CAR

2025.03.18

納期短縮で狙い目「ランドクルーザー“250”」は、ランクル“300”とどこが違うのか?【試乗】

トヨタ・ランドクルーザーの“250”と“300”は基本骨格が共通で、サイズ感や価格帯もほぼ重なる。この2台のキャラクターの違いを分析する。

ランドクルーザー“250

ランクル“250”は、小さな“300”ではない

トヨタ・ランドクルーザー“250”を街なかで目にする機会が増えてきた。相変わらず品薄状態は続いているけれど、ガソリンエンジン仕様に関しては納期がかなり短縮されているという。兄貴分にあたるランドクルーザー“300”の受注停止が続いているいま、“250”のデリバリーがスムーズになりつつある現状は、この手のクルマの購入を考えている方にとって朗報だろう。

そこで今回は、ランドクルーザー“250”のインプレッションをお伝えしたい。試乗したのは、3列シートを備える最上級グレードのZX。ランクル“250”には2.8ℓ直列4気筒ディーゼルと、2.7ℓ直列4気筒ガソリンの2種類のエンジンが存在するけれど、ZXグレードはディーゼルエンジンのみの設定となる。

ランドクルーザー“250
ランクル“250”と“300”は、「GA-F」という共通のプラットフォームを使用。したがって2850mmのホイールベースも同じだ。

ランクル“250”と対面しての第一印象は、ありきたりではあるけれど「デカい」というもの。“250”は“300”の小型版だと思われがちであるけれど、実はそれほどサイズ感は変わらないのだ。全長こそ“250”のほうが60mm短いものの、幅と高さはほとんど同じ。というのも両者の基本骨格は共通で、ホイールベース(前後の車輪の間隔)も同じなのだ。

ちなみに、“250”の価格帯が520万円から735万円であるのに対して、“300”は510万円から800万円だから、こちらも大差ない。

では何が違うのかというと、まずドライバーズシートに座った感覚はランクル“250”のほうが明らかにカジュアルだ。というのも“300”はボンネットが長く感じられ、いかにも重厚長大なクルマを運転するという気分になる。いっぽう、“250”は車体の先端がすぐ近くに感じられるなど、車両感覚がつかみやすい。“300”より設計年次が新しいぶん、スイッチ類のインターフェイスがモダンなことも、扱いやすい印象につながる。

細かいところに両者のキャラの違いが表れる

走り出した感覚は、“250”のほうが圧倒的に軽快だ。まず、物理的に150〜200kgほど“300”より軽い。また、前述したようにボンネットが短く感じることは、市街地の交差点で小回りをしている感覚につながる。

そして軽快感に大きく貢献しているのが、“250”のハンドルを切った時の爽やかな手応え。これは、ランクルとして初めて採用した電動パワーステアリングによるもので、“300”の油圧式パワーステアリングがねっとりとした手応えを伝えるのと大きな違いがある。

マニアックな話になるけれど、パワステの仕組みの違いは、“250”が日常生活でも活躍するようなキャラ設定であるのに対して、“300”は生きて帰ってくることが求められる真の働くクルマであることから生まれる。

“250”は普段使いで快適な電動パワステ、“300”は過酷な使用環境での信頼性を重んじた油圧式パワステというわけで、サイズも価格も大差ない両者であるけれど、こんな細かいところに性格の違いが表れている。

ランドクルーザー“250
運転席・助手席から2・3・2のシート配列で、乗車定員は7名。最上級グレードのZXなので、後席にもエアコンとUSB Type-Cのポートが2口備わる。

パワートレインに目を向けると、“250”が8段ATを採用するのに対して、“300”は 10段ATと、多段化を進めている。一般に、ギアの数が増えると低いギアではよりスムーズに力強く走り、高いギアはより効率的かつ静かに走ることができる。

ただし実際にあらゆるスピードレンジで走らせてみると、“250”の8段で充分。特に低速域ではすぐにロックアップ(直結)するセッティングになっており、簡単に言うとマニュアルトランスミッションのクルマに乗っているようなダイレクト感がある。

というわけで、注文すらできない“300”と比べても仕方がないとはいえ、実は“250”のほうが好ましい部分も多いのだ。使い方や好みによっては、「“250”でもよかった」ではなく、「“250”がよかった」というケースも多々あるだろう。

ランドクルーザー“250
本当にタフな状況での悪路走破性能は“300”が“250”を上回るというけれど、一般的なドライバーがその領域を経験する機会はないだろう。

ひとつ気をつけたいのは、“250”にしろ“300”にしろ、かなり改善されたとはいえ、ラダーフレーム構造に由来するクセのある乗り心地は残っているということだ。屈強な梯子型(ラダー)のフレームから直接サスペンションが生え、そこにボディを被せるラダーフレーム構造は、悪路の走破性や過酷な環境での耐久性に優れるいっぽうで、ゴワゴワとした乗り心地やボディと骨格が別々に動くようなフィーリングは残ってしまう。

このあたりの快適性は、乗用車をベースにしたモノコック構造のSUVとは明らかに異なる。滑らかな乗り心地や静粛性を望むならば、同じトヨタならハリアーのほうが無難だろう。

ただしランクルのほかにラダーフレーム構造を採用しているのは、スズキ・ジムニーやジープ・ラングラー、それにメルセデス・ベンツのGクラスなど、いまや少数派。実際にオフロードを走るかどうかは別として、ランクル“250”のような本物のクロスカントリー車を体感できる機会は貴重だ。乗り心地を犠牲にしてもあえて“本物”のランクルを選ぶ気持ちは、クルマ好きとしてはよくわかる。

ランドクルーザー“250
トヨタ・ランドクルーザー“250”ZX
全長×全幅×全高:4925×1980×1935mm
ホイールベース:2850mm
エンジン:2.8ℓ直列4気筒ディーゼルターボ
エンジン最高出力:204ps/3000〜3400rpm
エンジン最大トルク:500Nm/1600〜2800rpm
価格:735万円〜(税込)

問い合わせ
トヨタ自動車お客様相談センター TEL:0800-700-7700

サトータケシ/Takeshi Sato
1966年生まれ。自動車文化誌『NAVI』で副編集長を務めた後に独立。現在はフリーランスのライター、編集者として活動している。

TEXT=サトータケシ

PICK UP

STORY 連載

MAGAZINE 最新号

2025年4月号

人生の相棒、アートな家具

最新号を見る

定期購読はこちら

バックナンバー一覧

MAGAZINE 最新号

2025年4月号

人生の相棒、アートな家具

仕事に遊びに一切妥協できない男たちが、人生を謳歌するためのライフスタイル誌『ゲーテ4月号』が2025年2月25日に発売となる。今回の特集は“アートな家具”。豊かな人生を送るうえでなくてはならない、惚れ惚れするほどの家具を紹介。表紙には羽生結弦が撮り下ろし初登場。

最新号を購入する

電子版も発売中!

バックナンバー一覧

SALON MEMBER ゲーテサロン

会員登録をすると、エクスクルーシブなイベントの数々や、スペシャルなプレゼント情報へアクセスが可能に。会員の皆様に、非日常な体験ができる機会をご提供します。

SALON MEMBERになる