グラビアなどで活躍するアイドルが、ライヴ配信で1億円稼いだ。センセーショナルなこのエピソードがじわじわと話題となり、ついに書籍が刊行される。彼女の名前は、福岡みなみ。かつては事務所所属の一タレントだったが、昨年には独立し、複数のライバー(ライヴ配信者)を抱える起業家の顔も見せる。しかも、東京理科大学出身の才女という。
応援される才能があったのかも(笑)
気になる情報が渋滞するが、果たしていかなる人物なのか。「負けず嫌いで研究熱心」と自己評価するところからも、端正な顔立ちの奥からは、芯の強さが滲みでる。
「ライヴ配信をするからには、チャンピオンになりたいなと。結果、売り上げは1億円に達しましたが、それは全然目標ではなかったんです。とにかく"一番"を目指しました」
そう思ってライヴ配信を始めても誰もが達成できるわけではないはずだ。
「せっかく時間があるので、1日6時間配信、6時間睡眠、残りはすべて配信の企画のために使いました。とにかく自分の配信に来てくれた人を飽きさせない、そして、満足させることを第一に考えました」
まさに自己評価のとおりである。始めたきっかけは初期のコロナ禍。誰もが何かをしなければ、と思ったあの時期だ。
「仕事も激減して、当時の事務所の寮に一日中いたんです。自分でも何かしなければ、とスマホさえあれば誰でもできるので、まずは見様見真似から。徐々に自分らしい企画も立てられるようになりました。何でもバカみたいにまじめに取り組む性格で、キャラをつくることもできません。配信では本当の自分をさらけだしていたと思います」
なお、ライヴ配信では、応援者が課金アイテムを投げ銭することでライバーに収入が発生する仕組みとなっている。
「応援アイテムはその時、その一瞬で消えてしまいます。アイテム自体はとても刹那(せつな)的ですが、そこにかけた金額=応援に見合うような価値ある配信にしたかったんです」
こうした彼女の姿に応援数もうなぎ上りとなり、最高の結果をもたらしてくれた。
「私には、応援される才能があったのかも(笑)」
その後、起業することとなるが、芸能事務所からの独立となれば、生半可な覚悟では難しいはずだ。
「ライバーとしては結果をひとつ出しましたが、タレントとしては事務所に貢献できていない、という自覚がありました。所属する以上、売り上げを出さなければ意味がない。そこで、新たな挑戦をして、そこで成功したら、自分を拾ってくれた事務所になんらかの形で貢献できるのでは、と考えたのです」
会社名は「星Labo」。自身のマネジメントのほか、彼女が配信を通じて知り合った有望ライバーたちが所属している。
「"自分で自分をスターにする"が企業理念。経営能力は未知ですが、自分で道を切り拓くぞという熱意だけはあります(笑)」
社長業では学生時代に学んだ経営工学が活きているそうだ。
「みんなが遊んでいるなかまじめに勉強していました。当時は何の意味があるかと思っていましたが、今活かせてよかったです(笑)」
そしてもうひとつ、アツい彼女を支える言葉がある。
「"奇跡を待つより捨て身の努力よ"。エヴァンゲリオンが大好きで、その登場人物である葛城(かつらぎ)ミサトの言葉ですが、奇跡は自分で手繰り寄せないと」
タレントも社長もそれぞれのスタイルがある。自分がスターとなることが、事務所の発展につながると邁進する彼女の姿には今後も注目だ。