CAR

2025.06.10

プレミアムSUVの真打ち登場! ベントレー「ベンテイガ」史上、最もパワフルな一台とは

2025年6月2日、ベントレー ベンテイガに最もパワフルな仕様である「スピード」が加わった。その概要を速報する。

ベントレー・ベンテイガ・スピード

強くて速いことがベントレーの本質

高級SUVは百花繚乱で、ヘビーデューティ、スポーティ、ラグジュアリーなどなど、ブランドごとに異なる魅力をアピールしている。なかでも個性的なのがベントレー ベンテイガで、「ウェルビーイング」が開発コンセプトのひとつだった。

当初は、クルマとウェルビーイングには距離があるように感じたけれど、ロングホイールベース版のベンテイガEWB(エクステンデッド・ホイール・ベース)に設定された「エアラインスペシフィケーション」というオプションの後席に座ったときに、なるほど!と膝を叩いた。

ベントレー・ベンテイガ・スピード
ヘッドランプは、スピード専用デザインが採用され、内部構造とベゼルにダークティントを施すことで、より精悍な表情になっている。

この後席シートは、乗員の身体が接している部分の温度や湿度を常に観察、ヒーターやベンチレーターが自動で介入して最適なコンディションを保ってくれる。また、血流が滞ることや疲労の蓄積を防ぐために、シートの形状を少しずつ変化させる機能も備わっていて、結果として身も心も癒やされ、「極楽、極楽」とつぶやいてしまうような車内空間になっている。

ベントレー・ベンテイガ・スピード
ヘッドランプと同様に、テールランプのグレーのレンズとダークティントのベゼルを組み合わせることで、引き締まった印象になっている。

ただし、ウェルビーイングというコンセプトは個性的であるものの、やはりベントレーというブランドの根幹にあるのはパフォーマンスだ。ベントレーが世界のクルマ好きの憧れとなったのは、遡ること約100年、1920年代のルマン24時間レースで4連覇を含む5度の優勝を成し遂げたからなのだ。

クルマの黎明期に、速くて強いという理由で上流階級からの寵愛を受け、やんごとない人々を満足させるためにラグジュアリー方向に進化していったのがベントレーだと考えられる。「鶏が先か、卵が先か」でいうと、「強くて速いこと」が先で、後から高級やラグジュアリーがついてきたということになる。

よりパワフルに加速し、よりシャープに曲がる

そして、ベントレー ベンテイガのラインナップに、最も強くて速いベンテイガ・スピードが加わった。まず注目したいのは、先代のベンテイガ・スピードが排気量6ℓのW12気筒ツインターボエンジンを搭載していたのに対し、新しいベンテイガ・スピードが新開発の4ℓV型8気筒ツインターボエンジンを積むことだ。

「エンジン小さくなっとるやん!」という声が聞こえてきそうであるけれど、最高出力は650psと先代のベンテイガ・スピードを上回っている。また、高性能車の指標となる0-100km/h加速のタイムも3.6秒、最高速度も310km/hと、パフォーマンスでも先代を超えている。ちなみに先代はそれぞれ、3.9秒と306km/hだった。

先代のW12気筒エンジンの基本設計が1990年代に遡ることを考えると、ダウンサイジングしたエンジンでも同等かそれ以上のパフォーマンスが発揮できるほど、テクノロジーが進化しているということだろう。

ただしW12気筒エンジンのシルキー・スムーズな回転フィールは絶品だったから、新しいV8エンジンにそうした味わいがあるかは気になるところ。試乗車が準備されたときに確認したい。

ベントレー・ベンテイガ・スピード
スポーツエグゾーストを標準装備、さらに切れ味の鋭いサウンドをお望みの方には、給排気系のパーツではヨーロッパ有数の規模を誇る、アクラポビッチ社が手がけたチタン製マフラー(写真)もオプションで用意される。

エンジンと同じくらい興味があるのが足まわりの進化だ。「コンフォートモード」と「ベントレーモード(他社で言うところのノーマルモード)」は従来と同様のチューニングであるものの、「スポーツモード」はエンジン性能の向上に合わせて強化されているという。

つまり、マジック・カーペット・ライド(魔法のじゅうたんのような乗り心地)はそのままに、コーナーでの切れ味は鋭くなっているとベントレーは謳う。一般にクルマは、乗り心地を快適にすればコーナリングの切れ味は鈍り、切れ味を鋭くすれば乗り心地は硬くなる。ベントレー ベンテイガがこの二律背反を解決しているのかが非常に興味深い。

もうひとつ、「スポーツモード」を選ぶとESCダイナミック設定が有効となる。この設定をわかりやすく言うと“ドリフトモード”で、テールが流れるオーバーステアを許容するセッティングになる。

以前、他社のスーパーカーに搭載された同じような装置をクローズドコースで試したところ、おもしろいようにドリフトしたことを覚えている。デカくて、ラグジュアリーで、ウェルビーイングにまで配慮したベンテイガ・スピードがドリフトする様子は、想像するだけでわくわくする。一日も早く試して、本欄にて報告したい。

ベントレー・ベンテイガ・スピード
ベントレー ベンテイガ スピード
全長×全幅×全高:5144×2222×1728mm
パワートレイン:4ℓV型8気筒ツインターボ
エンジン最高出力:650ps
エンジン最大トルク:850Nm
価格:34,080,000円(税込)

問い合わせ
ベントレーモーターズ ジャパン/ベントレーコール TEL:0120-97-7797

サトータケシ/Takeshi Sato
1966年生まれ。自動車文化誌『NAVI』で副編集長を務めた後に独立。現在はフリーランスのライター、編集者として活動している。

TEXT=サトータケシ

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