら、ボトムに合わせたウールフランネルのナローパンツが白眉(はくび)。
8. セリーヌ/パリのナイトシーンへのオマージュを音楽とともに
音楽やユースカルチャーを巧みにリミックスし、エッジを利かせたルックが今シーズンも充実。極小のスタッズをネオンサイン風に配したレザージャケットは、コレクションの自由でエキセントリックなムードを象徴するような一着。